㉓祇園駅「逝って恋!」
㉓祗園駅
久しぶりの京都.
ほとんど覚えていない.
でもこの八坂神社っていう神社はなんとなく覚えている気がする
卒業アルバム持ってきたらよかったな…
「お腹すいたね」
「桜川. 何食べるの?」
「え,そこら辺のお食事処で何か食べようかと思ってい…」
「あ! みてみて. コレ覚えている!」
「あ~!! この目立たないローソン!」
「目立たなくても京都らしくていいじゃん」
「コレは覚えている!!」
その目立たないローソンの通りを下ってご飯が食べれそうなところを探した.
「ざるそばが800円だって.高くない?」
「そばなんてマルナカで買ったら100円ぐらいだよ」
「いや愛媛コープなんて3袋で90円だよ?」
「ぼったくりだよね~. 修学旅行できたときに食べたそばも家で食べるほうが美味しいと思ったし.」
「綾奈に作ってもらったら最高に美味しいんじゃない?」「
「あ,私もそう思う」
「あ,ありがとう. でもなんか世界都市京都に失礼じゃない?」
「でも,いまいちな店はいまいちだよ.京都に限らずだけど.」
「阪急そばが食べたい~.」
「ここには無いよ」
「あ,ここどう?」
外に出ているメニューを見る限り安くて美味しそうだ.
結局4人とも,すぐ出てきそうなざるそばを注文した.
でも残念なことに600円のざるそばは美味しいとはいえなかった.
綾奈に作ってもらったほうが∞倍美味しい.
しかも,税別!!このそばに660円!
三津浜で食べる海鮮丼は税込み600円!
しかもネタは大きく最高にうまい!
松山で食べたトンカツも600円だったな~.
都会の外食は高い…
「この後どうする?」
「とりあえず八坂神社に行こう.」
賽銭を投げて手を合わせる.
特にお願いはないけれど…
女子たちは熱心に手を合わせて,境内をあちこち見て歩く.
僕は退屈なのでパンフレットを見ながら隅で待っていた.
「おお,縁結びの神様がある…」
「へぇ~. 桜川,縁結びに興味あり? どれどれ,じゃ,次は清水寺だね」
「げげっ… 綾奈っ.驚かせないでよ!」
いつの間に戻ってきたんだ? え?もしかして声に出てた?
ニヤニヤした綾奈を先頭に清水寺に向かった.
どうやら縁結びはいわゆる「清水の舞台」の方ではなく,小さな神社のほうだった.
清水の舞台は別に拝観料がいるのでパス.
女子たちも外から見るほうが綺麗だからいいよと言うので神社へ…
坂道のアップダウンが半端ない…
「これ,いく必要ある?」
「ここまできたんだから行こうよ.」
「桜川~,美波ともうつきあってるんだからよくない?」
「いや,昨日ことだし,もっと確実にしたい!」
桜と綾奈がドンびきしている.あれ?なんか変なこと言った?
「桜川が… 暑さで熱くなっている…」
桜に続いて綾奈が
「仕方ない.赤い糸をもっと強力にしたいわけね.美波の血が止まるほど!」
「死ぬ死ぬ~.赤い糸が絡みつく~.」
「現実,赤い糸って見えないから」
「いや,見えない以前にないから」
「夢のないこと言うな~.」
僕をおいて,3人で盛り上がっている.
「で,肝心の桜川はどう思ってるの?」
と綾奈に聞かれた.
「きっとあるよ.空気がそこにあっても見えないみたいに,ただ見えないだけ.」
一瞬の間があいて
「やっぱり今日の桜川は変~」
と綾奈と桜がキャーキャー騒ぎ,美波は赤くなって横を向いていた.
きつい坂を上って,上りきったところに神社はあった.
境内…と言うには小さいけれど,境内にある岩から岩へ,
目をつむって渡ることが出来たら恋の願い叶うらしい.
なぜか綾奈が先発.
渡った先の岩で躓いてこけた!
「これ,危険じゃない? 頭から逝くところだったよ!」
「命を懸けてこその赤い糸!」
「死んだら赤い糸もなく終わっちゃうよ!」
「じゃあ,次わたしが逝く」
桜が挑む. あれ?桜は誰か好きな人がいるって言うことかな?
それ以前に逝っちゃ駄目. 行って.
