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媛西電車  作者: Hankyu3058
14/29

⑭古町駅-3「美波の異変」

⑭伊予鉄古町駅3

みんなお風呂から出たら雑談タイム.

最初は筒石の家がすばらしく高級に見えるがどうなのか

という話に… 筒石は全否定.

3人とも

「うちのお風呂に入ればわかる」

「いや桜ちゃんの家のお風呂おととい借りたけどそこまで変わらな…」

「いや十分変わるよ.」

「この家のお風呂入ったときから広いって感じたし」

「いやお風呂だけじゃないよ. この部屋の広さ」

「しかも電車の真横」

「それは関係ない」

2人とも輪島の意見にそこだけは賛成できない.

轟音はもういいよ.

その後,ここを何時に出るかを決めた

大垣と12時に集合なので早めにでることに

「ねぇ,布団なくていい? ちょっと出すと面倒くさいことになりそう」

「別にこの床柔らかいから大丈夫」

なんと大垣の家に続き綾奈の家でも布団なし! 夏だからいいけど

「ねぇ,修学旅行のときみたいにやらない」

「美波もやりたい! おとといは話す話題がないっていったけど別に恋バナじゃなく…」

「いや,そこもきちんと入れないとね. 私は別だけど」

「それなら中学の時の思い出話でよくない?」

綾奈の家は電気から垂れている紐を引っ張るのではなく,

リモコンで明るさや色を調整できるすばらしいものがついているため

明るさを一番暗くし,色を一番暖かい色にして

あたかも田舎の家で豆電球をつけているかのようにした.

「あ~この雰囲気! いい感じ.」

「ひとつ修学旅行のときと違うのは男子がいるということ」

「いて悪かったね.」

「そういう意味じゃない. こっちのほうが楽しいじゃん.」

「なら,桜川. 綾たち2人を下の名前で呼ぶってどう?」

「それは雰囲気がでていいかも!」

「え~. いいにくい…」

「桜ちゃんの家で下の名前使ってたじゃん」

と,言うことでなぜか…

いや理由はわかるけど2人を下の名前で呼ぶことになった.

そんなものを語るのもあっという間で

いつの間にか話は移り変わっていた.

「じゃあ綾奈さん. 現在好きな人は?」

「美波,そこは黙ろうか. 言ったよね彼氏いるって」

「そうやったね」

「じゃあ高校のとき誰が好きだった?」

「美波,知っているくせに言う意味ないじゃん.」

「いや~,美波は知らないなぁ~ ねぇ桜川」

「え? あ,うん」

本当に知らないけど僕も輪島に回ってみた

「中学のときはいません!」

「え? 高校は?」

「あのね~ 本人目の前でいうの厳しいでしょ」

「それって言ったも同然の発言よね」

綾奈の顔が赤くなったのがこの暗さでもわかった.

「桜川,綾奈ちゃんになんか言ってあげて?」

「高校のときになんとなくそんな噂は聞いたことあるきがするけど」

「なんかいろいろと矛盾していない?」

「まぁ,友達に変わりなしです.」

綾奈が笑っている. 結構,表情に出る奴やんね~

「美波は?」

「桜川のほうが先かな?」

そんな争いがしばらく続いた.

最初の雰囲気の話よりも長いんじゃないかな?

最終的に相殺された.

「なんか綾だけ言って損じゃない!?」

「まぁ,もともとみんな知っていたことやけん」

「さらに言っただけ無駄!!」

2人で笑っていたところいきなり綾奈に言われた

「2人ともお互い… いやなんでもない.」

いきなりなになに?

「じゃあこれでこの話題は終わりにして,次にいきましょうか?」

話をそらした!!!

結構話が続いたと思うが桜が時計を見ても時間はまだ21:00だった.

その後はいろいろと暴露する大会が始まり,

「筒い…綾奈ってどこか行きたいところある?」

「ちゃんと下の名前で呼んでいる. いいねぇ~」

「いきたいところある?」

「そうだなぁ~. 東京にあこがれている.」

「綾奈? 本当?」

「筒…綾奈の彼氏さんが東京出身とか?」

「いや,個人的な理想. 来世は東京のイケメン男子にしてくださ~い!」

「それどこかで聞いたことあるよ…」

「映画のセリフを引用しないことだね」

「綾はアレを見て共感したんよ.」

「松山田舎じゃないし.」

「いや,じゅうぶん田舎でしょ? ねぇ美波?」

「神戸に比べたらね. でも都会だと思うよ.」

「うん. 四国で一番大きい街だし.」

「え~ そうかな?」

「地元愛がないなぁ~. 筒…綾奈は」

「さっきから何回綾奈のことを筒石といいかけて躓いてる?」

「そういえば美波のことを下の名前で呼んでないんじゃ…」

「だって. なんか…」

「いいにくいんだ.」

「ちがう. ねぇ…み,美波.」

「いいにくそーっ」

「綾奈だまれっ」

「やっぱり普通~.」

「輪,美波助けて」

「助けるも何も下で呼ぶだけ!」

「ところで琵琶湖ってどこにあるの?」

綾奈がいきなりそんなことを言い出してびっくりしてしまった.

