2パート
真美は顔を手で覆い座り込んでいた。
瑠奈が優しく言った。
「拓人くん、あなたが過去に飛んだ事であなた自身は何も変わらなかったと思ったと思う。でも、それはいいの。当時の私達はあれほどに重いものを文句も言わずに運んでくれる人がまだいる事がうれしかった。そして、それが30年後の人であることを知り、もっとうれしかった。何年経とうとも誰かのために何かを出来る人がいる事をあなたは身を持っておしえてくれた。そういう思いは時をも越えると。だから真美、愛ちゃん。これからだよ!」
真美は顔をあげて話を聞いていた。
「でもね、愛ちゃん。あなたにはすべき事がある。」
愛は真面目な顔で聞いた。志穂がすこし厳しい顔で言っていた。
「真美おばあちゃんにちゃんと思いを伝えて。こうしてお話をした私達の思いを。そして嫌いであると勘違いしていた事を謝りなさい。あなたがどのように思いを抱いているにしろ、自分のおばあちゃんだから。きちんと敬意を払いなさい。わかった?」
「わかりました。」
愛は大きく頷いた。真美が立ち上がり、愛を抱きしめた。
「愛ちゃん。ありがとう。そしてお疲れ様。」
「ちゃんと伝えるんだよ。」
「はい!」
「今まで、お疲れ様。」
愛が砂浜を歩いていくと虹色の光をまとい、愛はきえていった。
志穂が髪をなでながら言った。
「いや、さわやかな子だったね。あの様子からすると30年後も生きてるね真美は。」
「憎まれっ子世にはばかる。」
「なんてこと言うんだか。」
真美がぼそっと言った冗談に笑いながら、瑠奈が聞いた。
「しかし、30年後の息子が若かった頃の親を助けに来るなんて素敵だねー。」
「よもや30年前に飛ぶとは思いませんでした。」
「本当はもっと近い過去に飛びたかったんですけどね。」
「なんでそんな時間にとんだんだろうね。」
4人が話しながら歩いていると6歳くらいの男の子がひょこっと車の影から姿を表した。
「こんにちは!」