表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
8/22

偽りの優しさ

友達以外に読んでくれてる人がいるとは思わなかったw

感想(?)、ありがとうございますm(__)m


この話からちょいちょい1話完結じゃなくて、2話、3話にわたる話が増えてくと思います。

なるべく間は離さないようにするつもりですけど・・・

開いちゃったらごめんなさい・・・

完全完結まで途中でやめるつもりはないので気長に待ってくださるとうれしいです。


―――

「………はぁっ…! はぁっ…!」

私は再び、自分の部屋へ。

今は、痛みはない。

でも、さっき与えられた激痛という感覚は、残っていた。

「……ぐっ… うぅっ…」

思い出しただけでも、さっき感じた激痛を、感じた気がした…

「……ぅあ… ひぐっ……」

もう、行きたくない…

毎回酷い目に遭う。

次、また向こうの世界に飛んだら何が起こるか分からないし、私がどうなるかも分からない。

里菜ちゃんは…

相変わらず、体勢を変えずに眠っている。

今頃、何をしているんだろう…

一刻も早く会いたい。

里菜ちゃんには会いたいけど、その里菜ちゃんがいる向こうの世界にはもう行きたくない…

でも、やっぱり里菜ちゃんに会うためには……

葛藤と矛盾が私の思考を支配する。

でも、絶対に、私はまた向こうの世界に行かなくてはならない。

無理矢理にでも行かされる。

「……はぁ…」

どうしようもない、今まで感じたことのないような感情が私の中でふくらんでいく。

と、その時。

『莉奈ちゃん… ごめんね…』

「………」

理科ちゃんから、LINE。

無意識に、理科ちゃんのせいで…という思考がよぎる。

返答する気には、なれなかった。

『……答えなくていいから… 地図に関しては、こっちでは今は何も出来ない… ごめん…』

『でも、全く何も出来ないって訳でもないから… 時間はかかっちゃうかもしれないけど…』

………

私は、どうすればいいんだろう…

もう分からなかった。

何をやっても、友達を救うことは出来ないし、何をやっても、私は最終的に死ぬことになってしまう。

まさに絶望的だった。

里菜ちゃんを探そうにも、どこにいるか分からない。

何も、出来ない…

「………っ」

また、頭がねじ曲げられるような頭痛。

これで、向こうの世界に飛ばされるのは何回目だろう…

―――


「…はぁっ… 今度は…?」

目の前は真っ暗。

というより、夜みたいな感じがする。

場所はよく把握出来ない。

でも、時々車が走るような音が聞こえてくるし、明かりも所々見える。

しばらくして目が暗闇に慣れてくると、前には公園らしきものが見える。

「ん…と… これは…」

草をかきわけて前に出る。

そこは、現代の日本の公園だった。

私が飛ばされた場所はその公園の脇の草むらの中みたいだった。

現代の日本ってことは…

「人がいるかもしれない…」

明かりは街灯。

車の音も聞こえ、鋪装された道路もある。

でも、周りに人がいる気配はなかった。

本当の意味での夜なので、人がそこらへんを彷徨いてないのもありえなくはない。

その時。

車が来る。

とりあえず、ここがどこなのか、とか、聞きたいことは少なからずある。

道路の脇の歩道の所に立ち、手を大きく振る。

「止まってくれないかな…」

ヘッドライトを着けているので、私の姿は確認出来ているはず。

しかし、減速はせず、そのままスルーして通りすぎるつもりのようだった。

少し落胆し、手を下ろし力を抜いた時…


ドンッ


「…えっ?」

後ろから、誰かに押され、私の体は車道へ。

キキーッ!

流石に車の運転手さんも飛び出した私を見てブレーキを思いきり踏む。

しかし、車と私の距離はまさに目と鼻の先。

間に合うはずが、ない。


ドゴッ…


「ぐっ…! あ……」

体全体に、鈍い重い痛みを感じる。

途端に、目の前の景色はぐるぐる回りだし、意識が遠退く。

「……まっ…………助け……」

私の懇願の声は届かず、車は私を無視して走り去ってしまった。

そして、私の意識は闇に落ちた…

―――


――

「……………う…」

身体中が痛い…

体を動かせない程の痛みが襲う。

「あ、目を覚ました」

「………?」

誰かいる。

「大丈夫? 君、道路に倒れてたんだよ?」

頭がぐるぐるする…

「………う……ん…」

「…どうしたの? 何があったの?」

かろうじて目を開き、相手の人を確認する。

二十歳くらいの男の人だった。

どうやら介抱してくれてたみたいだけど、前のこともあるし、簡単には信用しないようにしよう…

「…う…… え…と… っ………いた…」

「どこか痛いの? 見る限り、血とか流してないけど…」

とりあえず、覚えてる範囲で、何があったかぐらいは話とこう…

「…車に……跳ねられて…」

「車に!? 大変じゃん! 具体的に、痛い場所とか分かる?」

「………全身…」

「そっか… ちょっと待って…」

……?

