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三十路の魔法にひれ伏せ  作者: 擂鉢
第1魔法
8/19

反撃



「ユキ、前に野原で特訓した時の結界かけれるか」


――………あまり神力は使いたくないのですが、特別サービスですー。…神力 "囲い檻"



透明なガラスのようなものが俺たちを囲む。

なんか、今ユキが建物の方を見てたような…まぁいいか。



――これで、好き放題暴れても破損した建物などは自動修復されますー。


「ありがとう。じゃあ、恰好つけずに戦おうか」


「何言ってんだかわかんねぇけど、俺達もあんまり時間はかけたくないんだ!!さっさと倒されろ!」



水牛君がまっすぐ俺に突っ込んでくる。

すごいな、目を閉じていても正確に俺の場所を捉えている。

こんな事で力使うなんてもったいないなぁ。



「"纏い火"」


「なんだ、熱い」



俺の足元から現れた螺旋状の火に水牛君の突進攻撃が止まる。



「動物は火が怖かったけ。火の属性で戦おうかな、結界のおかげで壊しても平気だし。

とりあえず、目を閉じなくとも水の魔法はもうかけてない。閉じたままだと解けたなんて分からないだろ?」


「信用なるか!」


「うーん、でも意味の無い魔法に魔力を使っても仕方ないでしょ」



幻覚を見せている間も俺の魔力はもちろん使われている。俺の場合は底知れぬ魔力だから幻覚をかけっぱなしでもいいけど、炎の魔法にちゃんと集中したい。



「まぁ、閉じたままでいてくれるなら好都合だけど、"火鞭(かべん)"!」



螺旋状の火が鞭の様にしなる。



「アイツの言う通りちゃんと見えるわ!目を開けて!!」



ワニ娘の言葉で目を開く水牛君。

でも遅い、もう鞭は君のすぐ近くだ。



「ッ!」


「まずはお前からだ、水牛君」



鞭が体にあたる直前にチーター君が水牛君を抱えて避ける。



「惜しい、でもすごい洞察力。さすがスピード狂だね」


――マスター、悪人みたいな立ち位置ですよ。



うるさい、いいじゃん別に。正当防衛だ。



――過剰防衛というものも存在しますー。



ちょっと黙ろうかな、バ神。



「アイツ3属性使える。闇と水と炎だ」


「やっぱり、昼間見た不思議な色の目は間違いなかったみたいね」


「どうやって瞳の色を変えてるか知らないけど奪うだけだわ!!」



3人がすっごく団結している。

それに比べてこっちは俺1人だけ…まぁ 結界貼ってくれただけマシか。



「眼なんて食べてもいいことないよ」


「お前には関係ないだろ!」


「それに私達は食べたりしない、材料として使うのよ!」



流石に迷信を信じて食べたりはしていないのか。

何かの材料に使う方が使い道として良さそうだな

人の目を使う所で良いもクソもないけど…



「材料でも食べるでもさ、人様の目を使うのは良くないと思うよ。"囲い火"」



炎の鞭で3人の上空を囲む。



「繋ぎ、"火炎粒(かえんりゅう)"」



鞭から小さい粒が弾丸のように飛ぶ。


これは、ちょっと威力調整するべきだな…あと命中力もかけてるなぁ…うまい具合に掠ってるだけ。



「なんだこの攻撃ッ」


「見たことない魔法だし、アイツの呪文は俺達が聞いたことない言葉ばかり!!」



そらそうだ、カタカナ使うやつとか覚えれねぇから。漢字だ漢字、この世界にはもちろんないけどな。



「大人しく捕まってもらうね、御三方」


「クソ!舐めやがって!!シュネア、走れ!」



水牛君が叫ぶとチーター君が、弾を避けコチラに走ってきた。

チーター君の名前はシュネアって言うのか。発音しずらいな…



「引き裂かれろ!」


「物騒なこと言うじゃんか、おじさんそんな子見たことない」



喉をめがけて飛んできた腕をしゃがんで避け、シュネア君の影に手をつく。



「"影人形(かげにんぎょう)"」


「なんだこれ、動けない」


「はーい、戻って戻って」



弾が飛ぶ、空間へ引き戻す。

相手の影を触れないといけないから単体の相手向きだなこの技は、複数だと 影に触れてる間に攻撃されそうだ。



「コイツ、無茶苦茶だ」


「その通り、俺はまだまだ戦えるよ。」


――マスター、つくづく悪の塊のような顔をしておりますー。私の好みの顔でその顔やめてくださいー。さっさとまとめて縛り上げてくださいー。



なんだよ、人が生き生きとしてるのに…。まぁ 結界貼るのも疲れるか、仕方ない。



「"影鎖(かげぐさり)"」



火炎粒をと影人形を解き、自分の影から出した3本の黒い鎖が三人を拘束する。



「いっちょあーがり!」


――はぁー、結界を貼ってるからって好きにしてくれましたねー、戻すのめんどくさいんですよ。



神様がパンッと手を叩くと、穴だらけの地面や瓦礫が元通りに戻っていく。

神見習いとか言う割に、神業みたいなの結構使えるよなコイツ。


ッ、終わったら思い出したかのように横腹痛くなってきた…



「両手を上げ、座りなさい」



