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媛西電車  作者: Hankyu3058
12/29

⑫古町駅「ケチなのはそっちでしょ」

⑫伊予鉄古町駅

美波がこんな家の立地を良いと言うなんてやっぱりひいてしまう.

まえ遊びに来たときは電車の『で』も言わずマンガを一緒に読んでいたのに…

この家は生まれてからずっとすんでいるけれど

毎日うるさくてたまらない.

中心に出たりJRまで行くのに駅が近いから便利だけどうるさい.

桜川と目が合ってなんとなく思っていることは一緒だと思った

ありえないよねぇ…

家に入ったら2人が口々に…

「筒石の家すごいきれいやね」

「本当に新築みたい.」

「高級な東京のマンション見たいやね」

「しかも電車の音も聞こえて超いい感じ!」

「電車は別としたらかなりいいよ」

「電車も重要だよ」

いつまで綾の家の感想を言っるの?

そんなに家が新しく見える?

築25年だと思うけど…

「とりあえず綾の部屋に行こう?」

「広いの?」

「綾奈の部屋ものすごく広いよ」

「10人は軽く寝れるよね」

「そんなに!?」

「まぁ広いのかもしれない」

「僕なんてたった3畳だった.」

とりあえず風呂,トイレ以外はすべて綾の部屋でやらないと

やばいであろう. 親に何言われるかわからない

「本当に広い」

「ねぇ.よるごはんの食料を買いに行くんだけど2人も来てくれない?」

「もちろん♪ 綾奈が美波みたいになったら困るからね」

「綾は美波みたいに病気じゃないから」

「それは言っちゃ駄目~」

美波に低い声で囁かれた. ごめんつい口が…

桜川が綾にむかって口をパクパクさせている.

「病気って何!?」

「へ? 電ヲタのことだよ~.」

何にもしらない. ことにする.

桜川はまだ何か聞きたそうだったけど無視,無視.

「それより桜川,着替えあるの?」

「あ,そうだった. 着替えもあんまり持ってきていないから取りに行きたいんだけど」

「美波も同じく! 買い物の前に行かせてよ」

「いいよ.」

日が沈みかけた街を3人で歩き始めた.



まさか綾奈の家にまで泊まると思っていなかったので服が足りない.

たとえ洗濯機を借りることができても乾かない.

桜ちゃんの家でもうきてしまったので今来ている服ともう一枚あるだけ.

まず桜川の家から行くことにした

総合公園の方角に向かって少し進んだところに家はあった.

「こんなところにすんでいるんだね」

「母さんたちいたら拙いな…」

「どうして?」

「だって松山に帰ってきていること言っていないんだよ?」

「あ~ それはやばいねぇ~」

でも扉を開けたとき真っ暗な家に桜川は安心したみたい.

「お邪魔しまーす」

桜川の家は暗くてよくわからなかったけど思ったより古かった.

「お待たせ~. なんか寿司屋がうるさいね.」

「あ~ね. もう夜ご飯時でしょ」

いつやらか関西のすしチェーン店がここにもできたんだっけな…

桜川が着替えを持ってきたら次は美波の家だ.

桜川の家よりも総合公園に向かって歩く.

中学の校区は広い. しかも小学校が一緒の桜川と綾奈と違い

小学校が別なので結構歩く.

衣山より手前の路地に入って家に着いた.

「美波の家は家族全員いるからちょっと待っていて」

鍵を持っていなかったのでしょうがなくインターホンを押した.

「ただいま~ すぐ出るけど」

「友達の家に行ったんじゃなかったの?」

母さんに聞かれて少し困ったけど,まともに答えた

「着替えの服を取りに来た.」

「お父さんに見つからないようにね」

何でだろうと思ったら父さんが酔っ払っている. 近づいたら危険だ.

こっそり階段を上がって部屋に入った.

そういえばなんで半年前服を全部持っていかなかったんだろうな…

普通ならここに服は無い気がするけど.

まぁあって助かった.

そんなに長くはいないと思うけど3日分の服をかばんに詰め込んだ.

無理やり詰め込んだのでかばんがパンパン.

母さんに一言言ってから家を出た.

半年ぶりの家,滞在時間約10分.

「おまたせ~」

「あ,きたきた. じゃぁ行きますか.」

「GO!」

来た道を引き返している間に聞かれた.

