1パート
愛は泣いていた。おばあちゃんに本当は好かれたかったもっとあそびたかった。勉強なんてしたくなくておばあちゃんともっともっとお話したかった。
「これは聞いた話なんだが・・・・・」
拓人が口を開いた。
「実はおばあちゃん、発表会いってたんだよ。」
「え?」
「この写真。」
写真は家族が愛のピアノを弾いているところを写真におさめていた。
「これは撮るのに最後尾の後ろに立たなくちゃならない。おばあちゃんはみんなと愛が一緒に写ってる写真を撮りたくてそこにいたんだ。」
「なんで今まで・・・・・」
「この写真、愛にピントがあってなかったんだよ。愛の演奏に感動してたのか泣きながら撮ってて、ぶれたのを知られるのが恥ずかしかったんだって。」
なんで拓人がそんな事を知っているのかはわからなかったが愛はとにかくうれしかった。今度はうれしくて泣いていた。
真美が力の入った声でいった。
「愛ちゃん。あなたが拓人の娘、私の孫だとしたら私があなたの事を嫌いになることなんてない。それだけは、それだけは自信がある!」
「もし、あなたが私の事を嫌いになったんだとしたらその原因は私だ。」
真美はとても珍しくおしゃべりだった。
「あのね、学生時代瑠奈は塾の先生のバイトをしていて楽しそうだった。でも塾の先生のバイトをするには勉強していい高校、大学へ行く必要があって勉強が必要だった。拓人は大の勉強嫌いでしない子だったんだけど放任してたら成績下がった。高校、大学へは行けたんだけど塾の先生へはたくさん受けたのに面接でだめだった。拓人は塾の先生のバイトをできずじまいだった。それが悪いわけではないけどだからもし孫ができたら今度は勉強して塾の先生とかバイトだけに関わらず自分のやりたい進路を自由に選べる幸せをつかんで欲しかった。」
「もしも、未来で私が勉強勉強って苦しめて、泣かせて、傷付けたのなら私のせいだ。本当に本当にごめんなさい。」