救出
本日二話目。
ムカデにかまれました……。痛痒い!!
「主がここにいる……。」
俺は、主のGPSをもう一度確認した。
間違いない。主はここにいる。
GPSをたどって俺が着いたのは、古びたぼろアパートだった。
周りは新築の住宅だらけのため、このアパートは良くも悪くも目立っていた。
このアパートは、二階建てで、一階に四部屋ずつあるため合計で八部屋ある。
一階に、人の気配はなかった。
「二階にいるな……。」
今にも壊れそうな階段を警戒しながら登った。
鉄製の階段だが、朱鷺は足音を一切立てずに上っていた。
人の気配は、二階の奥から二番目。つまり、203号室にあった。
ドアに耳を当て、中の状況を確認した。
中からは一番聞きたくない声が聞こえてきた。
「ぃや、だ。やめろ!!」
主の怯えている声。
誘拐犯一回、いやずっと死ね。そう思いながら、ドアをけ破った。
中にいたのは、目隠しをされ、手を拘束され、無残にも服が破られている俺の唯一無二の主と、くそデブ(後の害虫)。
くそデブは、主のその美しい肌を直に触れていた。
俺の主に何触ってんだよっくそデブっ!!―――――と、今にも叫びだしたかった。
だが、ここで大声を出すと主をさらに怯えさせてしまう。
そう考え、何とか衝動を抑え込んだ。
「ふぅ……。」
一度深呼吸をしてから、くそデブを蹴った。
殺すことは容易いが、警察が面倒なのと、主の教育上悪い。
その為、顎に一発。怒りをぶつけて。
くそデブが、白目をむいて人間とは思えない顔をしていた。
吐き気がした……。
くそデブに触られた主は震えていた。
その様子は、すさまじく母性をくすぐられた。
しょ、小動物みたい……。だと思ったのは、秘密だ。
そんな主を見て、俺は寒く感じたのと、安心をさせるために燕尾服の上着を主にかけた。
「あ……。朱鷺?」
上着を掛けただけで、俺が朱鷺だとわかってくれたことに、ものすごく喜びを感じていた。
きっと今の俺の顔は、にやにやとしているだろう。
その後も、追い打ちのように主はすごかった。
なんということでしょう。主が俺の名前を連呼しながら抱き着いてくるではありませんか。
さらに、腕の力を強めぎゅう~っとしてくる主。
また再び、
何ということでしょう。主が可愛すぎるではありませんか。
そんなこんなで主をめでていると、くそデブが起きた。
一生起き上がらなくてもよかったのに。
そう思い、くそデブっというのは、主の前では言いたくないため、害虫で妥協した。
すると、くそデブはナイフを持って突進してきた。
まるで、豚のようだ。
ナイフを持っていたのは気が付いていたが、使うとは思っていなかった。
状況確認。さっきまで抱き合うという至福の時をすごしていた為、後ろには主がいる。
俺一人なら余裕だが、主がいる。俺は主の安全を考慮し、ナイフをつかむことにした。
ナイフって痛いんだよな。でも刺されるよりはましか。
よし。タイミングを合わせて……っと。
ナイスキャッチ!!俺。
俺がナイフをつかむのは、予想外だったというか、くそデブ改め害虫は自分が傷つけたのだとようやく気がづいたようで顔を青ざめていた。
でも、それだけでは満足できない。主をその汚らわしい手で触れた罪は重い、ということで俺はとてもいいことを思いついた。
よし。この害虫を社会的に殺してしまおう。
金糸雀家は、世界有数の財閥だがその金糸雀家に代々使える暁家も十分な規模の家だ。
だが、知名度で言うと金糸雀家のほうが高いため、脅しを兼ねて名前を出しておいた。
すると、面白いほど顔をさらに青ざめていた。
それはもう、青というか白に近かった。
害虫の様子を見ていたら、数十人もの気配を感じた。
警察が来た安心感よりも俺は別のことに気が言っていた。
おいおい。そんないっぱいくると……。
がシャーンッ
女警察官の大声に被ったため主たちには聞こえていなかったようだが、俺にはしっかり聞こえていた。
このアパートの階段の壊れる音が。
まぁ、無理もないが、2人落ちたな。
もう少し気を付けないとだめだぞ。と、誰にも聞こえないアドバイスをしておいた。
俺は、五月蠅い女が嫌いな為、女警察官には少々冷たい態度をとってしまった。
大体、大声を出す女のどこがいい。よくいえば、元気がいいだが、悪くいえば、五月蠅いやつだろう。
あまり元気すぎるのは、かえって煩わしいと感じてしまう。
女は、おしとやかが一番だな。
丁度、主が俺の名前を呼んだため主を見ると無意識だと思うがかすかに震えていた。
害虫の性的行為を一応未然に防げたとはいえ、完全に、ではない。
見知らぬ男に監禁され、見知らぬ男に厭らしい手つきで触れられた。
この事実が、主に恐怖を植え付けた。
ここはまず帰るべきだと思い、早く会話を切り上げてその場を後にした。
もちろん、階段を使うのは危ないため、一時的に主を抱き上げ二階から飛び降りて帰った。
補足 くそデブ改め害虫の名前は伊藻気 怜雄です。なぜこの名前にしたかは、名前を反対から読んでいただけるとわかると思います。
なんか、展開がとても速い気がする・・・・・・・。