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三十路の魔法にひれ伏せ  作者: 擂鉢
第1魔法
15/19

作戦

 


 ユキの案により、俺がスネイスウルフのボスを討伐することになってしまったのだが……



「簡単に倒せるような相手なのか?」



 三人で囲むように雪の上にしゃがみこみ、作戦を立てる。

 作戦と言えるような案が出るかは不明だが…

 まず気になるのが、スネイスウルフを総括するボスがどれほど強いのかだ


 さっきの話によると、死人が出るほど凶暴な魔獣…確実に強い気がする



「いくら、俺のチート魔法があるとはいえ相手の力量を知らないのはあまりにも無謀すぎる」


 --そうですねー、マスターと比べると弱いのはたしかに弱いですが、頭がいいですー。自分より格段強い者でも群れで攻撃し下克上をするような魔獣ですねー。



 つまりはかなり凶暴ということか

 でも、一対一なら案外勝てるかもしれんな。だが、どうやって相手を1頭だけにするかだ。

 群れをなし、ましてや大ボスとなると個体で動くことなどありえないか。



 --別に何頭相手にしてもいいんですよー。倒したいだけ倒してもいいと思いますー。


「その場合の勝算は」


 --そうですねー、勝つとは思うんですよー。ただ、相手の策にハマってしまった場合、負けるという可能性が浮上してきますー。


「負けたらどうなるんだ・・・いややっぱり言わなくていい」



 満面の笑みで、動かそうとした口は”し”から始まる言葉を発そうとしていた。

 また一つ俺の口からため息が漏れる。


 正直、勝てると思う。ボスだけでなく仲間が俺を攻撃しに来たとしても、それを負かすだけの力が俺にはある。不安要素は、力加減だ・・・戦闘経験の少ない俺は力の加減ができない。想像以上に相手が強く、本気で戦ったりしてみろ、多分山が吹っ飛ぶ。

 そうなると、スノーマンが俺達を危険な奴と判断し最悪暗殺される場合もあり得る。



「トージ?顔色があんまりよくない気がするんだけど大丈夫?」


「あぁ、ちょっと自分達の命の危険性について考えていた」


「やっぱりトージも怖いよね…僕も、上手く攻撃をよけれるか心配なんだ」



 不安げな声でポツリと呟く。

 そうだよな、こいうも・・・ん?



「もしかしてお前も戦う気でいるのか」


「もちろん!トージだけをそんな目に合わせれないよ」


「頼むから、大人しくスノーマンと一緒にいてくれ」



 キョトンとした顔で俺を見る。その顔は”訳がわからない”とでもいいたげだ。

 訳が分からないのはこっちなんだがな。

 人質に取られるならまだいい、何とか助けられる。力加減を間違って、ウリアスにも攻撃があたってしまう方がまずい。



「スネイスウルフと戦うのは、俺とユキの二人だ」


「ユキも参加するの?」


「スノーマンたちが俺たちに討伐をお願いしに来たのは、ユキの力を見たからだ。それなのにユキが参加せずに俺だけで勝ってしまったらあいつ等が不思議に思うだろう」



 だったら俺もといった表情でこちらを見るが、こればっかりはダメなんだよなぁ。



「ウリアス、俺とユキがどんな人物か分かってるよな?」


「もちろん」


「なら、大人しく待っていてくれ。俺の魔法はまだ不安定で、お前に攻撃が当たらないとも言い切れないんだ」


「それなら仕方ないね、トージたちのそばの方が安全かなって思ってたんだけど、味方からも攻撃がくるようなところはちょっと避けたいね」



そういうと、スクッと立ち上がり近くにいたスノーマンと一緒に洞窟の中に入っていってしまった。

あいつ内心はホッとしているんじゃないだろうか。

一瞬見えた顔が、安心していたけれど…俺の見間違いだということにしておこう



「とりあえず作戦でも考えるとしよう、あの男がユキに食いついたのは火の属性の魔法が使えることを知った点から考えるとスネイスウルフの弱点は火の属性の魔法だろう。まぁそれは納得ができる。もう一つ、あいつは大地の妖精にも食いついた。ということは、何かしら弱点があるということだろうな」


--ソレに食いついたのは、討伐をお願いするのではなくこの山の土地環境をもう少しよくするためだと思いますー。そろそろこの雪山で暮らすのも厳しいと考えたのでしょうー。移動するにも、スネイスウルフが暮らすこの山で女、子供の多い人数動くなど自殺行為ですー。



そういえば奴らは移動民族だったな。

移動せずこの土地がもう少し豊かになるようユキに頼むか、スネイスウルフを討伐し移動をするかで迷ったのだろうか。

そういえば少し考えるようなそぶりを見せていたな。あれはどちらを取るか悩んだのだろうか。



「この土地を豊かにしたところで、スネイスウルフからの脅威は変わらないからな。

俺達に討伐を頼んだ方が今後のためにもいいと思ったんだろうな」


--そうとは言い切れないですが、その可能性が高いと思いますー


「なら、火の属性の魔法と闇の属性の魔法で太刀打ちしよう。他の属性は極力使わない。

それと、戦闘中は俺の肩か頭とかにできるだけいてくれ。」


--??それは戦いずらいのではー?


「多分だが、あのスノーマンの男は俺たちが戦っている姿を遠くから見るだろう。

もし俺が火の属性や他の属性を使えば怪しく思う」


--それもそうですねー、では その戦闘中だけ魔法陣が出るようにしましょうー。

これなら、マスターはただの魔法を使う人間と変わりないですー。



戦い方は決まったが、どうやってボスだけをおびき出すかだな。



--ボスは私が見つけますよー、流石にそれぐらいのサポートはしてあげましょうー。


「あぁ ”神力の瞳”を使うのか。遠くからじゃ、ユキの目の色が変わったことは分からないだろうからな」


--はいー、あとはおびき寄せる方法ですが・・・


「なんだ」


--まぁ、それも私が何とかしますー。戦う場所だけ決めましょうー



そういったユキは不自然に俺と目を合わせようとせず、斜め上の空を見ていた。

コイツ、俺に何か不都合な展開にさせるんじゃないだろうか?



「まぁいい、そうだな。隠れて攻撃されると困るからな、見晴らしのいいところがいいだろう」


--!、なら私にいい考えがありますー!やはり私は素晴らしい神見習いですー!作戦は出来上がりました!

今日は大人しく、洞窟でしっかり休みましょうー!



誇らしげな顔をしながら、羽を羽ばたかせ俺の前髪を掴んでは上に引っ張り立ち上がらせようとする。

毛根が痛む、将来おでこから剥げてきたら今日の事をネチネチと言い続けてやろう。

そんなことを考えながら、ゆっくりと立ち上がりウリアスが入っていった洞窟へ向かった。


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