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ダスト・シティ  作者: 大林秋斗
2/8

目が覚めると、俺は真っ白な部屋のベッドにいた。


「やあ、気がついたかね。」


新聞紙が微笑みながら言った。



「ここはどこ?なんで新聞紙がしゃべってるんだ?」



俺はベッドから起き上がると、首をぶるんと横に振った。


頭の中が、がんがんする。夢を見ているのだろうか。


俺の思いに関係なく、新聞紙は話している。



「明夫くん、驚かせてすまないね。


どうか楽にしてください。


君には感謝しているのだよ、


ようこそ、ダスト・シティへ。」



新聞紙はパチンと指を鳴らした。


マンガの本が四人、いや四冊が、仲良く並んで入って来た。


各々、ご飯や焼肉や果物を盛り付けたお盆を持っている。


俺の寝ていたベッドの横にテーブルが置かれて、お盆の上のごちそうが並べられた。



「さあ、召し上がれ。君は我々の大切なゲストだ。」



新聞紙が再び指を鳴らすと、今度はスーパーの袋がやってきた。


そして、俺の前で、ひらひらダンスをし始めた。


俺はあっけにとられてた。目の前のごちそうを食べる気も起きない。


「いかがいたしました?お気に召さないことでも?」


新聞紙が尋ねた。



「なんで、歓迎するの?」


「それはね・・・。」



新聞紙は、ゴホンとひとつ咳ばらいしてから言った。



「このダスト・シティは、明夫君、君の協力によって建国されたのだよ。」


「俺、そんな覚えないけど。」


「いいや、君はおおいに協力してくれた。


建国はきみのおかげです。」



新聞紙が恭しく頭をさげた。


そして、大きく息を吸い込むと、ゆっくりと話し出した。



「明夫君、君の部屋は、いつもわれわれの仲間でいっぱいだった。


我々は、仲間同士の交流、話し合いの場を、君の部屋でおおいにした。


そして、ダスト・シティを建国することを計画し実行したのだ。


君の部屋がなければ、成功しなかったと思う。


すべて君のおかげなのです。


我々は、ダスト・シティ建国の父に感謝の意を表したく、君をお招きしたのです。」



新聞紙がまたぺこりと頭を下げた。


俺もつられて頭をさげた。


すごく変な気分。


俺のおかげって言うけど、オーバーじゃない?


でも、せっかくのごちそう、すこし食べてみるか。


新聞紙は、今度はにんまり笑ってる。


変な奴。



「明夫君、ゆっくりしていってください。


この町のすばらしさを、建国の父に見ていただきたいのです。」


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