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最強執事の主観察  作者: 黒白
幼き、アトリと朱鷺
6/12

家に帰ると


 気が付くと家の門の前だった。

黒色の重々しく鉄でできている門だ。

知らない人が見ると禍々しい……。

 そんな、金糸雀家の門はとても異端に見えた。



その、禍々しい門を開けるには、声、眼球、指紋の三つが必要である。

その三つが必要な、セキュリティに登録してあるのは金糸雀家の親族と金糸雀家が認めた主の執事の俺と、メイド長だけである。


  俺は門を開けるために右側に備え付けられているセンサーにまず眼球を見せ、手をかざし、最後に一言唱えた。


「地獄の入り口」


これは、主の両親が考えた門を開く合言葉だ。

合言葉は、毎日変えており、今日はたまたま「地獄の入り口」だったというわけだ。

確か昨日は、「開いちゃえごま」だった気がする。

 こんなふざけた合言葉で門が開くものだから、呆れたものだと俺は門を見るたびに思っていた。


「主?早く入らないとしまってしまいますよ」


「ん。今行く。」


先に門をくぐっていた朱鷺に呼ばれ、「地獄の入り口」とやらをくぐった。



金糸雀家は門から家までが異常に遠い。訳は、もし不審者が入ってきた場合、家に侵入される前に始末するためだそうだ。それを主に言った時、身震いしていたのを覚えている。


ようやく、家がはっきりと見えてきたと思ったら、家の前には人だかりが。

その人たちは、俺と主を見つけたら、より一層騒ぎ始めた。


「え…。あれ何?」


「旦那様と奥様も、メイドたちも皆、主の帰りを待っていたのですよ。」


そう。家の前にはメイドたちと主の両親がいた。

みんなに共通していることは、とても安心したような顔で薄く笑っていた。


「俺だけじゃないよ。朱鷺の帰りも待ってたんだ。」


「そうだといいです。……、主。」


朱鷺が、帰りのあいさつを促す。


「うん。――――――――ただいま!!」


「「おかえりなさいませ。アトリ様。」」


「おかえり、アトリ。」


「おかえりなさい。アト」


♦♦♦♦♦♦


家の中に全員そろって入ると、メイドは自分の仕事をやるべく、せっせと動き始めた。ただ、メイド長だけが、俺の手を見て一瞬顔をゆがめ、問答無用で医務室へと連れて行った。


「え、あっちょ、」


俺は焦りながらも、主に会釈をしてから、黙ってついていった。



♦♦♦♦♦


―――アトリ視点―――



「アト。朱鷺君は後からくるわよ。」


母さんは、そう言っての俺の頭を撫でた。


「うん……。」


リビングというか、大広間とも言えそうな大きな部屋に入り、すでに準備されている料理に俺は釘付けになった。


一言でいうと、かなり豪華だった。


 日頃一般人から見て豪華な料理を食べている俺だが、そんな俺が驚くほどの豪華さだった。

俺が固まっていると、父さんが笑いながら言った。


「驚いてるようだな、アトリ。これは朱鷺からの提案なんだ。内容は、

 『主を救出いたしました。今から帰宅しますが、いつもより豪華な料理をお願いできますか?主は昼食を食べていらっしゃらないので、お腹を空かせているかも、と思いましたので。』っていうね。

ほんとにすごい執事だな、朱鷺は。アトリのことをよく見て、よく知っている。さすがは、暁家歴代ナンバーワン、といったところか。」


「そうね。朱鷺君以上の執事はきっといないわ。」


両親は口をそろえて朱鷺のことを褒め称える。

俺も、まるで自分のことのようにうれしかった。


 リビングにある大きなテーブルを、俺たちはもちろんとし、朱鷺もメイドたちも囲って食事をするため、一人一人の席が決まっており、俺は自分の席に向かいながら不思議に思った。


「歴代ナンバーワン?」


今まで、そんなこと聞いたことがなかった。誰からも。


「えっ?アト知らなかったの?」


「うん」


隣に座る母さんはそも事を知らないことに驚いたようだった。


「てっきり、朱鷺君から聞いているものだと思っていたわ。メイドさんたちもそう思って言わなかっただけだし…。」


「そんなこと聞いてない」


朱鷺から何も言われていなかった。

よくよく考えると、俺は朱鷺も朱鷺のことを全くと言っていいほど、知らない。

何年もそばにいたのに。

それが無償に悔しく寂しかった。


――アトリ視点終―――


♦♦♦♦♦


一方そのころ。俺はメイド長に手に包帯を巻いてもらっていた。それも、異常なほどきつく。


「これ、ちょっときつすぎないですか?」」


無言で包帯を巻き続けるメイド長。


「璃音さん?」


メイド長の名前を呼ぶ。

その時ようやく璃音が俺の声に反応した。


「何?」


普段金糸雀家の人たちの前では敬語を使っている彼女はメイドや俺の前では使わない。


「包帯を……。」


「うるさい。少しは私たちがどれほど心配したかを思い知りなさい。アトリ様が怪我をしていないと思ったら、朱鷺がけがをしているんだからさ。メイドたちがすごい心配してたんだよ?朱鷺も、私たちにとって大事な存在だってことを忘れないで。」


「はい」


璃音の言葉には、なぜか重みがある。

だから特に俺はうれしかった。


「あまり、主を守りたいからと言って自己犠牲も大概にね。」


「はい。分かっているのですが、何故か主を守るために体が動いてしまうのです。」


そういうと璃音はとても驚いたようだった。


「いや、おどろいた。朱鷺って意外と考えるより体が動くタイプだったんだね。」


「主の前だけです。」


この言葉からは、とても主であるアトリを慕っていることがわかる。


「ふふっ……。朱鷺は私より年下なのに、っ凄くアトリ様のために尽くしているのね。貴方のような素晴らしい執事の主のアトリ様はさぞ、幸せ者なのね。」


「そう、でしょうか?」


「えぇ、朱鷺はアトリ様に尽くし、頑張ってる。でも、頑張りすぎないで。貴方の代わりを完璧にはできないけど、私たちなりに頑張っていくつもりだから。いつでも頼って頂戴ね。……はい!できたっと。」


「はい。わざわざありがとうございます」


「いえいえ。」


ここで会話は終わり、朱鷺はリビングへ、璃音はキッチンに向かった。


俺は、リビングの大きな扉を静かに開け、中にいる主の姿を見つけた。


「主。ただいま戻りました。」


♦♦♦♦♦



俺は、主の奥様とは反対側の、主の隣に座った。


手には包帯。これを見ると自分への悔しさがあふれてくる

アトリは一人、掌が白くなるほど、握りこんだ。


全員そろった。

食事のあいさつはメイド長がする。


「今日も一つ一つの食材に感謝をし、」


ここで一度言葉を切り、全員が手を合わせる。


「いただきます」


「「いただきます」」


これが我が家の、食事のあいさつ。

自家流のため、正しいかどうかはわからないが、主はこの挨拶は当たり前だと思っている。


にぎやかな食事を終え、食事後ののあいさつもした後、主が立ち上がったため、俺も立ち上がる。


「私は、食器のかたずけをしてまいりますね。」


俺はそう言って、たくさんの食器を持ち、キッチンへ行った。



中途半端ですみません。

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