わたし
オリンピック!
その言葉に触れた瞬間、ニューロンが急増中の脳が思い切り活性化してワクワクが抑えきれなくなったの。
だって、ママとパパが待ち切れないみたいだからとっても楽しいものに決まっているもの。
だから偵察魂に詳しい情報を送ってもらったの。
それによるとね、1896年にギリシャのアテネで開催されたのが第1回で、その時の競技数は8競技43種目だったんだって。
でもね、参加したのはたったの280人で、それも男子だけの参加だったそうよ。
女子を締め出すなんて最低よね。
当時は男女平等という考えはまったくなかったみたいだから、その頃に生まれなくてよかったわ。
でも、それは置いといて、幻のオリンピックって知ってる?
知らないか~、
もちろんわたしも知らなかったんだけど、実は1940年の第12回大会が東京で行われるはずだったんだって。
でもね、満州事変と国連脱退への厳しい国際世論や拡大する日中戦争などの影響で返上することになったらしいの。
軍部による中止勧告に従って返上せざるを得なくなったらしいから尋常ではないわよね。
関係者の苦悩は大変なものだったと思うわよ。
それはそうと、慌てた国際オリンピック委員会は代替地としてヘルシンキを選んだんだけど、それもソ連のフィンランド侵攻によって困難になったの。
結局第12回大会は中止になったんだって。
ロンドン開催が決まっていた第13回も、ヒトラーによるポーランド侵攻を切っ掛けとして始まった第二次世界大戦の影響で中止になってしまったの。
平和の祭典であるオリンピックが愚かな独裁者や軍指導者によって粉々にされたのよ。
こんなことは二度と起こって欲しくないわね。
ところで、第12回大会を返上しなければならなくなった日本だったけど、1964年に遂に念願を果たしたんだって。
第18回大会よ。93の国と地域から5千人以上の選手が集まったというから盛大な大会になったと思うわ。
単に日本が復興したというだけでなくて、新幹線という世界最先端の技術力を見せる機会にもなったから、経済大国としての一歩を踏み出す切っ掛けになった大会とも言えるわね。
それから56年後の今年、再びオリンピックが日本で開かれることになって、招致が決まった時は国中が大変な喜びに包まれたそうよ。
「生きているうちに二度も日本開催のオリンピックを見られるなんて、なんて幸せなんだろう」と涙ぐんだ人もいたらしいわ。
その気持ちはよくわかるわよね。
それとね、前回は戦後復興を印象づけた大会だったけど、今回は震災復興をアピールする大会にするんだって。
それだけではなくて、長期低迷が続く日本経済を活性化して再び成長軌道に乗せる起爆剤にもしたいらしいの。
そうなるといいわよね。
GDP世界第2位の地位を中国に奪われただけでなく、第3位の地位もインドに脅かされているんだから頑張ってもらわないとね。
わたしが大きくなった時に存在感のない国になっていたら嫌だからね。
政治家さん、経営者さん、頑張ってね。
ところでね、5週目に入って体が大きくなってきたのよ。
10ミリくらいになったの。
心臓や肝臓が隆起してきたし、目の網膜に黒い色素ができ始めたの。
手も足も形になってきたし、手の先には指のようなものができてきたのよ。
それから、顔の真ん中には鼻ができ始めたの。
それと、へその緒もそれらしい形になってきたのよ。
するとね、ママの体から十分な栄養を受け取れるようになって、自分の力で臓器を作ることができるようになったの。
凄いでしょ。
あと1週間経って6週目になると、水晶体と角膜ができ始めるんだって。
それに、顔の下の方に外耳が現れるらしいの。
それから、肘を曲げることができるようにもなるんだって。
楽しみだな~。
オリンピックもそうだけど、自分の体の変化にもワクワクしちゃうわ。