第三話:地獄の炎の呪い
ゴビ砂漠で、沙で出来た正方形の煉瓦で築かれた闘技場の上で、各学校を代表する格闘挑戦者が待ち構えていた。
優子以外には6人の挑戦者がいた。主催者であるマタブランの姿が見当たらなかった。6人中の5人の参戦者は世界各国から来た普通な生徒には見えたが、1人は青いローブを身に纏い、顔は布一枚に覆われて目しかみえなかった。沙が強い風が吹いていたので、皆が目を手で覆っているのは明らかだった。そして、余りの暑さで皆汗かいていた。
急にある女性の低音の声が大きく聞こえた。
「よくここで集まってくれた、参戦者諸君!」
風が強く吹き、煙が出たとたん、魔術師の手品のようにある女性が現れた。
紫のヘッドスカーフとローブを身に付けた女性が現れた。
「紹介しよう、我はマタブランだ。天意珠戦争に参加してもらう為に、ここに集まってもらっているのだ。」
砂漠の真ん中とは言え、大会全体が魔法的な生放送によって、世界中の観衆に見られていた。代表的生徒を参加しに派遣した各学院もあった。院長たちは、代表を派遣しない限り、学院が滅ぼされると脅迫を受けた。観衆の中、友好的な大会に思われるはずの大会が戦争と呼ばれるなんて、予想もしなかった。
「そうだ!戦争だ!自分が生き抜く為に死に合いだ」と、マタブランが言うなり、知らない言語の呪文を唱え始めた。急に、前田優子を含めた七人の参加者、紫色に輝いた。マタブランが唱え終わった後、「諸君の体内に封印が置かれている。封印が解かれる途端、願望玉という輝く宝石が解放される。殺し合いを以てこそ、全部の願望玉をもらえるのだ。七つが揃う時、七つの願望玉が合体し、天意珠という究極の願望器が生み出される。それでこそ全世界のパワーをあなたの手に」と言った。
「何?殺し合い?聞いてねえぞ!」と5人の生徒の間の呟く声が聞こえた。顔を隠された6人目の生徒は全部御見通しのように、何の影響もされていない様子だった。優子が驚いた余り、目を大きくした。すぐさまに、5人の生徒達が放棄したいと言った。
しかし、マタブランはその願いを却下した。
「放棄したい?いいだろう。それで、貴様らの命と体内の封印を我が一位戦士シッフィルに譲るのだ。」
「何だと?嫌だ…」と生徒達が喚いたが、なにかができる前に、全員全身が青い炎に焼かれてすぐさまに灰になった、5つの半透明の金色の玉が浮上し、各玉には梵語の字が書かれていた。急に、その半透明の金色の玉が消え。5つの光の玉に変わり、シッフィルと呼ばれた男の掌に飛んで行った。
「それは明白ないかさまだ!」と優子が異議を申し立てた。しかし、シッフィルがただわらった。彼がヘッドスカーフとローブを脱ぎ、白いズボンを穿いた禿の紫色男性が披露された。ネズミとかトカゲの尻尾のように後ろから出た尻尾があったそうだ。
優子が驚いた。「なんだそれ?」とため息をついた。
「ええ?そいつの体がどうしたって思ってんのか?外見でしか判断しない貴様如き人間が、笑止!」とシッフィルが罵った。
「シッフィルは中東で伝統的な魔人の力を使って、肉体強化をさせることで全身を進化させた利き腕の魔術師だ。彼はこの大会の参加者で、優勝してもらうことを期待している。じゃ、貴様も憐れな5人のように、地獄へ送ってやろうか?」とマタブランが言った。
優子が指をマタブランに指して反発した、「地獄へ行くのは多分貴様等の方よ」。
「何だと?」マタブランが言った。「我は地獄から蘇り、今は不死身なんだよ!死んで終わるものか?」
「じゃ、その一位戦士に勝って宝石を貰えばいいんだろう?」
