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最強執事の主観察  作者: 黒白
幼き、アトリと朱鷺
7/12

プレゼントと添い寝



 今日は日曜日なのだが、宿題から、明日の準備まで金曜日のうちに終わらせておいた。

その為、とても暇だった。


「暇だ……。」


そうつぶやくとより一層暇になった気がした。

朱鷺が来れば、暇なんかじゃないのに。


……あっ!!そういえば…。


アトリはあることを思い出した。

朱鷺に渡すものがあったんだ。

おじさんにさらわれるとき、とっさにポケットに入れた気がする。

急いで確かめると、確かにそれはあった。


―――――黒色のリングが掛かったネックレス―――


今までのお小遣いをためにため、ようやく買えたものだった。

朱鷺に感謝の気持ちを伝えるために。


コンコンコンッと三回のノック。


この家で、三回ノックをする人は、一人しかいない。


「入っていいぞ、朱鷺」


「失礼します」


朱鷺は美しい動作で扉を閉める。

それが美しく見えるのは、朱鷺の作法の完璧さとその容姿だろう。

朱鷺は、一見女性と見間違えるほどの容姿をしている。

紫がかった、黒髪に黒色の目。和風、だと思いきや、鼻筋はすっと通っていて一言でいうと美人。


まぁ、これが本当の朱鷺の姿だとは限らないが……。


朱鷺が、俺の隣に立ったのを確認し、口を開いた。


「朱鷺。あの時渡せなかったものがあるんだ。もう一度目をつむってくれ。」


「わかりました。」


あの時、アトリがさらわれた時のように、朱鷺は目をつむった。今回は家の中だが、警戒心は怠らないでいた。

すると、朱鷺の首にひんやりとした、何かがかかった。


「目を開けていいよ」


朱鷺がゆっくりと目を開け、首元を見た。

そこには、ネックレス。


「っ……、ありがとう、ございます。」


朱鷺はあまりの嬉しさに、声が震えてしまった。


「いつも世話になっているからな。そのお礼だ。と言っても安物だがな」


アトリは気恥ずかしくなり、言わなくていいことまで、言ってしまった。

俗にいう、ツンデレだ。


「いえ。とてもうれしいです…。」


「そ、そうか。」


その後も、アトリと話していても、ちらちらとネックレスを見るため、アトリはうれしくもやはり恥ずかしかった。







「あっ、もう寝る時間ですね。」


今の時間は、8時50分。

金糸雀家は9時に寝て、6時に起きるという決まりがある。それは、執事もメイドも同様である。それと同時に9時を過ぎると、家のセキュリティはより一層固くなる。

 つまり、寝る時間を狙っての侵入はほぼ不可能に近いということだ。

何とも安全な家である。


「……、あ、朱鷺…。」


朱鷺がちょうど部屋のドアを開けようとした時、アトリが呼び止めた。


 「なんですか?主」


「あ、あの……。今日一緒に…………な……か?」


「えと、申し訳ございませんが、もう一度おっしゃっていただけませんか?もしかして体の具合が悪いのですか?」


「ち、違うっ!体はいたって健康だ。それ、で…。」


アトリは一度深呼吸をし、一声で言い切った。


「朱鷺。今日、一緒に寝てくれないか?」


「……。」


朱鷺は、アトリが言ったことを理解するのに、数秒を要した。



「あぁ、そういうことですか。一人にしようとしてしまい、すみませんでした。ですが、私が添い寝してもよろしいのですか?」


アトリは、まだまだ知らない朱鷺のことを知るために、一緒に寝たいといったのだが、朱鷺は今日誘拐され、一人になるのを怖がっていると解釈したようだ。

まぁ、アトリとしては一緒に寝られればそれでいいのだが…。


「俺から誘ったんだ。構わないに決まっているだろう。」


そう言って、アトリが壁側に、朱鷺がその横に転がった。

キングサイズのベッドのため、まだ一人分余裕で入れるぐらい大きかった。



朱鷺は転がってすぐ寝たのだが、、アトリはなかなか寝付けない。

天井に顔をむけて寝転がっていたアトリが、ちらりと朱鷺のほうを見ると、こちらに顔を向け、いつの笑顔の顔が幼く、あどけなかった。

 こんな幼い人が、アトリの執事をやっているのだ。しかも自分より優秀で強い。


「んぅ……。」


朱鷺が、声を漏らした。

それがとてもエロい、というか見ていて恥ずかしくなり、アトリは朱鷺に背を向けた。


すると自然にウトウトしてきた。


「お休み…。」


そうつぶやき、アトリはの意識はシャットダウンした。



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