「ねぇ? ご飯何食べたい?」

「何がいいかな? 綾奈の洋食が食べたい」

「僕も同じく~」

「さすが2人. 好みが合うんですね~」

綾奈にそういわれて思わず首を振ったけど

耳が赤かったらしい綾奈にすごく笑われた.

そしてマルナカに行くことにしていたんだけど…

「フジのほうがよかったんじゃない?」

「何で?」

「マルナカだとわかりにくいし遠回り.」

「そう? まぁ確かにそうだけど」

「フジなら大きいし商品も豊富だよ.」

「でも電車賃がもったいなくない?」

「電車に乗る距離じゃないでしょ」

「ここは衣山駅が最寄だから別に乗っていもいいと思うけどな.」

綾奈がいきなりマニアになったかと思った.

いきなり最寄とか… しかも衣山って綾奈の口から!!

でも,この話も歩き続けながらなので…

「もう衣山駅から離れていってるけんあるこう? 綾奈.」

「まぁ いいか.」

桜川がほっとしている.

美波の推測では郊外電車150円が惜しかったんだと思う.

踏み切りのひとつ手前の交差点を曲がり車庫の裏をとおっていった

「思ったより近かった.」

「さては綾奈いつもは電車使ってるんやね?」

「ばれた!? だって歩くの面倒だし」

「ぜったい電車待つ時間がもったいないって」

綾奈も桜川と仲いいよね… 美波にいろいろ言っておきながら

「さぁて なにを作るかな?」

「地味に刺身のコーナーにいくのはやめようか綾奈.」

「桜川鋭いな~.」

「鶏肉でいいかな? 牛肉がいい? それとも豚肉?」

「何でもいいよ おいしいものを期待しています.」

「じゃあ綾が決めていくね」

いつの間にか買い物かごがいっぱいになっている

綾奈は何を作ろうとしているのか…

「綾奈. 飲み物は?」

「セルフでどうぞ. お茶なら家にあるよ」

「お金持ってきてたっけな?」

「セルフでどうぞってそういう意味じゃなくて,かごに入れてって」

「じゃあ美波はコレで」

「ぼくもそれ飲みたいから2リットルの買おう?」

「桜川やけに節約志向…」

綾奈が二つ目のかごをカートの下側に入れた.

どれだけ買うの!?

それ絶対今晩の料理材料だけじゃないよね…

仮に明日の朝ごはんも作ってくれると考えても多すぎる.

それだけかごに商品が入っている上に

レジは夕方だけあって混んでいたので結構,時間がかかった

他の人から見たら3人でレジに並んだから迷惑だったろうな…

そして袋に入れるのも時間がかかった

綾奈ちゃんが持ってきていたエコバック2つには入りきらず

桜川や美波のかばんにまで商品が入れられた

ただでさえ着替えでパンパンに膨れたかばんがさらに膨らんだ

破れそう… それよりこんなかばんに食パンなんか入れて大丈夫だったのかな?

ぜってい潰れているよ

「どんだけレジ袋5円がおしいのさ.」

「そうだよ綾奈,電車賃160円でしょ? 何分の一さ」

「32分の1だけど,郊外電車賃が惜しい桜川に言われたくないよっ」

「そうでしたすみません.」

桜川が綾奈にものすごーく改まった態度で謝った.

綾奈が調子に乗ってうざい先輩を演じる.

「おもいっ!」

「そりゃかご2つだからねぇ~」

「電車乗ろう. 電車.」

「綾奈,歩こう? 美波は車庫の裏を通りたい.」

「重いのに!? 車庫見る余裕ないでしょ?」

「車庫の裏を通るのは別としても歩いたほうが速いと思うよ」

「桜川… 電車賃が惜しいの? まぁ綾が払うからさ」

「持ってあげるよ だから歩こう?」

「それなら…」

桜川,優しい…

「美波. 排水溝にはまるよ?」

車庫の裏2回目で少し興奮気味.

「写真取るなら持ってあげるよ.」

「え? ありがとう」

「桜川すごいね. 美波のためにいくつも袋持って」

「手ぶらで歩いている筒石に言われたくない」

「あ,ごめん」

家の前に来たとき電車の踏切が鳴り出して

轟音を鳴らしながら電車が走っていった.

「やっぱり歩くほうが速かったでしょ?」

「綾は今日はじめてこのルートを知った.」

綾奈は5円が惜しいのに160円は惜しくないのかな? ふしぎ.

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