「桜川… なんか”あれ?”っていう顔したね. いいでしょ?先行って」
「ど,どうぞ~.」
桜は逝くことなく行けた.無事に岩から岩へ渡れた
「いいね~桜. いい出会いがきっとあるよ! はい桜川逝って恋!」
「ちなみに綾奈の言った”いって”は天に逝くほうの逝くで”こい”は恋バナの恋ね」
「死んだら元も子もないっていったのは綾奈だろ?」
…なんと. そんなことを言っていたら
綾奈と同じく岩に躓いて顔から行ってしまった.
「あ~桜川が逝ってしまった」
「逝ってない.逝ってない」
「っていうか桜川…美波との赤い糸が切れかけたな」
そんな~ も一回!
「じゃあ最後に美波だね」
「え? リベンジ不可?」
「一度きりじゃないと意味がないでしょうが.」
美波は何事もなく渡ることに成功した.
よかった.美波が…片方成功したから赤い糸は大丈夫!
「桜川良かったね. 美波も逝ってたらやばかったね~」
女子たちが笑う. しかし女子は恐ろしいものだ心を読まれている.
地主神社は空いていた,でも石手寺ぐらいは人がいる.
京都の神社も空いているところがあるんやね
再びあの急な坂を上って下って駅に向かった
この道は音羽道というらしい.
音羽とか言う響きのわりに凸凹の激しい坂道だ.
4人とも息が切れて無言で進んでいく.
ここから通りまでは下り坂だ.
「ねぇ休憩して行こう?」
「グッドアイデア!」
「あのなんだっけ? ほら有名な京都のお菓子」
「八つ橋!」
「そう!それだ. 食べたい」
「ここで買うと絶対に高い.」
「じゃあ家に帰ったら綾奈に作ってもらおうよ」
「賛成! 綾奈ちゃんの八つ橋食べたい! でも作れるの?」
「そういうときのクックパット!」
3人で盛り上がる.
「ちょっと~綾の意見聞かずに勝手に決めないでよね~. 休憩は?」
なんて話しているうちに坂道は終わっていた.
結局八つ橋は綾奈が手作りしてくれることになったんだけどね
そして祗園駅に入ろうとしたとたん桜が言った.
「ねぇ,せっかくだし金閣寺行こうよ」
僕も行きたい.
美波と綾奈の賛成もあって金閣寺に行くことに
金閣寺までの行き方を調べるとバスか媛鉄が使える.
媛鉄だと1本.バスだと乗換えが必要らしい.
「ちょっと! 京都市バスの運賃230円やって!!」
「たしかに!伊予鉄バス160円よ! なら媛鉄に決定!」
美波がすごく嬉しそうだから理由を聞いたら媛鉄完全乗車が
実現しそうだからという. 完全乗車か…いまいちわからないけど美波が喜ぶと僕も嬉しい
媛鉄利用なのでそのまま祗園駅に降りていく
しかしここで問題が起きた.
時刻表,路線図をどれ見ても烏丸北大路というところまでしか線路がない.
券売機にはしっかり金閣寺前というボタンがあったのに…
悩んだ末に金閣寺前までの切符を買って改札に入った
とりあえず来た急行に乗って終点の烏丸北大路を目指した.
ずっと地下で面白くない.
でも美波は嬉しそう.
桜と綾奈はというと… だるそうな顔をして無言.
まぁそりゃそうだよね… 結局坂道で休憩しなかったし
『まもなく,烏丸北大路,烏丸北大路終点です』
そのアナウンスが聞こえ,電車は少し明るめの地下駅,烏丸北大路駅に着いた
さぁ~て. 金閣寺までどうやっていけるのか…
と,電車を下りてみんなで驚く.目の前に伊予鉄のような小さい電車が地下に止まっている.
伊予鉄の新しい路面電車にそっくりだ.それに続く線路は外へ出ているようだ.
「ね,これ立命館大学行きってかいてある.」
「立命大? なんか聞いたことあるな… あ,小さく金閣寺って書いてある!」
確信はもてないけどその電車に4人で乗り込んだ
その電車は出発するとすぐに外に出た.
やっぱり電車は地面を走らないと!
みんなもそう思っていたみたいでさっきまで死んだようになっていた
桜と綾奈が楽しそうに外を見ながらしゃべっている.
空いていたので運転席の後ろから京都の町並みを楽しむ
と,いってもビルが立ち並んで京都っぽくはないけれど
降りた金閣寺前電停は伊予鉄と同じような電停だった
前テレビで見た京福電車の電停は恐ろしいほど狭かったな~
「わー. 金閣寺~. 私の班,修学旅行でここ行っていないから初めて!」
「そうなの? ほんとうに金色で輝いているよ.」
「早く見たーい」
珍しくはしゃぐ桜を先頭に金閣寺の入り口に向かった.