「生意気な!勝ったら我と勝負よ!シッフィルと同じ条件なのよ!」
「何?」優子は不思議に思った。「味方じゃないか?」
「今は協力関係だが、シッフィルが勝ったら、我と勝負することになる。勝者が天意珠の力を手に入れるのだ。」
「はは、何が協力関係よ?」と優子が嘲笑った。
「そうだ!その時こそ、吾輩がマタブランを倒し、天意珠の力で世界征服をするのだ!」
「どっちが勝つかあたしの知ったこっちゃないよ!」と優子が言った。「しかし、貴様ら二人を倒し、天意珠の力をいい事の為に使わせてもらうよ!」
「そうは行かないんだな」とシッフィルが言った。シッフィルが指で優子を指し光線を撃った。
優子が本能的に瞬間移動をしシッフィルの傍に再現した。
「幽霊に向かってダメージを与えるつもり?」と優子が言った。その時、優子が膝でシッフィルの顎を蹴り、また瞬間移動して消えた。
その突然な蹴りでシッフィルも驚いた。
「ちびにしてはなかなかやるな。どうやら普通な学生じゃないだろう。貴様は、何者だ?」
「ただの新人で、このガントレットで、まだあったことのない友達を救うつもりよ!」と優子が言った、カオスヘタイロイを振り回しながら。
「ヘタイロイ?」とシッフィルが呆気にとられたように、「驚いたね!そんなものももってんのか?吾輩も魔人の兵隊を召喚して、貴様と戦わせてやる!」
それで、シッフィルが手を上に揚げ、紫色の雲が上からシッフィルの手の方向へ下方向に螺旋を描いた。出て来たのは背中から蝙蝠の翼が生え出す、紫の色の人間らしいモンスターだった。足の変わりに蜂の針みたいなものがあった。そのモンスターが恐竜のような悲鳴を上げた。
「ワーヒッドよ、やれ!」とシッフィルが命令した。ワーヒッドが口から風の嵐を吹き出し優子を吹き飛ばそうとした。優子がカオスヘタイロイを手で揚げ、鋼鉄の鎧を身に纏って剣を手に持った人間の形をした守護神を召喚した。その守護神の一つは水と氷の守護神だったので、冷凍光線をワーヒッド方向に撃った。ワーヒッドを完全に凍結させるには不十分だが、スピードを抑えるには効果があった。砂漠が熱かったので、冷凍攻撃の効力は高が知れていた。
「また守護神か?」とシッフィルが笑った。「相当の準備をしてきたようだな。だが魔人使いたる吾輩にも複数の守護神を召喚できる。出でよ!タマニヤ!カムサ!サラーサ!イトナン!アルバ!シッタ!チーサ!」
ワーヒッドに似てた守護神もまた出て来た。優子とシッフィルの守護神たちが戦いあい始めた。沙の煉瓦で出来たプラットフォームも徹底的に壊されていた。その時こそシッフィルと優子の間の血まみれの肉弾戦が始まった。しかし、シッフィルは一人ではなかった。奴が「サバ」という名前を呼び、もう一匹の魔人が出てきて、短剣に変身した。
「おい、二対一ずるいよ!」と優子が抗議した。
「貴様の小細工な真似も公平とはよべないんだろう!」とシッフィルが言った。「あれは我来也師の腕だ。奴が貴様を通して吾輩と戦っている!」
「そう言うだろうと思った」と優子が言うなり、手からないもないものから魔法的に剣を作った。
シッフィルが剣を見て、「あ…あれは、呑鬼宝帝!その剣、それは…魔界の伝説の魔剣!どこで手に入れた?我来也に使われたことすら見覚えがおらぬわ!貴様の秘密兵器か?」
「知らないね」と優子が言った。「我来也様から頂いただけだよ」
「その魔剣を巡って、精鋭魔物が殺し合って来た。その魔剣でこそ魔界の覇王となれる!まあ、どうでもいいんだが。出でよ!サバ!」
シッフィルがサバを掲げながら優子に向かった。「死ね、小娘め!」
