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◇2

「シーラ! 待たせたわね」

「レフちゃん!」

 ふかふかの毛皮にぎゅううとしがみつく。


 琥珀色の毛並みだから、琥珀狐っていうのだって。

 琥珀狐のレフちゃんはママのお友達。ふつうの琥珀狐はしゃべったりできないけれど、レフちゃんは特別なの。

 ん〜。綺麗好きなレフちゃんはいつも石鹸とお日さまの匂いがする。

 心ゆくまですーはーと吸い込んで、ぱっと顔を上げた。


「エリアスと屋台に行くの。レフちゃんも一緒が良い」

 レフちゃんはすぐに尻尾をふって答えてくれた、

「いいわよ。今日の打ち合わせはもう終わったから。私も市場調査したかったし」

「またお店増やすの?」

「ふふふ。そうなの、今度は立ち飲みって言ってね、庶民派のお酒の飲めるお店をね……」

 なぁんだ。子供は入れないお店か。つまんない。

 シーラの気持ちが伝わったのか、レフちゃんは前足をシーラの手にのっけた。

「次のお祭りには屋台も出しましょうね。ボールとかおもちゃを掬うゲームとか面白いのよ!」

「やる! 絶対よ」

「約束」

「約束ね」

 

「お待たせしました」

 そう言って現れたのは、背が高くて赤茶色の髪の毛の男の人。優しい目は紫色で、同じ色のピアスをしている。このひとが、エリアスだ。

「エリアス、レフちゃんと街に行きたいの。護衛をお願いできる?」

「ロナルド殿から聞いております。馬車の手配もしておきました」

「ありがとう」

「よろしくね」

「ついでにプラシノも呼ぼうか。このあいだ話した時、街に行きたがってたし」

 そう言って、レフちゃんは目を瞑った。

「わーい! 呼ぼう呼ぼう」

 レフちゃんとプラシノちゃんーー森の精霊であり、森の次期首長だーーは、いつでも念話で話せるんだって。

 親友をこえたお友達って感じで、うらやましい。


 シーラもそんなふうに皆と繋がってみたいけど、パパゆずりの魔力の性質のせいで、繊細な魔力操作は苦手なのだ。

 パパゆずりの金色の髪も空色の目も気に入ってはいるけれど、魔力だけはママに似たかったなと、誰にも聞こえないため息をひとつ落とした。

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