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ダスト・シティ  作者: 大林秋斗
4/8

「明夫君、目が覚めましたか。


どうしました?顔色が悪いですよ。」


俺が薄く目を開くと、ポテトの袋とマンガ雑誌がいた。


さっき話してたのはこいつらだ。二人は俺の顔をまじまじと見ている。


俺は重たい口をなんとか開いて言った。


「・・・ちょっと、疲れたみたい。」


「それは、いけませんね。疲れのとれるいい薬を持ってきましょう。」


「いいよ、いいってば。いらない!」


俺の返事を無視して、ポテトの袋はマンガ雑誌に、薬を取りに行かせた。


「いらないって、言ってるのに!」


俺は、ベッドから飛び起きた。


ポテトの袋は「よく効く薬ですよ。」と言いながら、近づいてくる。


俺はポテトの袋を突き飛ばした。


ポテトの袋はくしゃりと、床に転がった。



俺は、ポテトの袋を見ることなく、シテイの出口めざして走った。


しかし、どこに出口があるのだろう。


白いドームに、森、広場の露店。


それ以外は何も知らない。


ポテトたちの目的(俺になぜ、悪意を持っているのか)も知らない。


手がかりが少なすぎる。



俺の目の前に、灰色の汚れたドームが見えてきた。


『産業廃棄物処理場、立ち入り禁止』と書かれた看板がある。


ちょうどいいかも、ひとまずあそこに隠れて、考えよう。


でも、ダスト・シティの産業廃棄物って?


俺は辺りを見回してから、そのドームへと向かった。



**********************************************************************



ドームはひっそりしている。


右の方にドアがある。


俺は緊張しながら、慎重にまわしてみた。


鍵、かかってない。


すんなりと開く。



中を見て驚いた。


ドアの向こう側は鉄格子。


その奥に、十数人の小学生。


俺はドアを閉めると、牢屋に近寄った。



「なんで、みんな牢屋に入っているんだ?」


中にいる一人、黄色の服を着た男の子が、ひそひそ声で言った。



「僕たち、あいつらゴミにゲストとだとだまされて招待され、ここに閉じ込められたんだ。」


「お前、なんていう名前?」


「僕は裕太。」


「俺は明夫。しかしなんでこんなことを・・・。」



俺は鉄格子を開けようと、引っ張ったり押したりした。


しかし、びくともしない。



「無理だよ、僕たちもやってみたけど。


それより、聞いて、大変なんだ!」


裕太が言った。



「あいつら、僕たち、人間の住んでいる町に死の灰を降らせて、


自分たちの町、ゴミの町にしようとしているんだ。」


「しのはい?」


「放射能の燃えカスのことだよ。


あんなのが降ったら、みんな死んじゃう。


ここの看板見たろう?人間はあいつらにとっての産業廃棄物、ゴミなんだ。」



牢にいる他の子たちが泣き出した。



「でも、何をすればいいんだ?」


俺は固く唇をかんだ。



「この町、いっそなかったものになれば・・・。」


「それ、できるかもしれないよ。」



裕太は、何かを思いついたようだ。茶色の瞳がきらりと光った。


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