今度は美波と目が合って.

小学生でも知っているよねぇ~

「どこにあると思う?」

「関西だよね. でもどこ? 京都?」

「滋賀だよ. 滋賀県.」

「あぁ~ そんな県があったような気もする」

滋賀県の人に怒られるよ,綾奈.

まぁ滋賀県の地名度が低いことは否定しないけど

ほかにもいろんな暴露話が続いて3人で笑っていた.

いつの間にか外から聞こえる轟音が聞こえなくなっていた

最終電車が終わったらしい.

終電が終わったのと同時に美波が寝ていた.

「美波って周期も電車?」

「それはさすがの桜川も引いてしまうね~」

「まぁそうだね.」

「でもさっきから美波の手が桜川の上にあるのが面白い.」

「確かに何でだろうね」

「嬉しい? 桜川.」

「どうだろうね? 僕にはわからない」

「理想としては?」

「聞かなくても大体わかるでしょ.」

筒石がなんかニヤニヤしながら小さく拍手をしてくる

やっぱりこうなるとちょっとウザかったりもする.

そのうち僕も知らない間に寝ていた.



始発電車の音で目が覚めた.

さっき行ったのはモハ50の前期型かな.

カーテンを閉めていないうえに電気も消えていないので

部屋は変な明るさに包まれていた.

みんなぐっすり寝ているみたいだけど外はもう明るい.

そういえばなんか右手があったかい.

何かと思って自分の手を見たら桜川の手だった.

まさか…美波から?ま,まさかね~.

と,とりあえず,電気電気.この変な明るさは苦手~.

電気を消しに行こうと寝返った瞬間. 

桜川と目が合って

「おはよう」

と,いわれた.

いきなり言われてなんか頭に電気が走った.

一気に目が覚めてしまった.

あっちは眠そうに適当に言っただけかもしれないけれど

桜川のその一言は確実に胸に突き刺さった.

「お,おはよう」

なんとか言い返せたけどさっきまで桜川のことを考えていただけに

その言葉がさらに頭をかき回した.

自分って一目惚れしやすいタイプだっけ?

でもコレはそうじゃないような気もする.

「なんか,気持ち悪い明るさやね」

「う,うん. そうだね」

なんか変だ…急に桜川が桜川じゃなくなった!違う,変なのは…

自分の気持ちが自分でも処理できないまま時間がたっていった.

7:00ごろに綾奈が起きた.

「おはよう.」 「おはよう」

綾奈は桜川に言われてどうもないのだろうか.

普通に返している. そう思うと余計に自分がどうなっているのかわからない.

「どうしたの? なんかぼーっとしてるよ?」

綾奈にいきなりいわれてびっくりした.

「美波ってば.どうかしたの? なんかあった?」

なんかわけわかんないけど,綾奈をはたいてしまった.

「痛い. なにっ,急に!」

「ごめん」

綾奈が急に真顔になって聞いてきた.

「ねぇ.どうしたの?」

「言わない」

「へぇ~,なんかあったんだ~.とりあえず,朝ごはんしてくる.あとで尋問~.」

綾奈は不適な笑みを浮かべながら部屋を出て行った.

尋問って…なに?!

気がつけば桜川の姿もない.

部屋には自分の気持ちがよくわからなくなっている美波が一人取り残された.

「お~い おきとる?」

いきなり目の前で手を振られて意識が戻った

気がつけば再び桜川がいた

「起きとる.」

「どうしたの? 暗い顔して」

ここで桜川のせいとかいったらつながる縁もつながらなくなりそうで怖かった

「別になんにも」

桜川には不機嫌そうに見えたのか

「なんか怒っている?」

と聞かれた. 別に怒ってはいないけど. いないけど!

「どうしたの?」

こんなところで言いたくない!!

「多分大丈夫.」

「そっか. なんか怒っとるんやったら落ち着いてね」

やっぱり怒っているように聞こえたのかな?

そんな美波に優しい言葉をかけ,桜川は部屋でなにか準備を始めた.

電車の音がすごく響いて聞こえてきた

真夏のセミの大合唱みたいに,電車の音で耳がいっぱいになった.

「そういえば美波.」

桜川が話しかけたのに自分は何も返さなかったみたい.

それがあとで大変なことになるとは思わなかった.

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