薔薇の雪
……薔薇が、降ってきた。それはしんしんと雪のように宙を舞いながら落ちてきて、やがて地面に朱色の斑点模様を刻んだ。僕はそっと頭上を見上げ、その校舎の屋上に立つ一人の女子生徒の姿に気付いた。彼女は薔薇を屋上から降り注がせて、凛とした声で歌い出した。「私はあなたがこの世から去っても、約束の為に、赤い雪を降らせようと思ったのです……」 一人の大切な存在を巡る、彼女と僕の、幸せな記憶の残滓――。
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