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絶望の仮想世界  作者: ぷらずま
第1部
10/22

僅かな希望

2月中に上げるといって上げなかった雑魚です(^p^)

すいません!

学年末テストとか、いろいろ忙しかったんですよ。


この話は前編なので次の話はなるべくすぐ上げられるように頑張ります。

気長に待ってくれたら幸いです。

――

「………んぁ…?」

ヴーッ ヴーッと、携帯が震えている。

「………」

…ん?

「………」

なんだっけ?

「……あ……」

その時、初めて理解した。

いつの間にか自分の部屋に戻っている。

向こうで何があったのかは、覚えてない。

携帯をとり、電話にでる。

「…もしもし」

『あ、莉奈ちゃん……大丈夫?』

………

「……あ、あー。………え?」

『え? だ、大丈夫? どうしたの?』

「……あ、理科ちゃん。 もしもし」

『え… あ、うん… もし…もし…?』

「どうしたの?」

『え…(こっちのセリフなんだけど…) いや、なんでもないよ』

「そっか」

ピッ

「あ」

間違えた。

「切っちゃった」

直後、再び着信が入る。

「………?」

なんか、おかしい。

考えることができない。

思考が働かない。

ふと、壁に飾ってある時計を見る。

1時を少し過ぎていた。

1時…?

「ん?」

…11時40分

そして、例の頭痛がくる。

「………っ。……あ…レ……?」

……何か…

違和感を感じる。

『そこにあるべきもの』がないような…

頭がガンガン痛い。

自然と、横になる。

そして、薄れゆく意識の最後に見えたもの。

それは、2つの……


――

「……ん……っ…」

………

目が霞んでよく前が見えない。

なんか、いつもより調子がおかしい…

「…ん……」

目をこする。

でも、視界は真っ暗なまま。

前が、見えない。

私の目がおかしいんじゃなくて、本当に真っ暗な場所にきているようだった。

顔の近くに掲げた手がやっと見えるくらい、暗い。

と、その時…

……パッ

「………?」

明かりがついた。

………

働かない頭を、無理矢理働かせようとしつつ、周りを見る。

建物の中。

そこは、古い、洋館みたいな場所。

いや、洋館かどうか分かんない。

ホテルかもしれないし、誰かの豪邸かもしれない。

ただ分かるのは、かなり古く、人はいないだろうということ。

ところどころ―壁や床―には穴が空いており、いつ崩れてもおかしくなさそうだった。

手をつく場所を変えるたびに、ギシ…ギシ…という音が聞こえる。

とりあえず回りを歩こうとするけど…

頭が何故かくらくらする…

立つのもキツい。

それが治まるまで、私はしばらく休もうと壁によっかかり、眠りについた。

目を閉じたら、睡魔はすぐに、私の意識を奪っていった…


――

「………ゃん?」

「…………ん…?」

声が聞こえる。

「莉奈……ちゃん…?」

え…?

名前を呼ばれている。

「……ん……え…?」

「あ、よかった、起きた~」

「……えと……?」

「え?私だよ、私!羅夢らむだよ」

「……あ、あー… 羅夢ちゃん…」

―羅夢ちゃん。

それほど目立つ子ではないけど、気が利いたり、とても優しい。

そして、いつも明るい。―

「大丈夫? なんか、いつもと違うような気がするんだけど?」

「うぇ? あ、大丈夫、大丈夫だよ」

少しずつ、頭を動かしていく。

「そっか。 ならいいんだけど。 あ、そういえばれんちゃんも一緒なんだよ~。 今はちょっと離れてるけどね」

「…あ、そうなんだ… じゃあ一人じゃないんだね」

―憐ちゃん。

クラスでも、割と大人しめの子。

休み時間にはよく本を読んでる。

主にラノベみたいだけど…―

とにかく、人がいた。

それも、クラスメイト…

………また…

また、私は惨劇を目にしなくちゃならないの…?

