第十話:素敵な友達が齎した希望
https://ncode.syosetu.com/n2018dm/10/
https://il.ink/jonakira
「悲しまないで、悟空さん。その友達が作り話をしているかもしれないけどね。自称友人なのによくそんなこと言えるわね?」とある女性の細やか声が電話から出た。
「そうですね、でももったいないと感じますね。他のクラスの野蛮人と違って趣味が同じでずっと仲良くいられるはずだったのに」とゾナーが言った。
「なんだ、偉そうに。だから仲良くなれたんじゃない」と彼女が揶揄った。
「おい、止せアリス、それってちがうんだから」とゾナーがアリスに抗議した。
「冗談冗談、ごめん、怒っている?」とゾナーが聞いたら、アリスの口調が揶揄い口調から優しい慰める口調になったけど、拗ねる振りをして可愛く見えようとした。
「いや、怒るわけないだろう、悪気がないとわかってるから」とゾナーが返事した。
「怒るはずがないとわかってるわ」と喜んだ。「悟空さんは他人に対して怒りっぽいけど、あたしと話すと落ち着いているみたい」
「いいえ!」とゾナー悟空が抗議した。「ムカつかせること言わなきゃ怒るわけないじゃない」と言った。「ドジ、ぼっけとしてる、とか言わない限り、悪気がないのに俺が悪気あるみたいに言わない限り、俺には怒る理由がないよ」とゾナーが説明した。
「弱点が露に曝されるのが嫌だよね」とアリスが訊いた。「あたしもそういうことによく合うよ」とアリスが慰めた。
「だから俺がお前の味方だよ、そしてお前が言われたら俺が言い返してやる。そして、お前が好きだとよく揶揄われる」とゾナーが拗ねる振りをした。
「あたしのことが好きじゃん、あたしが何を言っても怒らないから」とアリスが言った。
「どういうこと?」とゾナーが困っているそうだ。
「うそだよ!ノエミちゃんココちゃんも他の子も好きなくせに!浮気者!」
「おい!だめじゃねえか!」
「うそだよおおおおおおおお!」とアリスが笑った。ゾナーの顔が真っ赤。
「あの日本人交換留学生はどうだ?名前なんだっけ?」
「優子だって」
「大島優子が現実化?」とアリスが揶揄った。「うれしいじゃん?」
「馬鹿!AKB48の大島優子に似てるとは確かけど、別人だ」とゾナーが弁解した。「同じ人間だったらもう学校にいる必要がない。AKB48の優子が大儲けしてるんじゃねえか?」
「それはどうかな。同じ人間だったら?もしかしたら、コンサートで見たあの子があなたに会う為に、普通な学生の振りをしてるんわけじゃないの?」とアリスが促した。
「ばかな、そんなこと」とゾナーが笑った。
「アニメよくみるんじゃん?英語作文にもフィクションよく書いたんじゃん?想像力だよ想像力!じゃ、あの優子からもらったプレゼントは?」
「ああ、ペンとノート、だけ。高いんだよ。使うともったいないし」とゾナーが。
「いいえ!使ってよ!墨が乾いたらもう使えないよ!使えないなら、その子の思いやりとお金がもったいないじゃない?ペンとノートを買った。だから何をして欲しいの?もちろん書くのよ!常識でしょう?シンガポールに出会う前にEメールペンパルだったころも買ってあげたのよ。そこまで思いやちゃって。あれを使って、気持ちを書いたら、気持ちがよくなるんじゃない?」
「そうだよね。もう遅いよ。又明日話そうね」とゾナーが自分家の応接間の壁時計を見乍ら言った。
「了解、悟空さん、おやすみ、いい夢を。いいね、私たちは、同じ苦痛を経験する同志よ。」
「感謝する、佳敏同志」とゾナーがソ連ロシア語を真似て言ったきり、アリスがケラケラ笑って、ゾナーが「お休み」と言った。
「お休み」とアリス黄佳敏が甘い声で言ってから、電話切った。そして、ゾナー自身が電話を切る番だった。
「ん、アリスちゃんの英語が上達したね」とゾナーがふと思った。「中一で始まったころが本当にまずかったね」と思った。
ゾナー孫悟空が、寝る準備をしたところ、優子という交換留学生から貰ったペンとノートを暫く見てから、結局座ってしまい、ノートにペンで思いを書き込み始めた。
自分がどれ程不器用で無神経だと言われたのか、アスペルガー症候群のせいで、友達作りがどれ程難しくなったのか、一杯書いた。
ゾナーがよく、彼を虐めたり悪口をしたりする人を野蛮人だと判断し、彼自身が正義だと看做して、礼儀正しくて優しい人だけを味方と思った。