地面に腰をかけようとしていると、首に何やら冷たいものが当たる



――ただの傍観者だと思い放ってたんですが何者ですかー。


「え、知ってたなら教えてってば」


「こちらを気にしているようでしたからもしやと思いましたが、やはり気づいていましたか」



二人してピリついた空気出して、俺だけ置いてけぼりなんだけど。

ていうか、これもしかして剣を首に当てられてるのかな。



「あのー、これ外してもらえると有難いのですが…」


「それは難しいです。あなたフラーレアの森にいた方ですよね。」



フラーレアの森…あぁ、あの野原のところか



「いたけど」


「鬼神消失のこと詳しく聞きたいので王都にまで来ていただきます」


「はい??」



鬼神ってあのー、俺が目覚めたところに封印されてるおっかない人間の子供だろ…

え、消失って、消えたってことか?俺なんかしちゃった?変なことしてないしな…



「俺何にも知らないんだけど!」


「ですが、あなたがあの洞窟の近くにいたことは分かっています。こんなところで話すのもなんですので、王宮にて話を聞きます」



この男、さっきらから王都やら王宮とか言ってるけど、国の兵士とかそんなところか?

えぇ、絶対めんどくさいんだけど…



「トージー!よかった!無事だったんだね」


「ウリアス、この状態を見て無事に思うお前はどういう神経をしている」


「てっきり解剖とかされてるかと思ってたから…所で、何でこんな所に国の兵隊さんがいるの」


「なんか疑われてる、お前こそなんでこんなとこ来たんだよ」



家で待っとけばいいのに自分から戦場に来るなんて…ましてや、非戦闘員だろ。



「あ、トージ怪我してたからさ 薬持ってきたんだよ」


「有難いけど、この状況の俺に平然と薬を渡すなよ」



渡された小瓶には薄い青色の液体が入っている。

青色って食欲低下の色だよな…飲む気になれない…



「貴方もコレの仲間でしたら一緒に王宮にて来ていただきます」


――この人はこの街の人で、ただのお人好しですー



俺の首に当てられている剣の上に立つな、振動でちょっと擦れたぞ。



「……エーブ・リフル」



俺たちの騒ぐ声に掻き消されるようなほんの小さな声が聞こえた。

鎖に繋がれたままのワニ娘が口を開き猛スピードで突っ込んでくる。コイツらを魔道具一度も使ってなかった…何で円を書いたか知らないけど、このまま来たら確実に誰か噛まれる。

なんて、考えてるうちに開かれた口はほぼ目の前にあった。



俺狙いかよ。



「"リード・シュラブ"」



俺が呪文を唱えるよりも早く、目の前に人が現れ呪文を唱える。

魔法陣が琥珀色に光ってるってことは、光属性の魔法かな、光属性の魔法って自分でもあまり使わないから、なんだか新鮮だな。


ワニ娘はそいつの手に触れると、地面に落ち眠った。



「いやー、大丈夫?」


「え、あぁ、ありがとうございます…」



振り返って俺の顔を見る。

目がすごく綺麗だな…琥珀色と青色と赤色が混ざっている。この人3属性使えるのか。



「何故貴方がここに!」



兵士くんがすごく驚いた顔をしている。え、なにこの人何者?

もしかして、めっちゃすごい魔法使いとか?3属性も使えたらその可能性あるよな。



「ほら、フィリーが精霊寄越したでしょ?あの人がお前がここにいるって言っててさ、来ちゃった」


「来ちゃったじゃないですよ!すぐそうやってフラフラと…」



なんか、すごく手を焼いているんだろうな…お疲れ様だな。



「そもそも、王都からここまでは馬を使って3日ほどかかります。精霊に伝言を伝えたのは今日ですよ」


「妾は、花があればどこえでも一瞬で行けるのじゃ」



いつの間にか花を頭にいくつもつけたお姉さんが立っていた。

なんだこの人、めっちゃ美人だけど、頭の上お花畑とかイタイ人かな?



「貴方はそうでしょうけど…」


「俺は、さっき聞いてフィリーが心配で光速移動でここに来たんだよ。」


「また、デタラメな魔法を考えたのですか!」



光速移動、あぁ光属性の魔法だから確かに出来るな。

もしかして、魔法考えた人だったりして…



「デタラメじゃないし、ちゃんとした魔法だし」


「貴方しか使えないような魔法はデタラメみたいなものですよ。自分が王様だからって好き勝手してはいけません。それに、新しい魔法は申請とか色々手続きもいるんですよ!!」


「はーいすみませんでしたー」



だいぶ抜けてるな、王様のくせに。

というか、新しい魔法は申請がいるんだな、俺の魔法も申請いるんじゃないか…やり方わからないし、言われたらでいいのかな?

ん?………



「王様!?」


「うわ、急に大きい声出さないでよ」


「え、いやだって、え!?」



この20代半ばの青年が王様!?



「驚いたかい、新入りくん」



全てを見透かしたような3色の混ざった瞳が俺を見る。


あぁ、コイツは敵に回しちゃいけない人だ。

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