「あ、羅夢ちゃん… ちょっと聞きたいことあるんだけど…」

「ん?何?」

「この場所、どうなってるの? 二人はここに来て、どのくらい時間が経ってるの?」

その前にまず、情報収集…

重要なことは、二人揃ってからの方がいいかな…

「うーんとね、ここ、どっかの洋館みたいで、部屋がたくさんあるよ。でも、ほとんどの部屋が板で打ち付けられて開かなくなってるよ。まぁ、こんなにボロいしね~」

「ほとんど、ってことは入れた部屋もあるの?」

「うん。でも、中はほとんど空だったり役に立ちそうなものはなかったかな~。まだ全部見た訳じゃないけどね」

「そっか… で、時間はどのくらい?」

「うーん、2時間くらいかな?多分だけど」

2時間…

行く先々によって時間軸が異なってる…?

「最初から憐ちゃんと一緒にいて、さっきまで一緒に行動してたんだよ」

「…なんで今は別なの?」

「そのほうが、探索には効率いいかな~…って。なはは」

羅夢ちゃんは、そういってけらけらと笑っている。

「あ、危ないよ… よく分からない場所なのに単独行動って…」

「大丈夫だよ~。出口さえ見つかれば出れる訳だし!」

そういえば、羅夢ちゃんは結構楽天的な性格をしていた…。

その明るさが、とても眩しく、そしてとてつもなく悲しい…

「今二人で出口探してるから!莉奈ちゃんも一緒に行こう!」

「う、うん…」

…この明るさが、数分後に消えてしまうかもしれない…

……嫌だ。

今度こそ、絶対に死なせない。

「じゃあ、まずは憐ちゃんと合流しないと… 一人は危ないよ…」

「…? そうだね。ついてきて、多分こっちの方だよ」

「多分って…」

「あ、いやーかれこれ30分くらいかな? 別行動し始めたの。どこにいるかは分からないや。なははは」

「………」

やめて……

その…明るさが……

「…大丈夫?莉奈ちゃん。 具合悪い?」

「あ…ううん。大丈夫… 早く、憐ちゃん見つけないと… どうなってるか分からないし…」

「そんな心配しなくても大丈夫だって~。そうそう危ないことなんて起こらないから! じゃ、行こう!」

「………」

嫌な予感しかしない…

とにかく、憐ちゃんの無事を祈って…

そして、二人を無事に元の世界に戻さないと…

ふと、繋がれた手に少し力を入れ、前みたいに念じてみる。

しかし、何も起こらない。

これについても、何か条件があるのかも…

二人を無事に元の世界に戻す方法を考えながら、私は羅夢ちゃんに手を引かれ憐ちゃんを探すことにした…


――

「…はぁっ…はぁっ…」

「大丈夫?莉奈ちゃん…」

「う、うん大丈夫… 早く探そう…」

こっちに何回か来るようになってから、疲労の溜まり方が半端ない。

まだ30分しか歩いてないのに、すごい疲れた…

そもそも、ここの建物が異様に広い。

30分歩いて、やっとこさ廊下を3階分歩き終わったところ。

何階あるか分からないけど…

この建物を全て探索するには、かなりの時間が必要みたい…

「ちょっと休む? 本当に大丈夫?」

「大丈夫…大丈夫… 早く、憐ちゃんを見つけよう…」

「う、うん」


――

そして、更に約30分歩いたころ…

私達は1階まで降りてきた。

探索を続けていると、玄関ホールみたいな広い場所にきた。

そして、玄関らしき大きな扉の前に佇む、一人の女の子を見つける。

「……あ!」

「お、憐ちゃーん」

「…?あ、羅夢さん… と……莉奈さん?」

「途中で見つけて拾ってきた。 なんて、なはは」

「憐ちゃん、怪我とか…… なんか嫌なこととか起きなかった…?」

「…? 特に… それより、莉奈さんの方が疲れてるみたいですけど」

「スルーですか…(´・ω・`)」

しょんぼりしてる羅夢ちゃんはちょっと置いといて、話を進める。

「う、うんちょっとね…」

「…そう… あ、嫌なこと。 強いて言えば、この扉」

「……?」

一見普通の扉。

しかし、ついている窓の外は暗黒に染まっている。

「鍵はないはずなのに、開かないの」

「え…?」

「マジで?」

建物の中にいて、出口のドアが開かない。

「なんかそれヤバくない? 何かに襲われて私達殺されちゃったり…… なんちゃって☆ なはははww」

キレた。


「不謹慎なこと言わないで!!」


