2パート
愛は頷いて真美にかけよった。
「お母さん。愛が来てくれたよ。愛、お別れしてあげて。」
「おばあちゃん、私、過去に行ってきたんだ。お父さんが若かった頃のおばあちゃんに会ってお話した。私おばあちゃんの事長い間嫌いで・・・・・しかも・・・・・誤解してて。本当にごめんなさい。」
愛は過去での元気な姿を見た直後もあるのか真美の姿を見て、今回がラストチャンスであるとなんとなく思っていた。だから全てを話す事にした。
「過去でのおばあちゃんは私の事大好きだって言った。小学生の時、たくさん勉強させた事もその理由もわかった。中学生になってから私はおばあちゃんを避けるようになった。もっと何回も会いに行けばよかったね。もっと・・・・・ちゃんとお話すればよかった。」
話してるうちに愛は涙が出てきていた。何度もぬぐいながら言った。
「プリントの事なんてもうどうでもいい。発表会にだって・・・・・本当は来てくれていたのにね。私がもっとお話していればわかったんだ。おばあちゃん、私もおばあちゃんの事大好きだよ。」
真美は消えゆくような呼吸の中で最後の最後の力を振り絞って愛の方を見た。
「あ・・・・・い・・・・・。やっ・・・・・と・・・・・あ・・・・・えた。」
「頑張って会いに来たよ。私、これから頑張るから。自分の人生だから自分でちゃんと選ぶから!」
「あ・・・・・い・・・・・ごめん・・・・・」
「おばあちゃん、私もごめんね。」
「今・・・・・ま・・・・・で・・・・・あり・・・・・が・・・・・と・・・・・う。」
真美は深く目を閉じ、眠るように息を引き取った。
真美は最後の最後にどうしても愛にあいたかった。最後の言葉を伝えたかった。
ありがとうと。
愛の心には、おばあちゃんと共に過ごしてきた時の思いが大切な記憶として残っていた。
おばあちゃん、おばあちゃん、父と母が何度も何度も真美の名前を呼んでいる中、愛の心にはあの美しい大海原の景色が広がっていた。
健太が立ち上がっていった。
「姉ちゃん。次は俺が過去に飛ぶ。」
「何をしに?」
「姉ちゃんは最終的に思いを伝えられた事を瑠奈さんと志穂さんに伝えなきゃ。そしてお礼を言う。今はとっくに連絡とれないし、いきなり行ったらおどろかれちゃう。だから姉ちゃんが過去から未来へ帰った直後の30年前に俺がいって伝えてくる。」
「わかった。行ってらっしゃい。」
健太は愛の6つ下で今は20歳である。
健太は愛のため、そして、真美や拓人のために飛ぶ事とした。
不思議な事に過去の30年前にとんだところ6歳くらいになっていた。
なぜこうなったかはわからないが早く拓人に会わなければならない。
ちょうどその時、真美からカフェに呼ばれている拓人を見つけた。
拓人の前に走っていった。まずは愛が勘違いしているから真実を伝えなくちゃ。発表会にはおばあちゃん、ちゃんと出席していたという事を。