ある日、その友達がゾナーを星晶会という組織のイベントに招待し、学校でのイベント以外、前田優子という子ともっと話し合うチャンスがあった。
ゾナーの友人の日本語が下手くそで、日本人の学生と話をしようとはしなかった。ゾナーが、優子と話し合ってるとしても、優子を独占したくはなくて、その友人を無理矢理会話に引き連れ込もうとしたが、ちょっとやり過ぎたので、その友が、「見損なった」顔をして、行ってしまったけど、ゾナー自身がその表情の変化を続かなかった。
まさか、あとでその友人が偉そうにEメールを送って彼を叱った。
ゾナーこそその友人を見損なった。まさか、他の奴等と同じく、彼を悪く思っていたんだなんて。
でも、自分がどうしても友情を維持する力の無さに無力さを感じ、自分がどれ程役立たずと自分を憎むようになった。
その気持ちを書き込んだころ、ペンの端のロゴが青い光で光って、部屋も青い光を浴びて青くなってたころ、突如天使出現。
「ゾナー君、いいのよ、あなたのせいじゃない、気にしなくていいのよ」
「優子?」とゾナーが呼びかけた。
青く広がる無限の空間に、優子がペンの前に現れた。デリケートな指でペンをとって、長い髪が肩まで伸び、学校に訪問した際の同じ楓と花模様のドレスを身に纏った。
「あなたこそ、希望と絶望によって目覚めて、世界の希望と絶望を齎す者なの」と優子が言った。
「希望と絶望?」とゾナーが聞いて戸惑った。
「希望と絶望が火と水の如く、正反対の存在であり、混ぜたりしないで、お互いの存在を許さない。それでも、その両者によって生み出された極端な感情が多大な力を呼び覚ます。あなたの持つ力は、あなたの感情のピークにより呼び覚まされるのよ。絶望が感情の混沌を生み、希望が感情を安定化させ、より凄い奇跡を起こす力を生み出す。絶望か希望か、あなたの心、あなたの意志次第。」
ゾナーがポジティブに行こうと思うが、他人の批判によるネガティブな感情も又、心の奥から襲ってくる。
「どうやって、希望を持つ意志を持つのでしょうか」とゾナーが聞いた。
「希望があれば、世界を救える。あなたにはその力があるのよ。希望だけに縋りつけば、その力を呼び覚ますのです」
ゾナーがその力を頭の中でイメージトレーニングしていて、ポジティブな気持ちが沸いてきたが。そうすると、優子が言い続けた。
「人生は不公平だらけ。あなたは他人が持ってるものを持ってないかもしれない。あなたは特別だから、他人に理解されないこともある。確かに、あなたを心配するから厳しい人もいる。なのに、ミスだけに集中しないで、ミスを乗り越えて、前に進むのよ。希望があれば、道が開かれる。あなたの心の中に、かけがえのない宝物を秘めている。それこそが希望の源。それが、あなたが笑顔でいられる限り、自分自身と他人を救う力になる。愛、希望、自信で、あなたの力を呼び覚ます。」
「愛?先言わなかったね。希望と自信とはどんな関係があるのか」とゾナーが聞いた。
「愛で、あなたの凍結された心が解凍し、また希望を目指せる。友人に酷く言われて、あたしに対して無礼な真似をしたって言ったよね?でも、私は全然怒っていないよ。大丈夫。あなたと一緒にいる時楽しい時間を過ごせたの。だから、あなたのその絶望から自分を解放して、希望に進んでください。ところで、あなたと一緒に、ある歌を歌いたい。それが、OvertakeというAKB48の歌です」
「勿論です」とゾナーがはしゃいで言った。「一緒に歌おうぜ!」
一緒に歌ってから、優子がぎゅっとゾナーを抱きしめた。
「もう放さない、この素敵な人。日本に帰ったら、あなたはどれほど素敵な人なのか、皆に知らせるのよ。日本あなたという人間を伝説にするのよ」
ゾナーが夢から覚めた。素敵な夢だった。
先の出来事が起きただなんて嘘みたいけど、テーブルの上には、エビデンスがあった。ノートの中に、ゾナーと優子の間の会話が書かれていた。会話内容も、ゾナーと優子の手書きでいっぱいだった。
ゾナーがまた寝た。その後、ノートの文字が消え、その日記みたいなノートが消えてしまった。
ゾナーが目覚めたら、何も覚えていなかった。
しかし、友人に対する怒りも、ネガティブな感情も、少しが覚めて、自分の人生をもっとポジティブな方向に向かわせようと誓った。
https://ncode.syosetu.com/n2018dm/10/
https://il.ink/jonakira




