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「明夫君、目が覚めましたか。
どうしました?顔色が悪いですよ。」
俺が薄く目を開くと、ポテトの袋とマンガ雑誌がいた。
さっき話してたのはこいつらだ。二人は俺の顔をまじまじと見ている。
俺は重たい口をなんとか開いて言った。
「・・・ちょっと、疲れたみたい。」
「それは、いけませんね。疲れのとれるいい薬を持ってきましょう。」
「いいよ、いいってば。いらない!」
俺の返事を無視して、ポテトの袋はマンガ雑誌に、薬を取りに行かせた。
「いらないって、言ってるのに!」
俺は、ベッドから飛び起きた。
ポテトの袋は「よく効く薬ですよ。」と言いながら、近づいてくる。
俺はポテトの袋を突き飛ばした。
ポテトの袋はくしゃりと、床に転がった。
俺は、ポテトの袋を見ることなく、シテイの出口めざして走った。
しかし、どこに出口があるのだろう。
白いドームに、森、広場の露店。
それ以外は何も知らない。
ポテトたちの目的(俺になぜ、悪意を持っているのか)も知らない。
手がかりが少なすぎる。
俺の目の前に、灰色の汚れたドームが見えてきた。
『産業廃棄物処理場、立ち入り禁止』と書かれた看板がある。
ちょうどいいかも、ひとまずあそこに隠れて、考えよう。
でも、ダスト・シティの産業廃棄物って?
俺は辺りを見回してから、そのドームへと向かった。
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ドームはひっそりしている。
右の方にドアがある。
俺は緊張しながら、慎重にまわしてみた。
鍵、かかってない。
すんなりと開く。
中を見て驚いた。
ドアの向こう側は鉄格子。
その奥に、十数人の小学生。
俺はドアを閉めると、牢屋に近寄った。
「なんで、みんな牢屋に入っているんだ?」
中にいる一人、黄色の服を着た男の子が、ひそひそ声で言った。
「僕たち、あいつらゴミにゲストとだとだまされて招待され、ここに閉じ込められたんだ。」
「お前、なんていう名前?」
「僕は裕太。」
「俺は明夫。しかしなんでこんなことを・・・。」
俺は鉄格子を開けようと、引っ張ったり押したりした。
しかし、びくともしない。
「無理だよ、僕たちもやってみたけど。
それより、聞いて、大変なんだ!」
裕太が言った。
「あいつら、僕たち、人間の住んでいる町に死の灰を降らせて、
自分たちの町、ゴミの町にしようとしているんだ。」
「しのはい?」
「放射能の燃えカスのことだよ。
あんなのが降ったら、みんな死んじゃう。
ここの看板見たろう?人間はあいつらにとっての産業廃棄物、ゴミなんだ。」
牢にいる他の子たちが泣き出した。
「でも、何をすればいいんだ?」
俺は固く唇をかんだ。
「この町、いっそなかったものになれば・・・。」
「それ、できるかもしれないよ。」
裕太は、何かを思いついたようだ。茶色の瞳がきらりと光った。