第二話:純情な感情が芽生えた頃
シンガポールでは、状況がちょっと違っていた。
アリスに改名したアンナベルはシンガポール在住していて、住む部屋を賃貸した。
ずっと家族に保護されながら生きて来たアリスにとって、自分で過ごす人生はそんなに簡単じゃなかった。
アリスが初めて、買物、洗濯、一日三食、財政を自分でするようになった。中国にいる家で、両親や執事に頼めば洗濯と飲食がすぐできるようになる。
独立する苦労と意識の分身を経て、もっと普通な子らしくなっていくなか、自分の頭の中で作った世界以外、真実の世界で友達を作るようになっていった。
しかし、12年間人と余り接触もないまま、社交のコツはまだ完全に掴んでいない。特には、他の女性。女性は傷付き易くて、怒り安いので、女性の友達とは多少摩擦が生じていた。
学校の科目は大体大丈夫だが、英語は難関だった。故郷で、家族の3母語である中国語、韓国語、ベトナム語に集中し、精通するのは可也難しいはずなのに、英語と日本語も勉強していた。しかし、英語と日本語があんまり上達する見込みがなかった。外国人だったので、現地の生徒の友達を作るのはあまり上手くはいってない。
ある日、アリスはクラスで、彼女と似た男性のクラスメイトを見た。彼は余り他のクラスメイトとは上手くいってないそうだ。彼のははゾナー孫悟空だ。
彼はの中国語は下手くそなので、彼女は手を差し伸べた。代わりに、彼は彼女に英語を教えた。それで友情が芽生え始めた。
思春期だから、他の男子に惹かれるのは当然のことだった、特にイケメンと頭のいい奴、男子教師を含めて。格好がまあまあのはずの彼女は、可愛い子たちが羨ましかった。まさか、好きな男子が自分を好きになるはずがないよね、と自分が思ったことがある。親友のゾナーが自分を見るのかと、自分の魅力を疑ったことがあった。それで悔しかった。ゾナーが好きなわけじゃないのに。実は、ゾナーが好きじゃなかった。ただ、誰もがゾナーを見ていないのに、彼女自身に一目もくれないから、自尊心もまた傷ついた。
しかし、時間が経つと同時に、兄弟姉妹みたいに親しくなって、相手が誰を好きかって揶揄い合う事もあった。知らない内に、相手の事を好ましく思う様になって行った。
にもかかわらず、現実が望んだようにうまくいくわけじゃなかった。
ゾナーとアリスが結局、同じ部活に参加しているようになった。
あの頃、ゾナーがコンピューター部活をやめて、東南アジア研究部に転換した。
アリスが丁度、学年の途中(3月)に入学したばかりだから、部活はまだ決まっていなかった。
英語で苦労していたので、部活は何を選択するべきか、迷っていた。
もしゾナーと同じことを選んだら、上手く行けそうと思った。
入る前に、こういう会話の内容があった。
「ね、部活は何をやる?」とアリスが訊いた。
「俺は?俺は元々、コンピューター部活だったけど、飽きて転換しようと思ったのさ」と思った。
「ね、どうして変わろうとしたの?」とアリスが訊いた。
「俺は、少し文化に拘ろうと思って、東南アジア研究部に入ろうと思ったぜ」とゾナーが思わず言った。
「でもどうしてコンピューター部活を辞めたの?」とアリスが訊いた。
「俺は、元々ゲームを作る特技を身に着けようと思ったが、本当にプログラミングの方程式ばっかりで、予想以上難しくて、自分が向いてないかって。それに、私はゲーム以外、ゲームの中の文化的な要素が好きだけどね。」
「ええ?面白いね」とアリスが答えた。「でもそれは東南アジア研究部と何の関係があるの?」
「今まで、色んな国のゲーム会社が、自分の国の文化的要素をネタにゲームばっかり作って、世界中に自国の文化を学ばせるようになる。日本ゲーム会社のゲーム内容は、日本を主人公の故郷にするのがよくあるけど、他の国の人が主人公であることも、よくあるけど、東南アジアの人がキャラになるのがあんまりないよ。例えばさ、米国ゲーム、日本ゲーム、中国ゲームの中には、シンガポール人とかマレーシア人とかインドネシア人が主人公になったことがない。私はその流れを変えるのは夢だ。」
「じゃ、そのゲームを書けばいいんじゃない?」とアリスが言った。
「いいえ、プログラミングは会社に頼む。僕が書くのが物語だ。自分の基づいた主人公。」
「自分?まさか、自分が主人公になるつもりなの、ゾナーさん?」
