2パート
「この子を連れていたから。」
愛はぽかんとしていた。
「ほんと、私にそっくり。」
拓人は少しおそるおそる聞いた。
「まさか、母さん全部お見通しだったんじゃ・・・・・」
「そりゃ、お母さんだもの。」
真美は最初に愛を見た時に全てお見通しだった。愛が自分の孫であること、そして孫もまた同様に過去を変えるための旅をするために来たのではないか。愛の顔はお母さんに似ているものの大きな目はおばあちゃん譲りなのか真美そっくりだった。
志穂がさらに続けた。
「おまけに真美は最初に愛ちゃんの顔を見た時の愛ちゃんの表情から愛ちゃんはおばあちゃんにいい感情を抱いてない事にも気付いた。」
愛は今までの思いを全て吐き出すように言った。
「今目の前にいる真美おばあちゃんは私の事好きかもしれないけどね、きっと嫌いになるの。絶対。真美おばあちゃんは小学生の私に勉強勉強って何度も言って無理矢理させたの。塾にまで行かせようとしたし。嫌いだから一緒にいる時間を減らしたかったんでしょ。わかってるんだから。」
感情をぶちまけてるうちに段々と愛は目に涙をためていた。
「私が授業で使うプリント埋めてなかったからって遊びから帰ってきた私を怒鳴りつけて夜遅くまで勉強させて、しかも適当なごめんなさいだけで話をなかったことにして。私がどれだけ傷ついたと思ってるんだ。こんな理不尽な事ってないよ。絶対おばあちゃんは私の事嫌いなんだ。だからあんなに辛くあたったんだ。しかも・・・・・しかも・・・・・ピアノの発表会来てくれなかった。嫌いだから見る価値ないって思ったんでしょ。からっぽの席を見て私はすごく落ち込んだんだから。」