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幸せの小人姫  作者: ちろ
6/12

小人姫とロマンスグレー

短めです。

 ―――――――やっぱり夢じゃなかった。

 見慣れない部屋、布団代わりのクッション、そして目の前の大きな人間を見て思うのは、これが妄想の産物ではなく現実であることへの落胆だった。

これが夢でしたーって展開だったらどれほど良かったことか―――――


「なーに暗い顔してんだよ。…これじゃ今日も添い寝が必要か?」

 いつの間に起きていたのか、アレイがニヤニヤしながらこっちを見ていた。添い寝って…!確かに昨日はホームシック(?)で心細くなってたけど!アレイのことちょっと優しい人かもとか思ったけど!

 撤回…こいつ、絶対デリカシーない!!乙女の敵だ!


*-*-*-*-*-*


「はじめまして、ミホ・カサハラさん。私はミネハルア学院長のジョージ・カリオニングです。本当なら昨日のうちに挨拶したかったんだが、私が戻ったのが遅かったものでね。申し訳ない。」


 朝食後、パイアー先生とマルリさんに連れられてやってきたのは学院長室。

 どうしよう、お偉いさんと挨拶なんて…と緊張していた私を迎えてくれたのは、優しそうな紳士でした。素敵な微笑みと渋い声、握手した手はとても温かくて、学院長の人柄を表しているようで安心できた。

 昨日の話では学院長が私のことを報告するみたいだったけど、この人なら信用できそう。


「さて、まずは我らがミネハルア学院に君が現れたことに感謝しよう。まさか生きて小人姫に会えるとは夢にも思っていなかったからね。君にとっては突然のことでまだ混乱しているかもしれないが、我々ができる限りサポートさせてもらうから安心してくれ。そうそう、国主へ早速連絡しないと。大丈夫だよ、彼と私はここの同級生でね、決して君の嫌がることはしない奴だ。まあ、自分より私の方が先に会ったことについては、しつこく文句を言われそうだがね。」

 そう言っておちゃめにウインクしてくる学院長。シビレマス。


「それから、君の後見人についても話しておこう。」

 え?後見人ですか?

「今の君はこの世界に現れた小人姫、それだけだ。例え小人姫に危害を加えれば良くないことが起きると知っていても、君を狙う奴らはいるだろう。なにせ前に小人姫が存在したのは約百七十年前だからね。ただのおとぎ話だと思って後先を考えないような輩が、必ず出てくるということだ。」

 そこまで聞いて血の気が引いた。そっか、この世界では私はイレギュラー。私を狙ってくる人たちがいるというのには納得できる。

 しかも、この大きさでは碌に抵抗もできないだろう。


「そこで提案なんだが…私が君の後見人になるのはどうだろう?こう見えて私はこの国では上の方の地位だし、顔もそこそこ広いと自負している。もし何かあっても、それを解決するだけの手腕はあると思う。もちろん、私だけでなくこの学院全員で君を守るつもりだ。今後の道が決まるまででもいいから、ここで過ごしてくれないか?」

 じっと真摯な瞳が私に向けられる。うん、やっぱりこの世界の人たちともうまくやっていけそうだ。

「はい、御迷惑でなければ宜しくお願いいたします。」

 お辞儀をしながら言えば、後ろからパイアー先生に頭を撫でられる。

「よろしくな、ミホ!困ったことがあったらすぐ俺に言えよ!」

「先生、力が強すぎます。ミホの綺麗な髪が傷んだらどうするんですか。」

 あ、やっぱりマルリさんは先生に対してもストッパーなんだね。


「では、これから私は国主のところへ行ってくるよ。たぶん…二、三日のうちに対面できるはずだからミホもそのつもりでね。なに、ただおじさんと話すだけだから、大層な心づもりもいらないがな。」

 ついに国主様との謁見ですか!そんなこと言われても雲の上の人だし、緊張しないわけがないよ。


「さて、話が纏まったところで、ミホに紹介しておこう。」

 そう言って学院長が部屋の隅にいた二人の生徒を呼んだ。そうそうさっきから気になってたんだよね。

「寮長のドミニオ・オースクレスト。そして副寮長のリース・ワイシスだ。二人とも六年生で、今年の生徒代表として頑張ってくれている。ミホの生活に必要なものは学院で購入するから、その際はこの二人に相談してくれ。」

「寮長のドミニオだ。よろしくな!」

「副寮長のリースです。何か困ったことがあったらすぐにおいで。」

 頼れる兄たちができました。

※登場人物※


ジョージ・カリオニング(55)

ミネハルア学院長。口ひげが素敵なおじさま。

ミホの後見人。

国主とはミネハルア学院での同級生で、今でも交流がある。


ドミニオ・オースクレスト(18)

寮長。明るいムードメーカー。

生徒会長みたいな役職だと思ってもらえれば。


リース・ワイシス(18)

副寮長。知的メガネで穏やかな策略家。


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