山根村
永らくお待たせしました。スランプや色々なトラブルに見舞われ、中々更新できませんでした。お待ちになった方、申し訳ありませんでした。m(__)m
迷いの森を抜けた後、少し歩くと左右二手に別れた道に出た。
そこには、矢印が付けられている看板が建てられてあり、右側には小さな村、左側には湖があるらしく大体の距離と名前が書かれている。
「それじゃあ、わたしはこっちに用事があるから、エミィも気を付けて行けにゃ」
黒猫はしっぽをふりふりとしながら湖の方へと歩いて行く。
「黒猫さんも気を付けてぇ〜」
エミィは手をぶんぶんと振りながら黒猫を見送る。
やがて、その姿は次第に小さくなっていった。
「さぁ、私も行かなきゃ」
黒猫が完全に見えなくなった後、エミィはさっときびすを返すと村の方へと歩み始めた。
〜山根村〜
しばらく進むと、村の入り口らしき門が見えてきた。
入り口には大きなアーチが設けられており、そこには『ようこそ山根村へ』と、書かれている。
「よし、頑張るぞ!!」
気合いを入れる為、頬をペチペチと両手で叩く。
その後、どこか不自然はないか確かめる様に額や身体をペタペタと触ってみる。
(よし、問題ない)
エミィはこれからの期待に胸を膨らませ、山根村へと入っていった。
辺りを見回してみる。
村の入り口付近には、民家や商店があるわけでもなく、辺り一面たんぼと畑が広がっている。
土手には蓮華の花が咲いており、来村者を暖かく出迎えているようだ。
よく言えば静かでいいところ。悪く言えば刺激の少ない、そんな感じの印象を受けた。
入り口から少し歩くと、たんぼを耕しているのだろうか、おじいさんが牛に長いくわのような物を取り付け誘導している。
「わぁ、すごい。」
くわは相当重いのだろう。
ただでさえ歩くのが遅い牛が、より遅く歩いている。
「よし、最初の仕事だ!」
辺りを見回し、人がいないことを確認する。
誰もいないことを確認した後、私は額の角に意識を集中した。
ポウッ
淡い光がエミィの角を包み込む。
(時よ牛さんの周りの時間を進めて!)
エミィがそう念じた瞬間
「う、うわぁぁぁっ!!」
ゆっくりと歩いていた牛のスピードが急にあがった為に、(当社比、三倍くらいに)手綱を引っ張っていたおじいさんが引き摺られていく。しかし、普通通りに歩いている牛には何故おじいさんが引き摺られているのか分かるはずがなく、そのまま歩みを続けていく。
あまり進まないうちに、おじいさんはその場で気絶してしまった。
「ぁゎゎ、大丈夫ですか?」
エミィは引き摺られて気絶したおじいさんのところへと急いで駆けよると、すぐにたんぼから引きあげ、おじいさんの首に下がっていたタオルを借りる。
それをたんぼの横に流れる小川で浸し、きつく絞った後、急いでそれをおじいさんの額へと乗せた。
「これでよし。次は……」
チラッと隣で寝ている牛に目をやる。
あの後、エミィをタップリと叱った牛は満足したのか、安らかな寝息をたてている。
エミィはびくびくしながらも牛の後ろに隠れ、額の角へと意識を集中させる。
(大地よ、おじいさんの怪我を治して)
エミィの角が発する淡い光と同じ光が、おじいさんを優しく包み込んでいく。
その光はやがて小さくなり、おじいさんの怪我と一緒に消えていった。
「う、う〜ん……」
頭を振りながらおじいさんが目を覚ます。
「あ、目が覚めましたか?」
「ここは……。あれ? ワシはなんでこんなところに?」
おじいさんは辺りを見回した後、何故自分がこんなところで寝ていたのか記憶を辿っていく。
やがて、一つの結論に辿り着いたのか、おじいさんが深々と頭を下げ、お礼を言ってくる。
「あぁ、お嬢さんが助けてくれたのかい? すまないねぇ」
「そ、そんな私は当たり前の事をしたまでで……」
ブンブンと両の掌をふる。
「えらい!! 今時の若者は人助けなんて進んで行おうとはせんのに……」
がしっとエミィの手を取る。
「きっと親御さんの教えがいいのじゃろうなぁ。」
おじいさんがうんうんと頷き、涙を流している。
エミィは諦めたのか、何も反論しようとしなかった。
「そうじゃお嬢ちゃん、きちんと礼もしたいし、ワシの家へこんか?」
「いえ、そんな……。急にお邪魔するのも悪いですし……。」
「まぁ、そう遠慮せんと。ほれ、ついてきなさい。」
おじいさんが、エミィの手を引っ張っていく。
「ほれ、帰るぞ。」
ペチペチと牛を叩く。
モーッと一声鳴いた後、牛はおじいさんの後をついて歩き始めた。
たんぼから少し歩くと、土壁でできた一件の平屋についた。
その家の引き戸を引き、おじいさんが声を上げる。
「おぉ〜い、帰ったぞ。」
おじいさんの声を聞き付けてか、
「はぁ〜い」と、一人の少年が奥の部屋から出てきた。
「あ、おじいちゃん。お帰りなさい。」
奥から出てきた少年は黒い髪をした何も特徴のない、普通の人間だった。
ただ他との違いは、その目が堅く閉ざされていることだろう。
「えっと、初めまして。」
エミィが軽く会釈をする。
「あ、あぁ、お客さんがいたんですか? すみません、気付きませんでした。」
少年が慌てた風に玄関の靴箱にお辞儀をしている。
私が怒っていると思ったのか、すぐにおじいさんがフォローを入れる。
「あぁ、この子は小さい時から目が見えなくてね。許してやってくれないか。」
少年は小さく舌を出し、ごめんなさいとだけ告げる。
恐らく、自分が違う方を向いて挨拶したことに気付いたのだろう。
「はい、私は気にしていませんから大丈夫ですよ。」
「そうか、それはよかった。おっと、立ち話もなんじゃ、中でゆっくりとしてくれ。」
エミィを居間に通した後、おじいさんはお茶を汲みに台所へと向かった。
「そうじゃ、もしよかったらウィルの友達になってやってくれんか? 何分、目が見えんからか友達も中々作ろうとせんのじゃよ。」
おじいさんはウィルのことが本当に心配なのか、少し涙声になっている。
横目でウィルを見る。
ウィルは少し怯えたようなそんな表情を浮かべている。
「えぇ、私でよければいいですよ。」
「本当!? 僕、今まで友達を作ることが夢だったんだ♪ ほら、僕って目が見えないでしょ? だから、いじめられるのが恐くて、中々友達も作れなかったんだ」
それまで不安顔で様子を伺っていたウィルが、本当に嬉しそうに笑う。
「あ、僕はウィルっていいます。えっと、よろしくお願いしますね。」
「うん♪ えっと、私はエメラルド。エミィって呼んでね。」
「あ、あの……エミィさん……」
ウィルが躊躇うような、それでいて好奇心を押さえきれない、そんな表情を浮かべている。
「ん? なぁに?」
「えっと、もしよかったら、村の外の話をしてもらえませんか?」
「村の外の?」
「はい。皆、あまりこの村から出ないから村の外がどんなのか知らないんです。」
期待に満ちたその表情を見、エミィは断ることが出来なかった。
またまた、上手く書けれませんでした。すみません




