ライトノベルとの出会い
全くライトノベルに興味がなかった主人公があることをきっかけにして、ラノベの世界に入れられる。そして、ライトノベル作家を目指すことになり、誰もが驚く才能を見せることになる
創作。それは新たに作り出すことを意味する。
例えば、小説。新しい物語を作り読み手を笑顔にする。
しかし、簡単に物語を作れる訳では無い。
読者を笑顔にする為には様々な技量と時間を要する。
だが、例外には[才能]と呼ばれるものも存在する。
才能とは、個人の素質や訓練などで発揮される力の事だ。
人は言う、自分には才能がないと。
それは自分では見つけることの出来ない領域にある。
他から自分の存在を認められることで才能は生まれる。
そして、
今から語られる物語は、創作の神ともと呼ばれた、才能に満ちた
創作者の話である。
「お兄ちゃん〜起きて〜起きてってば〜!」
「ん〜、ぉ、おはよ〜舞…」
こいつは我が自慢の妹の舞だ。
脳が完全に夢の中の状態で軽く返答し、起き上がる。
「ふわぁ〜……って、こんな休日の朝っぱらから何のようだ?」
「それがねぇ〜お兄ちゃん。舞ね、凄いんだよ?この間応募した新人賞の一次選考を突破したのだぁ〜!えへへ」
腰に手を当て、鼻を高くして言ってくる妹に対して俺は
「ライトノベルってやつのか?」
と答えた。正直、ライトノベルには疎く友達が知ってるくらいの感覚だ。
そして妹がまだ?見たいな感じでこちらを睨む。
「褒めて欲しいのっ!」
大声で怒鳴られ一瞬ビクッとするが、眠気には勝てず、適当な返事をする。
「流石に我が妹〜凄〜い」
「お兄ちゃん、ちゃんと褒めてくれないと、ママにベットの下に隠してあるエッチな本言いつけちゃうよっ!」
そこで、俺の脳は活発に動き始め、睡魔も覚める。
「な、なぜそれを…」
「へっへーん!お兄ちゃんの事で知らないことなんて無いってばよ〜」
どこかで聞いたことあるような語尾だがスルーすることにする。
そして妹は早くと言わんばかりに、
「言っちゃうよ〜?」
真面目に聴いとかないと、後で不機嫌になってもらわれても困るし、何より俺の宝物庫を知られてしまうのは後々めんどくさい。
そして笑顔で褒めちぎる。
「舞凄いじゃないか!流石我が自慢の妹!」
そして、ややキツイ目線を感じる。
「自慢なんて一言も言われたことないけど?」
そんな事ないさ〜見たいな顔をして対応する。
「本当かな〜?」
作り笑いをして対応する。
「本当だよ!」
そして何より重大な任務はここから。俺の休日は朝寝て、昼寝て、夜も寝るという方針で決定している。妹からの解放を最終目標としてる中、逃げるように妹に言いかける。
「じゃあ、お兄ちゃんは寝るから!」
そして妹を部屋から追い出し、直ぐに鍵を閉める兄だった。
週が開けると当たり前のように学校という不自由な生活が帰ってくる。俺は朝、最大限の力を振り絞り抵抗する。だがここで独特のアラームが家中に鳴り響く。
「ピーンポ〜ン。」
これは紛れもなく俺の家のインターホンの音。アラームのように毎朝、隣の家に住む幼馴染みの結衣が押しにくる。
「そうちゃんいますか〜?う〜ん……返事がない…だけど、いるよね!失礼しま〜す。」
強引にドアを開け、走って俺の元に来る。何とも朝から元気が宜しい事で。そして俺は布団に身を隠す。なにより少しでも寝てたい俺には最善の手だ。だが、案の定秒でバレる。
「早く支度〜家の外で待ってるからね!」
こうなったら俺には家から出撃の選択肢のみしか脳内にはなくなる。幼馴染みの結衣は強引で、拒否すると寝巻きのまま、いやパンツ1丁のままでも容赦なく外に出すからだ。
ここで支度が完了して外に出る。
「遅いよ〜っ!そうちゃん!」
「悪い。待たせた。」
「じゃあ、今日も一日頑張ろぉ〜」
と言いながら、どさくさに紛れ腕を組まれた。その、とても柔らかい何がが俺の腕に……
そして、何気ない会話で今日も一日が始まる。
学校に着くと靴を履き替え2階まで上がり、幼馴染みとは別クラスのため突き当たりですぐに別れる。
「また後でね〜!」
「おうよっ!」
と、久々に元気よく挨拶。
教室に入ると、クラスメイトが何グループにも別れ、盛り上がっている様子がわかる。そして遠くから俺の名前を呼ぶ声が聴こえると同時に肩を叩かれる。
「宗介おは〜!」
親友の翔太だ。とりあえずのイケメンぶりにムカついたので、いつもと変わらず喧嘩口調で返答する。
「おはよ〜今日もイケメンだなお 前 は っ !」
「な、なんだ男に目覚めたか!!?」
謎の心配をされたため即座に否定する。この誤解は解かなければなるまい。
「なわけあるかっ!」
「嘘だよ。あ〜唐突で話変わるが最近この小説凄いんだよ!」
そう、翔太はヲタクである。いつも俺の妹の舞が書いてるようなライトノベルを勧めてくる。妹の件もあって少しは興味が湧いたので少しくらい真面目に聞いてやろう。
「最近アニメ化も決定して、今めっちゃ熱い小説なんだよな!どう?今度貸そうか?」
