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三十路の魔法にひれ伏せ  作者: 擂鉢
第1魔法
9/19

質問

 


 青年の王様が、兵士くん基フィリーくんに剣を収めるように命令してくれたおかげで、首に当てられた違和感は消えた。



 さっき擦れたところ赤くなってそう…



「ところで!君は不思議な目をしているね」



 膝をついて座っている俺の目をしゃがんでのぞき込まれる。


 ん?もしかして、隠せてない?



「ユキ、俺の目の色戻ってる?」


 ――いえ、紫色ですー



 なら、どうしてこの人にバレている?



「不思議そうな顔してるね。俺もまだ不思議に思ってることがあるんだ。

 君は一体いくつ属性が使える?その子は妖精じゃないね?あと、この膨大な魔力はその体のどこから生まれてる?」



 全部バレてる…しかも、ユキのことまで…

 隠せてないわけじゃなさそうだ、この人にだけ本来の姿が見えているのか?

 現に、ほかの連中は「何言ってんだこの王様」みたいな顔してる。



「俺たちだけで話進めるとみんなおいてけぼりなっちゃうかな」



 俺もおいてけぼりだよ。絶賛動揺中だよ。



「分かりやすいように、ちょっと本当の姿をみんなに見えるようにするよ。話はそこからだ、嘘ついてもバレるからね…」



 そう言って、みんなを自分の近くに集める。

 何をする気だ?それに嘘ついてもバレるって…



「ディバー・ハイト・ラーム」



 王様がそう唱えると、一瞬で魔法陣ができる。

 一般的な魔法陣のスピードが分からないが、多分めちゃくちゃ早い。

 文字が順に並ぶというより、文字が急に現れたような感じがした。



 俺たち全員を白くて眩しい光が包む。

 反射で思わず目を閉じてしまい、目を開くと さっきまで立っていた街中は消え、白い空間に連れてこられていた。



「ここは、光の中…?」


「半分正解かな、ここは光の魔法で作った真実の空間だよ」


「真実の…?…!ユキ、お前姿が!!」


 ――マスターこそ目の色が!!それに魔力が溢れまくりですー!



 そう言われるとたしかに、力が入らない訳では無いが、何故か魔力を抑えることができない。



「いやぁ、すごい量の魔力とは思ってたけどこれほどまでとはね」


「なんですか、この魔力…」


「あれ、ユキが大きくなった!」



 いや、ユキも気になるかもしれないけど、俺のことも触れろよウリアス…ちょっと寂しいんだけど。



「ここでは偽ることが出来ない。幻術とかもかけれない。君みたいなのと話す場にはもってこいだろ」



 まるで俺が嘘つきみたいな言い方じゃないか。

 まぁ偽ってたからそうみたいなもんだけど



「さぁ、質問させてもらうから素直に答えるんだよ。嘘の答えを言ってもすぐ分かるからね」


「わかったよ」



 転生したこと以外をいえばいいか?転生者だなんて言っても信じられなさそうな感じはするしなぁ。



「とりあえず属性からだけど俺は全ての属性が使うことが出来る」


「全て!?ですが、属性は1人最大で3種類では…」


「フィリーとりあえず、話を聞いてみよう」



 えらく 冷静に俺の話を聞く王様。

 雰囲気とかキャラてきに食いついてきそうなんだけどな。

 ウリアスは質問攻めしたくてうずうずしたような顔をしているけど、王様の言葉で我慢しているみたいだ。



「一通りの属性を使えるってだけだよ。得意なのは闇と炎の属性かな」


「だから赤紫っぽい目の色なんだね」



 大地の属性には触れなくてもいいかな…

 正直自分の手の内を全部明かすのは俺としてはかなり不安何だけど…



「まだ隠してるよね」


「え」


 ――マスター、ここは素直にいくべきだと思いますー



 ユキが王様からずっと目を離さずに答える。

 それほど、この王様が手ごわいということなのだろうか…



「もうしかして、俺の事すごく警戒してる?」



 もちろんですけど!?

 こんな場所連れてこられたら警戒しますよね!!



