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発電所の中は機械だらけ。
熱気でむっとしている。
これを壊せといってもなあ。
「そのまま動くな、明夫くん。」
ポテトの袋が走ってくる。
俺は逃げた。
ポテトの袋以外の追っ手もどんどん発電所の中に入ってくる。
俺は不意に腕を捕まれた。
捕んだのは見覚えのあるジェット機のプラモ。
「放せ。」と俺は腕を振った。
ジェット機の腕は、がっちりとしたまま離れない。
俺はあせりながらとっさにひらめいた。
右足を上げてジェット機の左の尾翼にけりを入れた。
パキンと乾いた音がすると、ジェット機の翼がもげた。
ジェット機は手の力を緩めた。
俺はすかさず、今度は右の翼にけりを入れる。
ジェット機がうめく。
体のバランスを失い床に転がった。
やっぱりだ。
俺の作ったジェットだ。
左の尾翼と、右の翼がぴったりとはめこめなくて、いいかげんに取り付けたジェット機。
俺はジェット機のもげた翼を拾い上げた。
機械はわからないけど、やるのみ!!
俺は、やたらめっぽう発電所の機会に向かって、翼を振り下ろした。
「やめろ!!」
ポテトの袋が叫ぶ。そんなのかまってられない。
俺は休まず機械を思い切り叩いた。
機械はプスプス音を発てた。
臭い匂いと共に煙が上がる。
警報ブザーがけたたましい音で鳴った。
「炉が壊れる!」
ポテトの袋たちは慌てている。
煙は勢いを増し、炎が上がる。ここからでないと危険。
「あなたを許しません。」
ポテトの袋が顔を歪めて俺に詰め寄る。
出口はどこだ。それより、この物たちから俺は逃げ出せるのか?
発電所の中のあちこちに火の手が上がる。
額からも首からも汗が浮き出す。
煙が発電所の中を覆いつくそうとしている。
ポテトの顔がくしゃりと歪んだ瞬間、燃え出した。
それでも俺に近寄ろうとする。
俺は口を押さえポテトの袋を無視して走った。
燃え出しているのはポテトの袋だけではない。
熱に弱いやつから順に火をふいたり溶け出している。
やつら、だけじゃない。
俺の髪の毛も、じりじり、妙な感じだ。
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どうにか、外に出れた。
のどがからからになっている。
火は他のドームにもあがっている。
物たちが何かを叫びながら、逃げ回っている。
裕太たちは大丈夫だろうか。