「ええ?そうだよ?」
「でも、ゾナーさんなら、中国ではもう主人公になっているよ?」
「中国で主人公?まさか」
「中国語での名前は孫悟空でしょう?あれは西遊記の主人公だよ?」
「あれはもう、からかうなってば!」とゾナーが強く反対した。
「じゃ、猪八戒とか出たりするの?」
「ねえけどな。戦士と姫様とかが要るけど」
「戦士と姫様?姫様は誰?」
「伝説の中には勇者と姫様があるんじゃない?例えばさ、ラマキエンを知ってる?」
「ラマキエン?」
「タイの伝説さ!」
「ああ、あれだ!それもインド由来の話でしょう?」
「そうだね。ラマヤナっていうんだがね」
「面白い!ゾナーの今の姿が好きだよ。」
「うそ!俺の事?まさか俺に惚れ…」
「勘違いしないでよ!あたしは学生で勉強に専念したい。英語も下手し。あんたもあたしから中国語勉強しなさいよ。」
「中国語は本当に頼みたいけど、無理に勉強させないでね」
「あたしが英語を勉強する時、中国語能力を強化させるのは約束だからね」
「約束だぞ!中国語が下手からって、中華系なのに中国人の恥だと、もう聴きたくないからね。」
「あたしが約束する。あなたの中国語はネイティブ同然の実力をビシビシと身に着けさせるからね、でもあたし自身の中国語も勉強不足だし」
「俺の英語もまだまだだ。もっと勉強必須だぜ」
「よし、念入りでがんばるぞ!」
二人が「お!」しながら、東南アジア研究部の部活に参加した。
部活に一番面白いのが言語勉強だった。
東南アジアの言語はほとんど、梵語由来の言葉が多かった。
言語に専念したので、二人が東南アジアの言語に関する部活のプロジェクト(宿題)をしようと決心した。
言語研究の内容は以下の通りでした。
「マレー語自体は、英語と中国語とオランダ語から由来する言葉以外、インド言語(主に梵語とかタミール語とか)とアラブ語の言葉に溢れていた。シンガポールとマレーシアにいるマレー人は知らない内に、インド語とアラブ語を知らないに話しているかもしれないとよく言われていた。マレー語は元も、決まった文字もなく、歴史の流れに沿って、使う文字も違っていた。前に、マレー語は古代インド言語の文字で書かれたが、イスラム教がアラブ商人によってマレー半島に届いた時、アラブ語文字でマレー語が表示されるようになった。その時、曜日もアラブ語からマレー語に入って来た。例えば、火曜日はマレー語でセラサで、アラブ語でも発音が少し違っていたが、よく似ていた。そして、マレー半島がイギリスの植民地になったころ、マレー語がアラブ語の代わりに、ローマ字で表示されるようになった。」
「タイ語は少し違うけど。ほとんどのタイ語の言葉は梵語から由来しているが、言語の一部はクメール語から取り入れられていた。マレー語と違って、タイ語には自国発明された文字が存在していた。タイ語文字は元々、ヒンディー語の文字から作られ、変化するあげく文字の新しい形がタイ語になった。マレー語と同様、梵語由来の言葉が多く、マレー語との共通点が幾つかある。例えば、言語はマレー語でバハサだが、タイ語ではパーサーだ。州はマレー語でネガラだが、タイ語ではナコン。実は、タイ語のナコンは元々梵語ではネガラだが、タイ語の文字に変わり、タイ語の発音のルールがあったので、ナコンで発音されるようになった。時間が経つと共に、マレー語のように、中国語から英語からの単語も幾つかタイ語に入って来た。タイはマレーシアの隣接国家で、言語は類似した変化の経路を歩むのは不思議ではなかっただろう。」
「タイ語には五音があるが、ベトナム語は六音。ベトナム語は元々マレー語とタイ語とほぼ似たような文法だが、語彙は殆ど中国語からの用語が多いと言われている。それ故、六音言語になったかもしれない。サンスクリット語に影響される痕跡が余りないが、一度フランスの植民地になったのでフランス語に影響される痕跡があった。一方、クメール語はタイ語とベトナム語と違って声調がないが、タイ語とマレー語らしく大部分の語彙はインド言語から取り入れられた。」
「ミャンマー語では、複数の方言があるが、大部分の語彙は軽くインド言語と英語と中国語に影響されている。一方ラーオ語はタイ語に似ていて、タイ語とラーオ語は同じ言語かどうか、まだ議論の余地がある。」
そういう内容で、二人のプロジェクトが賞を受けて、友情がよりも深まった。