「じゃあ、一つの質問を答えてくれた見返りとして俺の事を包み隠さず話そう」


「王様!そのような取引き、私は認められません」


「俺は、信用が欲しい。俺の事を話してもお釣りが来るほどだと思うけど」


「しかし…」


「君は、優秀な秘書兼軍隊長でしょ。利益を得るにはそれなりの代償が必要なのわかるでしょ」


「わかりました。しかしながら、私の肩書きは軍隊長のみだと思っていたのですが、いつの間に秘書まで任されるようになったのでしょうか」


「………それで、隠しているのはその角度によって見える黄色の線の事かな」



 フィリー君の質問を無視し、俺の話へと戻す。

 本人すごく険しい顔してますけど…と言うか秘書の仕事させられてるって気付かず、仕事していたフィリー君も大概だな。



「えっと、この線が表しているのは大地って言う新しい属性の魔法なんだ」


「ほほお、大地の属性ね」


「正直俺もこの属性のことは詳しく知らない。

 今分かっているのは、性質が成長と吸収って言うことくらい。

 大地の属性の魔法は、いくつか考えたけど、他にも色々考え中っていう感じだよ」



 正直ホントにこの属性に関してはこれくらいしか話せることは無い。俺もここに来てすぐだし、この属性の魔法隠してるから特訓の時くらいしか使ったことない。



「うん、属性に関してはそれで全部みたいだね。

 まぁ、詳しいことはまた後後聞いていくよ」



 はぁ、なんとか1つはクリアしたのかな?すごく緊張する…



「じゃあ、俺のことをひとつ教えよう。

 そうだな…同じく属性のことを教えようかな」


「使える属性は光と水と炎ですよね?」


「そう、正解。一番得意なのは光の属性で、治癒魔法とか光速移動したりするのが得意だよ。

 その次に水属性かな、戦ったりする時に使うのは基本水魔法で、火属性は時々使うくらいかな。

 あと、暇な時にオリジナルの魔法を考えてるよ」


「光速移動もオリジナルの魔法ですね」


「その通り。ただ 普通の人とか一般兵の魔力じゃ1度使ったら力尽きるかな」



 あぁだから、さっきデタラメな魔法って言ってたのか。

 使うには魔力の消費が多すぎて、一般人には使えないと…

 つまり式さえ分かれば俺にも使える魔法だな。

 後で教えてもらいたいな…



「よし、次にこの子についてだ」


 ――マスター、ここは私がお話しましょう


「そうだな、俺もお前のこと知らないことがいっぱいある」


「あれ、君この子のこと知ってるんじゃないの」


「改めて考えると知ってるようで知らないなぁ」


 教えて貰ってばかりだし、何かと情報を隠すしな。正直こいつの事未だに俺もよく知らない。



 ――ではでは、えー私は 神様の見習いのユキと申します。

 名前をつけてくれたのはマスターですー。

 なぜ、私がマスターと一緒にいるかと言うとサポート役兼実験台だからですー。



 羽をパタパタと動かし、何故か肩車をさせられる。

 その羽で空中に浮いとけばいいのになぜに肩車。



「ん?俺は実験台になるなんて言った覚えはないぞ」



 ――実験台みたいなものじゃないですかー。いちいちうるさいですねー


「あの、どうか気を落とされずに…」



 フィリー君…お互い無茶苦茶な相方持ったからかな…俺たち気が合うかもしれないね。



「神様の見習いがどうして彼のサポートを?」


 ――彼に力を与えたの私みたいなものですから、そのサポートをしているわけですー


「力を与えたとは、契約をしたということですか」


 ――いえいえ、私がマスターにたまたま目をつけ、たまたま願い事があったので叶えたのですー


「いや、あれ願いじゃないから」


 ――紛らわしいマスターが悪いのですー



 お前は俺を敬うのか、小馬鹿にするのかどっちからに絞れよ…とか言ったら確実に後者に固定されそうだな。言うのは辞めておこう。



「そういえば、神見習いってなんの神様なんだ」


 ――全知全能ですー。だからありとあらゆる魔法をマスターに教えることが出来たんですー。考えたらわかると思ったんですが、


「よし、今まで我慢してた分を合わせて10回ほど殴っていいかな」


 ――イタタッ、足首を強く握らないでくださいー!



 は!抑えられずつい手に力が!…でも仕方ないよな、俺悪くない。



「お楽しみの所悪いけど、俺からも質問」


 ――何でしょうかー


「君はこの世界の神?それとも 別世界の神?」


 ――私たちは全世界、全宇宙をまとめる役目を持っていますー。

 信仰などによって形は変えますが、元を辿れば同じ神様になりますー。これは世界にも言えることで、この世界も別の世界も管理をする所は同じなのですー。


「そうか、ちなみに君はほかの神様を見たことあるのかい」


 ――もちろんありますー。ですが、他の神様のことを話すのはタブーなのですー。



 そう言われ少し残念そうな顔をしている。

 えらく、神様について真面目に聞いてくるな…まぁ確かに神様んて普通会えないものな



「じゃあ神になるには、何年かかるんだ」


 ――そうですね、私のように願いを叶えることができるようになれば、100年ほどで神として生きることになりますー。トータルでは1000年以上という所でしょうか。


「そうか」


「え、ていう事はユキそんな生きてるの。え、そんなに生きててそのキャラなの」


「すごく見た目若々しいね」



 ウリアスくん、若々しいとかのレベルじゃないと思うなコレ。



「よしじゃあ、俺の話を1つしようか」


「もういいのか」


「うん、気になることは聞けたし」


「ふーん」


「興味無さそうな返事だね。とりあえず、俺の事はそうだなぁ…国民もフィリーも知らないことを話そうか」



 国民もフィリー君も知らないことって、結構ヤバい内容じゃないか?