「!? ご、ごめん、少しでも空気を明るくしようとして… ごめん…」

「えっ……あ…… ううん… こっちこそいきなり怒鳴ってごめん…」

「ん、まぁいいか。 ごめんね、莉奈ちゃん」

「う、うん…… こっちこそごめん…」

「いーよいーよ。 ところで、憐ちゃん見つけたけど、次どうしよっか? 出口開かないみたいだし」

そう、問題は解決していない。

どうにかして、ここから出る方法を探さないと…

その時、ふいに憐ちゃんが扉を正面にして、左を指さす。

「あそこに階段がある」

「え?あ、ほんとだ」

「……?でも、あの場所に…?」

階段のある場所に違和感を感じる。

こんなところに階段があるのはおかしい。

最初、私がいたのは7階。

そこから、1階1階一通り回ってきたけど、階段はフロアの中央に1つしかなかった。

しかし、今見つけた階段は端っこにある。

設計上、この場所に階段があるのはおかしい。

「とりあえず上がろう! 上から出れるかもしれないし!」

「ええ」

「う、うん…」

怪しいけど、前に進まなくちゃ何も変わらない。

私達は薄暗くなってる階段を足下に気を付けながら上っていく…


「…はぁ…はぁ……」

「大丈夫?莉奈さん。かなり疲れてるみたいだけど…」

「だ、大丈夫…大丈夫…」

嘘だった。

全く大丈夫じゃない。

足はガクガクするし、頭はくらくらする。

「ちょっと休む?」

「い…いい…」

「…分かった。でも、ほんとに歩けなくなった時は言ってね」

「う、うん…… ありがとう…」

正直、もうキツい…

でも、早く二人を現実世界に戻さないと…

……………

それにしても……

なんかおかしい。

私達はいつまで階段を上っているんだろう。

私が最初にいた7階。

そこの階段は上りは無く、下りだけだった。

それ以上はないと考えているだけかもしれないけど…

もうかなり上っている気がする。

流石のさっきまで元気だった二人も、少しずつ息切れしてきている。

と、……

「………あ…」

足に力が入らなくなり、階段の段差を利用してその場に座り込む。

「……はぁっ…はぁっ…はぁ…」

「……確かにキツいよね… いつまで上ればいいんだろう……」

「少し休む?」

「うーん… うん、そうだね。少しやす……?」

「………? ど、どうし…たの…?」

羅夢ちゃんが、階段の先を見つめている。

「あ、あともう少しみたい! 階段の終わりが見える!」

「……ほ、ほんと…?」

「うん! 莉奈ちゃん、頑張ろ! あと少し!」

「……っ」

ふらふらになりながらも、手を借りて立ち上がり階段を上る。

羅夢ちゃんの言った通り、少し上ったら階段を上りきった。

平らになっている床に、すぐさまぺたんと座り込む。

「…はぁ…はぁ……っ」

「お疲れ、莉奈ちゃん!」

「う、うん…… ありが…とう…」

「ちょっと、周り軽く見てくるね!何かあったら、すぐ戻ってくるよ」

「………ぁ…」

止めようとした。

でも、体はもう動かないし、声も呼吸で精一杯だった…

憐ちゃんは、私の隣で辺りをきょろきょろと見回している。

「……何か、ある…?」

憐ちゃんはふるふると首を振り、

「薄暗くてよく見えない。 でも、何かあるようには見えない」

「そ、そっか……」

てことは、羅夢ちゃん次第。

何かあってほしくはないけど…

でも、今は頼るしかない。

………

「遅いね」

「…う、うん… 大丈夫かな…」

なかなか戻ってこない…

まさか、羅夢ちゃんの身に何か…

と、その時。

「…ぉーい!」

「あ………」

羅夢ちゃんの声が聞こえた。

無事で、よかった…

「ごめんごめん遅くなっちゃって。なはは」

そうやって、けらけらと笑う。

「でも、なんかすごいの見つけたよ!」

「すごいの?」

「うん、なんかおおきい穴が空いてた。床に」

「…床に大きい穴…?」

「うん。ちょっと行くだけ行ってみようよ。それ以外は特に何も無かったし」

「う、うん…」

「歩ける?莉奈さん」

「……っ うん、もう大丈夫…」

「じゃ、行こう!」

羅夢ちゃんに手を引かれて、私はまた歩き出した。

その先にある、僅かな希望を信じて……

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