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ダスト・シティ  作者: 大林秋斗
7/8

俺は裕太たちのいる灰色のドームへ急いだ。


灰色のドームにも煙があがっている。



(裕太。)



俺は煙を突っ切って、ドームの中へ入った。



ドーム中も煙で見えにくい。


口を押さえ煙をなるたけ吸わないようにしながら、牢屋のある方向へと足を向けた。



「みんな無事か!!」


「だいじょうぶだ。」



すぐに裕太の返事が返ってきた。



俺は声のする方に進んだ。


煙の向こう、ぼんやりと鉄格子近くに固まる裕太たちの姿が見えた。


ほっとするのもつかの間。


耳が破れそうなくらいの大きな爆音がドーム内に響く。



俺はあわてた。


爆音は裕太たちのいる牢屋からだ。


白煙が一気に辺りを覆う。



「裕太!!」


ごほごほと咳き込む声がした。



「・・・心配ない。」


裕太の声だ。俺は少しほっとした。


裕太は言葉を続けている。



「この町が壊れかかっているみたい。


今ので壁が崩れた。そこから外に出る。明夫もここから逃げろ!」


「了解、絶対、家に帰ろうな!」


「おう、あったりまえじゃん!!」



このドームにも火が移ってきた。


鉄格子の向こうが静かになった。


外に向かったのだろう。


俺もぐずぐずしてられない。逃げなきゃ。



「明夫くん、ダストシティは、終わりですね。」



出口に向かおうとした瞬間、声がした。


もうもうと立ち込める煙の向こうから、声の主はゆっくり姿を現した。


新聞紙。俺をこの町に招いた新聞紙だ。


新聞紙がスローモーションのかかったビデオみたいに、ゆっくり近づいてくる。


俺は金縛りにあったみたいにその場から動けない。


足がかくかく小刻みに震える。



「わたしは、君を責めようというのではありません。」



新聞紙は言った。



「わたしたちは、君たち人間に復讐しようとしたのは事実だ。


人間はわたしたちを作っては、飽きるとすぐに忘れたり、捨てたりしてしまう。


わたしたちは、その度に傷ついた。


わたしたちの、この思い、君に理解できるかい?」



新聞紙が焦げ始めた。



「しかし、人間がいなければ、わたしたちは生まれなかった。


わたしたちはほんとうは、君たち人間を愛しているんだ。


わたしたちの気持ちを忘れないで・・・。」



新聞紙がみるみるうちに燃え上がった。


俺の体も熱い。


ほほも体もかっかとしている。


ドグォーンと低い爆発音が続けて起こる。


天井からばらばらと壁が屑になって降ってくる。


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