「サバ」と「呑鬼宝帝」が天地を揺るがす程衝突して、風の強い小嵐を巻き起こし、空に雷と稲妻も生じた。
「小娘め!呑鬼宝帝を持つ資格があるか知らんが、貴様を殺してそれを奪って進ぜる!死ね!」とシッフィルが言いながら、優子の剣裁きを交わした。そうすると、サバを持って点を指し、アラブ語で呪文を唱えた。「赤い風の力を与え賜え、偉大なる魔王イブリスよ!」
空が急に赤色に染まり、空中の雲が集って火で出来た龍を作った。その龍が空を怒り、恐怖、と憎しみで満たした。
「まとめて始末してやる!降臨せよ、赤い風よ!吾輩以外の物を排除しろ!」
火の龍が爆弾の雨のように降りて来て、原爆みたいにあらゆるものを焼き尽くした。他の魔人たちも焼き払われて、優子が召喚した守護神たちの鎧も大きいダメージを負い、酷い傷で弱まっていた。
その時、優子がある男性の声が聞こえた。「霊体化するんだ」って。「霊体化すると攻撃を免れられる。」
火の海になったこの砂漠の地帯だが、優子が自分の力で霊体化した。数分間やっと火がなくなると、そろそろ時間切れになっていたところ優子が実体化した。しかし、それができるのは自分の力じゃなくて、外からの得体に知れない関与によるものと感じた。絶対に我来也師匠じゃないと判断した。
雑念を振り切って、シッフィルをじらっと見た。「汚いぞ!味方を見殺しにするなんて!」
「味方なんかじゃなかったのさ!」とシッフィルが答えた。「魔人だ!煙のない火で出来た霊体的な存在。奴等が生贄から力を吸い込むことで私にエネルギーを供給する。犠牲になった魔人のかわりに、新しい魔人を召喚すればいい。そして、次の生贄は貴様なのだ!」
カオスヘタイロイに割れ罅が見えていると優子が気付いた。鋼鉄の鎧も罅が生じ、鎧が隠していた顔が露に出た。1着の鎧に二人(男一人女一人)が入っていて、全部9着に18人がいた。皆が倒れる前に消えてしまった。優子はなにがあったのかすぐ察知した。呪縛が解かれたので、我来也師匠によって瞬間移動で移送された。
優子はもう、心配することはもうなくなった。
シッフィルがへとへとで、愛剣サバも「赤い風」によって木端微塵だった。
「赤い風」は、イスラム教の悪魔であるイブリスの力を司り、地獄から人間界へ召喚できる龍だった。その火に触れた者は、理由もなく中風とか昏睡状態になれて、医者でも原因を診断不能の場合もある。
「吾輩は赤い風を司る。吾輩は無敵なり!」とシッフィルが叫ぶなり、気を高め、優子の方向へ突っ込んで、一撃のパンチで優子を砂丘から砂丘へ飛ばした。
砂丘から浮上した優子が、掌から無数の火の玉を撃った。シッフィルがよく交わしたが、一発が命中した。なのに、シッフィルがまだ平気の様子だった。数回も突っ込んで優子を攻撃して、優子が何回も交わし続けて、交わしきれない攻撃を肘と拳でブロックし続けた。
「死ね、小娘め!死ね!死ね!死ね!」と言いながら、シッフィルが火の玉を撃ち続けた。
火の玉の発砲が遠くなっていき、モンゴルの都市にぶち当たる恐れがあった。
罪のない人たちが犠牲にならないように、優子があっちこっちに瞬間移動して、シッフィルの火の玉が中和されるように、冷凍光線を連射しまくった。
数時間の間、ラチが明かなかった。
悪魔が一番強い夜になっても、シッフィルがもう弱まっていた。
「どうしたの?」と優子が嘲笑った。「貴様らが夜に強いはずじゃん?」
「そうだ、しかし赤い風の為に生贄を作れず、力がなくなり、吾輩こそ赤い風の生贄になる」
そして、シッフィルが燃えた。
