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海の向こうに  作者: シュガーウォーク
過去から
7/25

1パート

いやいや、お父さんのはずがない。すぐに拓人は否定しようとしたがしかし、しばらく考えてこれもありうるのではと思った。



「まさか・・・・・飛んできたのか?過去に。」


「そうだよー。さすがだねー。いやぁ、お父さんが昔乗ってた車にそっくりだからもしやと思ったんだけど、やっぱりそうだった。」



見たところ自分には全く似ていなかった。母さんに似てるということか。母さんに似てるということは自分の将来の結婚相手ということになる。



つまり、将来の結婚相手はいま目の前にいる女性に似ている女性という事になるのか。こういう見た目をしている人なのか。これをネタバレと言うのだろうか。ちょっと違う気もする。



「あなたはお名前は?」


「愛って名前だよ。」


「年は?」


「26歳。」


「年上か。」


「娘が父よりも年上なのか。」


もはや笑うしかなかった。目の前にいる優しそうな女性は自分の娘であり、年上だという。自分の娘が自分の年齢を追い越す経験をしたのは後にも先にも自分だけなのではないだろうか。



愛を助手席に乗せ、車を走らせていた。愛には今なんの仕事をしているのか、健康にしているのか、母と父の馴れ初めなど聞きたい事は山ほどあったがそれよりも一番聞きたかったことから拓人は聞いた。


「何の過去を変えるためにここに来たの?」


「私は、仕事を間違えたと思って。今のお仕事があまりにも合わなくて体調崩して今療養してるんだけどこんな事起こる前に言ってそうならないような仕事を昔の私に選ばせようとしたの。でもなぜか30年前に来てしまった。」



これだよ。親子というのはどうしてこう変な所ばかり似るのだろうか。拓人は自分自身にうんざりしながら言った。


「間違いない。愛は俺の娘だな。父さんも似た経験をしてきたところだ。」


「あー30年前に飛んじゃった話でしょ。よく聞く。」


「若かった頃のお父さんお母さんに会ってきたよ。」


途端ににこにこしていた愛の顔が曇った。何か気に障る事を言ったのだろうか。


「どうかしたのか?」


「私、おばあちゃん嫌い。しゃべんないのに余計な事ばかり言うししゃべんないからか何考えてんのかわかんない。」


そうなのか。しかし、実際真美はあまりしゃべらない。おしゃべりな優と対照的であり、言葉足らずである事がいつもである。


「母さん、しゃべんないよねー。」


「私、小さい頃おばあちゃんとたくさん遊びたかったのに顔を合わせれば勉強しろって言うし塾に行かせようとまでした。ピアノの発表会も来てくれなかった。多分おばあちゃん私の事嫌いなんだよ。一緒にいたくなくて塾に行かせようとしたりピアノの発表会も来てくれなかったんだよ。」



拓人はさすがにそれはないと思った。母は言葉足らずで何を考えてるのかがわからない事が多いが家族を邪険にするような人ではないと思う。しかし、これは未来の話だし話を聞く範囲では愛がそうとったとしても愛に非はないと思った。



「ところでどこへ行くの?」


「まだ決めていないんだこれが。家に帰るか?」


「おばあちゃんに会いたくないんだけど。」


「今の母さんに会ってみたら考えが変わるかもよ。」


「それもそうだね。」



車は拓人の実家の方へと向かっていった。


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