 ウリアスいるのに大丈夫かな…ていうか、忘れてたけどウリアス以外にも獣人3人いたわ…1人は寝てるけど、2人はしっかりと俺たちの話聞いてるな。大人しくて怖いくらいなんだけど…



「私も知らないこととは、何ですか。また勝手に新しい魔法でもつくったのですか。それとも何かと契約でもしましたか」



 怖い怖い、顔怖いよ!!なんかもう、般若みたいな顔してるよ。

 日頃から何やらかしてるんだよ、この王様。



「それくらいだったらこんな場所じゃなくても言うよ、それに平等じゃない」


「私としては非常に大事なんですが」



 フィリー君って、自ら秘書してるんだろうな無意識で…。お世話係みたいな感じかな。



「まぁ、話を進めるよ。フィリー、俺は何才?」


「何を言ってるんですか、32歳でしょう」



 え、その顔で30超えてるの?めっちゃ20代半ばにしか見えないんだけど、この世界ではみんなこんな感じの顔なのか?

 よく見てみれば、この世界美形多いよな…ウリアスもフィリー君も整ってるし、あの3人組も顔が綺麗だ。

 前世の顔で転生しなくてよかった…、ユキに感謝だな。調子に乗るから言わないけど。



 ――素直に褒めていいんですよ


「俺は何度お前に心を読むなと言えばいいんだ」



 むしり取るぞその羽とこの足



 ――痛いけな少女になんと恐ろしいことをするつもりですかー


「生意気な少女の間違いだろ…で、王様の年がどうしたんだ」


「32歳っていうのは嘘なんだ」



 あ、実は28とかそんなんでしたみたいな感じかな?

 それくらい別にどうってことないだろ。



「そうなのですか、では一体おいくつで?」


「…俺はトータルで言うと800年ほど生きているんだ」



 ………800年、トータルで?



「800!?」


「そう、800年」


「それは、どういう事でしょうか…」



 さすがに、この事実にはフィリー君も動揺を隠せないようだ。今まで32だって思ってた人が800年も生きてる人だなんて言われたら動揺するよな。



「この体では32年、そして俺は15回ほど死んで、また生まれ変わってる」


「生まれ変わってる…」


「そして、王につくのこれで8度目くらいかな」



 これは、予想外の内容だな…フィリー君はちょっとまだ追い付けてない感じたな。

 ユキはなんか納得したような顔してるけど、もしかしてなんか知ってるとか?



 ――あなたが現れてから、ずっと気になっていたんですー。マスターに劣らぬ魔力、いくら属性が3つ使えるからと言っても、膨大すぎる魔力が謎だったんですー


「あぁ…生命力か」


 ――本来全うすべき命が来世来世にと魔力に変わり引き継がれたので、これほどの魔力が今あなたの体にあるということですねー。



 15回死んだってことは平均50歳ちょっと超えるくらい生きてるのか…前世の記憶があるなら8回国王になったり、その年で国王をしているのも納得がつく。



「国民を…フィリーを騙したかったわけじゃない、ただ言っても意味が無いと思って…」


「王様、今の話を聞いた一国民の意見です。

 確かに、騙されたのかも知れません。でも、きっと800年生きてたなんて言っても正直信じないと思います。

 それよりも8回も王様を経験していることを誇っても良いかと思います。それに、そんな方が今のこの国を動かしてくれるのは頼もしいと僕は思いましたよ」



 偽ることができない空間だから本当の言葉と言う訳じゃない、ウリアスのこの言葉はこの空間でなくても嘘偽りないと信じることが出来る。



「彼の言う通りですね。子供の頃からずっと不思議に思ってたんです。この国の歴史を実際見てきたかのように時々話していたので」


「俺のこと気持ち悪くないか」


「そうですね、そんなウジウジした貴方は非常に気持ち悪いですね。

 いつもみたいに、貴方は笑っていればいいのですよ。

 契約か新しい魔法とかであれば国民に伝えようと思いましたが、年齢なら別にいいでしょう、些細なことです。」



 心温まる国王愛におじさん感動しちゃいそうだわ。

 いいなぁ、俺もこんな国で生まれて育ちたかったな、あ、これからはここで育つのか。



 ――雰囲気ぶち壊しですねマスター


「本当の気持ちだから仕方ない」


「よし、ごめんね。俺の話が長くなって」



 パンっと自分の頬を両手で叩き俺に笑顔を向けてくれる。

 心のもやもやが取れたような、スッキリした顔をしてるじゃないの、いい笑顔だな。



「じゃあ最後の質問をしようか、魔力について教えてもらうよ」


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