「んじゃ、借りるわ。」
「そうだよな。お前は興味無いもん……え?」
本気で驚かれたので返答する。
「どうした?」
そして、直ぐに返答が来る。
「いや、いつも寝る事にしか興味が無い宗介がな……」
「まあ確かにそうだが。」
「まあ読み終わったら返してな!」
「分かった。」
翔太との会話も終え、席に着く。
一時限目は国語か、準備でもしよう。
[帰り道]
結衣と帰る約束をしていたが急用ができたので先帰ってとメールが来た。 俺はすぐに返信と。「了解。」
そして愛する自宅への帰還。
まずドアを開けての第一声は、
「はぁ〜疲れたと……」
俺は帰宅後直ぐに風呂に入り、夕食まで寝る。家にいるのは基本いつも妹と二人で両親は仕事でいつも遅い。夕食は我が自慢の妹の手づくり飯。これはマジでうまい。毎日の楽しみでもある。
そんな独り言を言っている間に風呂から出て愛しの自室に着いた。
と、そこで思い出す。
「翔太から借りた本どうしようか。」
心の声がそのまま声に出てしまう。
「読んでみるか。」
えーと題名は……
「[転生の魔王]か。」
厨二臭いタイトルだなと思いつつもページをめくる。イラストが現れ、そこには色鮮やかに表現された魔王と美人の勇者の姿がそこには描かれていた。
「どんな話なのだろうか。」
取り敢えず冒頭だけでも読んで見ようかな…
「なんだこれ…」
まだ最初の部分を読んだだけなのに自分が小説の世界にいるような感覚。
そして30分もせずに、
「面白いっ!」
この作品の虜になってしまった。
知らぬ間に手が進み、気づいた時には、100ページも超え、物語の中間を迎えていた。
内容はこうだ。
地球から逸脱した場所。[異世界]に魔王がいた。この世界には魔法力の根源となるマナが存在し、魔王は生まれ持った才能でとても強い力を所持していた。人々は魔王を悪役とよく見るが、この魔王は違った。誰にでも優しいのだ。だが、父親が亡くなり、傘下だった手下達は行くあてもなく、家においてあげたのだ。そして何よりも元魔王(父親)が好きだった手下達のためにと演技で元魔王らしくしてあげようと悪役のフリをしつづけた。そんな魔王だが、ある日予想を遥かに超える存在に出会う。それは勇者。勇者はとても可愛らしい女性でとても勇者には見えない。だが剣技や魔法も魔王と同レベル。そんな勇者だが……魔王をこの世界の敵だと勘違い、異世界から召喚された最強の勇者は魔王と戦い、死闘の末、魔王は敗北し、勇者によって他の世界に飛ばされた。その世界こそが地球だった。魔王は気が付けば病院のベッドに横たわった状態で目を覚ます。だが元いた世界では無いのは一目瞭然。大魔法の 異世界転生魔法が存在する異世界では、他の世界に飛ばされても辻褄は合う。だがそんな魔法が使えるとしたら魔王と勇者くらいの訳だ。魔王は回復能力も人間を遥かに超すので、重症であった体は何事も無かった様に変わっている。そして直ぐ様病院を後にし、歩き回る。それは当然来たことも見た事のもない世界。異世界では何も理解ができない。1番の難点だったのが言語が異なっていたこと。魔王は異世界の言語を使用するので、コミニュケーションすらまともに取れないのである。ぶらぶらしている内に日が沈み夜になる。どのくらい歩いたのだろうか…そして何日も。何日も経ち遂に運命の出会いを果たす。そう、勇者に会った。そして、勇者は魔王を撃退後魔王を知る多くの人からの言葉を聞き、自分の犯したことはミスだったと自覚し、ならば同じ世界に行って謝ろう。ただそれだけの為に異世界に飛んできたのだ。大魔法なので1回でも使うのが困難なはずなのは魔王も承知済み……そしてそれは片道切符だった。
問題は2つあった。地球にはマナは存在しているが、生物からちまちまと出るもので、大魔法を使えるまで溜まるにはとてつもなく時間がかかる。生きている内じゃ不可能と思っていい。そして、もう1つはマナが無限にでる異世界とは違い、マナを放出後は大爆発を起こしてしまい国をひとつ滅ぼす程の大規模の災害を齎す。異世界転生魔法と言う大魔法なら地球1つもくだらない。それは本人達も分かっていた。そしてこの物語の重要で一番驚かされる所がここだった。
だから地球で暮らそう。2人で協力して、いつか異世界(家)に帰れるその日まで。
気がつけば最後のページを捲った所だった。
「ライトノベルって面白すぎだろ……」
余韻に浸りながら表紙を見つめる。
「いつかこんな凄い作品が俺の手で書けたら……」
そんな無理がある理想を口にしながらもラノベに興味を持った瞬間だった。
「お兄ちゃ~ん!ご飯だよ〜」
「分かった。今行く〜」
楽しみの一つである、妹の作る夕食の時間だ。
そして時計を見た。
「7時か。」
帰宅してから3時間以上経過していたのか。部活も入らない俺は帰宅するのはいつも4時前あたり。それから風呂に入り、ぶっ通しで本を読んでいた事になる。
「1つ趣味が増えちまった…」
そう言いながら本をバッグにしまい、食事に向かったのだった。