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◇7

「レフ、プラシノ、もう入っていいわよ」

 カーラが閉じた扉の向こうに声を投げた。


「気づいてた?」

「さすがだな、カーラ」

 そろっと開いた扉から、レフとレフの背中にのった精霊スタイルのプラシノか顔をだす。


 カーラがころころと笑う。

「どれだけの付き合いだと思ってるの」


「じゃあ私は仕事に戻るから、お夕食の時間まで、皆で屋敷を案内してあげてくれる?」

「おっけー」

 レフがしっぽをふって答える。


「人と暮らしていたのなら、基本的な作法はご存知かしら」

 カーラは少しかがんで、サラサと目線を合わせた。

「うん、たぶん……。足りないところは、シーラの事を見て勉強するよ」

「そうね。知人の子を預かるという名目で対外的には説明することになると思うわ。怪しまれないためにも、お願いね」

「わかった」


 頷いたサラサの肩に、プラシノがひょいと座った。

「まかせとけ!」

「プラシノは……お手本にはならないかも」

「なっ、カーラまでそんな事を」


 呆れ顔のレフが言う。

「当然でしょう、まだ忘れてないわよ、あの露出魔みたいな格好」

「レフ……、もうちょっと優しさがほしい」

「よしよし、プラシノは森のことを教えてあげてね」

「よしきた!」

「単純でうらやましいわ」

「悪口だよなそれ?!」




 サラサは、そそそとシーラのそばに移動した。

「じゃあね」と退室するカーラを見送ってから、シーラに耳打ちする。

「お母さん、綺麗な人だね」

「でっしょお?」


「当然よお」 

 地獄耳だろうか。ききつけたレフが、足元からひょっこり顔を出した。

「カーラは人間ばなれしてるからな、いろいろと。精霊レベルに歳とらねぇし。どうなってんだ、あれ?」

 プラシノも好き勝手に評価している。


「この国ではね、きっとママがいちばん綺麗だと思うの」

 異国の翼竜から見てもママは美人なのだなと、シーラは鼻高々で胸をはる。


「そして強いね。緊張した」

 人間ではないから、魔力の大きさも分かるのだろうか。シーラはサラサの肩をぽんぽんとたたいた。

「ママ、とっても強いけど、同じくらい優しいから大丈夫だよ」

「うん。そうだね。さすがシーラのママだ」


「あ、シーラ顔赤いぜ〜」

「こら、プラシノ、余計なこと言わない」

「嬉しいだけだもん! じゃあ行くよ、まずはどこから案内しようか」


「お部屋はまだ準備中よねぇ。明るいうちにお庭でも行く? それとも」

 レフの言葉をぶったぎって、プラシノが声を上げた。

「まずは厨房までの抜け道と、食い物融通してくれるおっちゃんとの顔合わせだろ!」

「シェフっていいなさい、シェフって」

「そうだね、手巻き寿司のお味見しにいこっかぁ♡」

 シーラまで、そんな事をいう。

「え、えぇ……?」

 戸惑うサラサ。


(シーラの真似してて、大丈夫なのかな?)


 一抹の不安がよぎったものの、空腹には勝てず、サラサはこくこくと頷いた。

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