「禁断の魔術を使って、逆効果だった。」とシッフィルの命が燃え尽きながら言った。
「まあ、ざまみたわね?あたしが泣かないよ!」と優子が言った。
「それでいい。地獄こそ吾輩の行く場所だ。せめてイブリス様に会える。あそこで貴様を待っているぞ、この異教徒め…」
火がシッフィルを完全に呑み込み、灰一粒すら残らなかった。
願望玉の6つの封印が優子に譲られた。そして、優子の全身に7つの封印を代表する梵字が現れて、光っていた。7つの封印を持つ優子だが、天意珠を組み立てる為にその封印を開けられなかった。
「なにかを忘れているではないでしょうね、お嬢さん」と、ある女の声が聞こえた。
マタブランが急に優子の前に現れた。
「まさか、その封印を解けて使うには我と戦って勝つしかないとでも、忘れているんじゃないの?」
「何?」と優子が訊いた。シッフィルを倒してから、またモンスターと戦わなければならないなんてショックだった。
マタブランが手を空に揚げ、空がもっと暗くなった。
髑髏とか歪んだ表情をする人の顔が暗い空に現れた。まるで、空があらゆる恐怖が待ち受けている異世界へ繋ぐ扉に見えた。そして、そのあらゆる恐怖がその扉を通して、地球にある人間界へと降り注ぐようにみえた。
風が吠えると同時に半透明の幽霊体が飛び回っていた。まるで、幽霊体自体が吠えるように見えた。
マタブランの筋肉が急に膨張して、着ていた服が切り裂かれて、皮膚が緑で鱗塗れになっていて、どんどん大きくなって、大きくなって、ついに巨大化した。そして、優子のサイズに2倍の爬虫類モンスターになってしまった。
そして、マタブランが低いモンスター声で言った。「今我は不滅、貴様を滅ぼしてやろう!」大きいトカゲみたいな口を開けて、口の中でエネルギーの玉を充電して、優子の方向に放った。優子が瞬間移動してエネルギーの玉を交わしたが、冷凍波動という冷凍用エネルギー玉で敵のエネルギー玉を中和した。
マタブランがついに疲れた時こそ、優子が氷の氷柱をマタブランに向かって放ち、マタブランを氷の塊に封印しようとした。
しかし、それは失敗だった。
優子が23回やってみたが、23回目だけについに成功した。
マタブランがついに封印され、再起不能だった。
優子が牙の3つの銀色の円月輪を取り出して、それを氷着いたマタブランに投げて、マタブランが粉砕した。
マタブランの魂が円月輪に吸われるとたん、ゴビ砂漠全体を照らすほどの光の柱が現れた。
マタブランに壊れた物が全てもとどおりになり、マタブランに殺された物が皆蘇った。
マタブランが倒されると、優子がやっと7つの願望玉を解放できた。7つの願望玉がすぐさまに合体し、天意珠という力が溢れる多彩な真珠が生成された。
宝石を手に、身体中に力が漲るのを感じた。宝石の力が体を再生させていた。
しかし、優子が戦いの最中に飛び回ったせいで、すごくへとへとで、ついに砂漠の真ん中に倒れた。
夢の中で、またその男の声だった。
「誰?」と優子が訊いた。
「僕は君と同じだ。同じ力を持っている。霊体化する力。ずっと君に会いたかった。」
「本当?じゃ、あたしもあなたに会わなきゃ。どうすれば会えるの?」
「シンガポールの…学校に来い」
星晶会で、優子が戦闘から回復していて、彼女が救った壊れたカオスヘタイロイから出た18人の学生もそうだった。
皆が看病されるまま寝ていたので、皆と話し合えるまでには少し、時間が経ちそうだった。
しかし、みんなが大丈夫そうだった。
優子が結局回復が早くて、もうすぐ我来也師匠が次の任務の為に使えそうだった。