男の人は、その人のバッグらしきものから何かを取り出した。

「ごめんね、ちょっと痛むかもしれないけど…」

私の左腕の肘の内側を湿った脱脂綿で拭き、注射を射とうとする。

「…! ま、待って下さい…」

「大丈夫、鎮痛剤だから。 多分、痛みは若干治まると思う」

「っ……」

腕を絞め、浮き出た血管に針を当て、薬を流し込む。「……よし、これで大丈夫かな」

「…え…と…… ありがとう、ございます……」

「いいっていいって」

「……お医者さん…… ですか…?」

「うーん…と… まぁそんなところかな」

「………」

答えをはぐらかした。

信用は出来ないけど…

とりあえず、命を救ってもらった訳だし、あまり敵意を出すのも悪いと思う。

「…あの…… うっ……」

「あぁ、あまり動かない方がいいよ。 鎮痛剤って言っても、すぐに効き目が出るわけじゃないから…」

まだ、体はずきずき痛む。

まともに動けるようになるのは、まだ先のようだ…

「家、どこ? 送ってあげるよ」

「……え…と…… ここは、どこですか…?」

「え? えーと、裏浮りうき市の6丁目だよ」

「………え?」

「え? っと…他に同じ名前の場所は無かったと思うけど… 紀井形県裏浮市6丁目、だよ」

「…は、はぁ……」

聞いたことの無い地名。

まぁ、一応別世界だからあたりまえと言えばあたりまえなのかもしれないけど…

現実世界と同じ地名なら、いろいろと調べられると思ったんだけど…

「5丁目の方? 君が倒れてたところは、5丁目よりの場所だったんだけど…」

「あ、え…と… ごめんなさい…… 分からないです…」

「え、分からない? あぁ…頭打っちゃったか… 困ったな…」

そう言って、男の人は頭をかく。

…このあと、どうしよう…

「うーん仕方がないけど… 思い出す…ってのもおかしいけど… もしよかったら、僕の家に来るかい?」

「え… でも、ご迷惑では……」

家に誘うってのもなんか怪しいような…

考えすぎかな…

「いや、迷惑にはならないよ。 一人暮らしだし、家に帰れば看病も出来るし… もちろん、君次第だけど」

「………」

お金はないし、断ったところで当てはないし…

不本意だけど、動けるようになるまでお世話になった方が、私的にも楽…

仕方ないけど…

「…じゃあ、その…… 私が、動けるようになるまで……お願い…出来ますか…?」

「…うん、分かった。 じゃあ君が動けるようになるまで、うちで看病させてもらうね」

「すいません… お願いします…」

「了解。 あ、君、名前は?」

「え…と…… 黒川…莉奈です…」

「分かった。 莉奈ちゃんだね。 じゃあ、車に乗せるから… ちょっと、ごめんね」

膝の下と、首の裏側に手を入れられ、持ち上げられる。

「…っ… 痛っ…」

「ちょっと我慢してね…」

そして、近くにあった車の後部座席に乗せらる。

「じゃあ、僕の家に行くからね。30分ぐらい揺れるけど、我慢してね」

「……はい…」

時折来る揺れに身体中に痛みが走る。

それを我慢し、私は男の人の家に連れていってもらった…


「っと… 着いたよ」

約30分、車に揺られた。

安全運転だったけど、曲がるたんびに体にかかる遠心力に耐えるために足で踏ん張る。

しかし、そのたびに鈍い痛みが走り、かなり辛かった。

「ごめんね、一応安全運転には心がけてたつもりなんだけど… …っしょっと…」

「…あ、いえ… 大丈夫です…」

大丈夫ではないけど、普通にその言葉が出てくる。

体を持ち上げられ、その人の家―アパートに入る。

中に入り、ベッドに下ろされる。

「あ… すいません……」

「ううん、大丈夫。 薬、効いてきたかな?」

「え…と… 分からないです…」

「まぁ、そうだよね。 もう1回射つから、ちょっと待っててね」

そういって、男の人は外の車に戻る。

しばらくして…

「えーと… じゃあ腕、出してくれるかな?」

「………」

私は無言で左腕を差し出す。

男の人は、湿った脱脂綿―恐らく、アルコールで消毒し、腕を絞め、浮き出た血管に注射を射した。

「…よし。 しばらくしたら、今よりは痛みは治まってくると思うから」

「……ありがとうございます……」

………

普通に、優しい人なのかもしれない。

でも、過去にも、油断した途端に惨劇に会ってきた。

よっぽどのことが無い限り、信用しないようにしないと…

でも…

あまり、疑いすぎるのも悪いし…

「どう? 何か思い出せた?」

「…え? あ…すいません…まだ……」

「そっか… まぁ、ゆっくりしてもらって大丈夫だからね」

「…ありがとうございます…」

………本当に、優しい人みたい。

みたいじゃなくて、優しい。

「もう12時か… ねぇ、なんであの辺りにいたの?」

「…え?」

「いやさ、ここが分からないのに、なんでここにいたのか、って」

「え、えーと……」

現実の世界から、こっちの世界に飛ばされて…

なんて言っても、分かるはずがない。

「………」

「…分からないか… ちょっと厄介な記憶障害だね… まぁ、ゆっくり思い出していけばいいよ」

「は、はい……」

と、一瞬意識を奪われかける。

……?

不意に睡魔が…

「…あ、さっきのに睡眠成分も含めておいたから。 寝ちゃっていいよ」

「……あ、はい……… 今日は、ありがとうございました…」

「どういたしまして。 じゃ、おやすみ。 明日から、頑張ろうね」

「………」

私は睡眠に襲われ、久しぶりに、ふかふかの布団の中で眠りについた。


葛藤混じりの疑いを抱きつつ、これから起こる地獄の未来を否定しながら…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