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「発電所だよ。
発電所を壊せば、この町もやつらの企みも、潰せるかもしれない。
明夫君、頼む。
自由に動けるのは君だけだよ。
どうか、発電所を壊してくれ。」
「わかった。やってみるよ。」
俺は注意しながら、灰色のドームを出た。
あいつらは、いないよう。
発電所を壊せといっても、どうしようか。
そう、考えながら歩いていると、俺の後ろで、カサコソ音がする。
悪い予感だ。俺はおそるおそる振り返った。
ポテトだ。ポテトの袋が立っている。
「捜しましたよ。」
ポテトの袋が近づいてくる。
「明夫君、だめですよ、あの後ろにあるドームに、行ったのですね。
立ち入り禁止なのに。
ゲストさまでも、シティの決まりは守っていただかないと・・・。」
俺は、話の途中で逃げ出した。
「お待ちなさい!!」
ポテトの袋が追いかけてくる。
ウウーとサイレンが鳴った。
『アキオヲタダチ二、レンコウセヨ。』
緊急の放送が繰り返し、何度も流される。
捕まってたまるものか。俺は必死になって、発電所を目指した。
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足がくたびれて重い。
それでもなんとか発電所につけた。
でも、入り口に何かいる。
古ダンス、大きな斜めの傷が目立つタンスが立っている。
入口のガードをがっちり固めている。
俺は深く息を飲むと、気合を入れた。
タンスめがけて走った。
タンスはにやにや笑っている。
がっちりと俺を捕らえようと構えている。
俺の体格から、タンスは自分が優位に立っていると思っているようだ。
俺はタンスに当たりそうになった瞬間、身をひるがえして後ろにまわった。
タンスがよろめいた。
思った通り。大きくて重い体は、すばやい動きができないんだ。
俺はすかさずタンスの背中を思いっきり押した。
タンスは体を支えきれず前のめりに倒れた。
俺は、急いで発電所の中へ入った。