1パート
男の子との話を終えた拓人は真美に合流する事とした。途中から愛も加わった。
カフェの前で立っている真美は愛と拓人をカフェの中に入れた。
「あら、ほんとだ。そっくりだ。」
「ほんとだねー。そっくりというか同一人物だからな。いやぁしかし、直に見るとほんとすごいな。」
なんと拓人が30年前に飛んだ先にいた瑠奈と志穂がそこにいた。真美はこの二人に会っていたのだ。
「さて、あの海岸に行こう。」
真美は皆を引き連れて海岸の砂浜へと歩いた。
志穂が茶化しながら言った。
「ったく、ここはあなたと旦那が一緒に歩いた場所でしょ。思い出があるのはわかるけどなんであたしらを連れてくんのよ。」
真美は目をつぶり、長めの瞬きをして海を見ながら言った。
「拓人、おかえりなさい。30年前は私も瑠奈も志穂も若かったでしょ。」
拓人は驚いた。何も気付いていないと思っていたがその逆で何もかもお見通しだったのか。
「志穂がかなり頑張ってくれたんだ。」
「真美、相変わらず何言ってんだかわかんないよ。」
皆は笑った。そして志穂は腕を組みながら前に出ていった。
「もちろんながら、最初に気がついたのは真美だった。30年前に飛んで私達の研究の手伝いをしたのは紛れもなく息子であるあなたであるということを。自分の子供が段々と顔が似てくるんだから気づいちゃうよね。真美はあの時のおぼろげな記憶から自分の子供が何歳の時かと予測していた。でもさすがになんで飛んだのかはわからなかったけどね。ねぇ瑠奈。」
「うん。過去に飛ぼうとするのにはそれなりの理由がある。その理由は終始わからなかった。私達みんなで考えたんだけどね。」
「でも今日拓人、あなたを見てもう過去への旅を終えたのだと気付いた。」
「待って、母さん。なぜわかったの?」
真美はにこっとわらって愛を見た。