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目が覚めると、俺は真っ白な部屋のベッドにいた。
「やあ、気がついたかね。」
新聞紙が微笑みながら言った。
「ここはどこ?なんで新聞紙がしゃべってるんだ?」
俺はベッドから起き上がると、首をぶるんと横に振った。
頭の中が、がんがんする。夢を見ているのだろうか。
俺の思いに関係なく、新聞紙は話している。
「明夫くん、驚かせてすまないね。
どうか楽にしてください。
君には感謝しているのだよ、
ようこそ、ダスト・シティへ。」
新聞紙はパチンと指を鳴らした。
マンガの本が四人、いや四冊が、仲良く並んで入って来た。
各々、ご飯や焼肉や果物を盛り付けたお盆を持っている。
俺の寝ていたベッドの横にテーブルが置かれて、お盆の上のごちそうが並べられた。
「さあ、召し上がれ。君は我々の大切なゲストだ。」
新聞紙が再び指を鳴らすと、今度はスーパーの袋がやってきた。
そして、俺の前で、ひらひらダンスをし始めた。
俺はあっけにとられてた。目の前のごちそうを食べる気も起きない。
「いかがいたしました?お気に召さないことでも?」
新聞紙が尋ねた。
「なんで、歓迎するの?」
「それはね・・・。」
新聞紙は、ゴホンとひとつ咳ばらいしてから言った。
「このダスト・シティは、明夫君、君の協力によって建国されたのだよ。」
「俺、そんな覚えないけど。」
「いいや、君はおおいに協力してくれた。
建国はきみのおかげです。」
新聞紙が恭しく頭をさげた。
そして、大きく息を吸い込むと、ゆっくりと話し出した。
「明夫君、君の部屋は、いつもわれわれの仲間でいっぱいだった。
我々は、仲間同士の交流、話し合いの場を、君の部屋でおおいにした。
そして、ダスト・シティを建国することを計画し実行したのだ。
君の部屋がなければ、成功しなかったと思う。
すべて君のおかげなのです。
我々は、ダスト・シティ建国の父に感謝の意を表したく、君をお招きしたのです。」
新聞紙がまたぺこりと頭を下げた。
俺もつられて頭をさげた。
すごく変な気分。
俺のおかげって言うけど、オーバーじゃない?
でも、せっかくのごちそう、すこし食べてみるか。
新聞紙は、今度はにんまり笑ってる。
変な奴。
「明夫君、ゆっくりしていってください。
この町のすばらしさを、建国の父に見ていただきたいのです。」