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ダスト・シティ  作者: 大林秋斗
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「明夫、明夫、起きなさい。いったい、この部屋は何?」


何だよ、うっとうしい。


休みの日の朝くらい、ゆっくり寝かしてくれよ。俺は疲れているんだ。


「・・・いったい何のようだよ。」


「やっと、起きたのね。


いいこと、今日こそ、この部屋を掃除しなさい。


この四月で、六年でしょう、自分で片付けるのよ。」



また、かあちゃんのグチが始まった。


俺は、むずがゆい目をこすりながらあくびをした。


かあちゃんには散らかっているように思われても、俺にとっては居心地いいし第一便利。


敷きっぱなしの布団のまわりに、マンガとお菓子の袋。


机の上には、教科書とノートが、ごちゃまぜに置いてある。


部屋全体、足の踏み場はないかもしれないけど、寝転がりながら欲しいものが取れる。


でもたまに、学校に必要なプリントをなくして、大騒ぎする時もあるけど。



「明夫、ちゃんと聞いてるの?」


かあちゃんが俺の顔を覗き込んだ。


「はい、はい。」


俺は適当に返事した。かあちゃんは、首をふりふり部屋を出た。


俺は大きく伸びをした。



「もう少し寝転んでいようと・・・」



手探りで、テレビのリモコンを掴んで、電源のボタンを押す。


ニュースが映った。



「〇〇市〇〇区で、また小学生が行方不明になっています・・・。」



俺はチャンネルをいろいろ変えてみた。


つまらない。あーあ、何かおもしろいことないかなあ。




*****************************************************************




「明夫君、明夫君・・・。」



どのくらい時間がたったんだろう。


俺の名前を誰かが呼んだ。


「何?」



俺は声のする方へ顔を向けた。


お菓子の袋やマンガが散らばっているだけで、誰もいない。



「私です、明夫君。」



俺の布団と畳の隙間から、黄ばんだ新聞紙が起き上がった。


新聞紙に続いて、ポテトのお菓子の袋やマンガなど、部屋中の物が一斉に起き上がった。



「うわあ!!」



俺は思わず大声を出した。



「これは失礼、驚かせてしまったね。」



新聞紙には、手と足があった。俺の側に近寄ると、腕組みをしながら、ひょいと座った。


俺は慌てて立ち上がった。その拍子に作りかけのプラモデルを踏んでしまった。



「痛い、気をつけたまえ!」


プラモが叫ぶ。



「さあ、君をわれわれの町へご招待いたします。」


新聞紙が恭しく言う。俺は訳が分からないまま、意識が遠のくのを感じていた

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