第116話 あとがき
こんにちは。
改めまして、火野陽登でございます。
この度は拙作を御読みくださり、誠にありがとうございました。
御蔭様でこの【最近雇ったウチの事務員が可愛くて仕方ない】という謎の文字列も最終回まで走り切ることが叶いました。
これも全て日頃よりご覧いただき、また温かい応援を下さった皆様のおかげです。
恐縮ながら、この物語は皆様と共に作り上げ、皆様と共にゴールを迎えたのだと思っています。
当初この物語はタイトル通り『最近雇った美少女のお嬢ちゃんと三十路の事務長がキャッキャウフフして最終的にくっつく』というしょーもない内容で構想していました。
綾部さんは単なるツッコミ役のようなポジションで、事務長と恋愛関係になるとは予想もしていませんでした。
ですが掲載元である【カクヨム】にて頂いたコメントからアイデアを頂戴し「綾部さんもヒロインにする」という軌道修正が施され今に至ります。
結果的に書いている私も綾部さんルートで良かったと思いました。
コメントから誕生した人物がもう一人います。
薬局王です。
ある日「登場人物増やしてハーレム化を」というアイデアを頂戴し、そこで思いついたのがまず「薬剤師」という職業でした。
偶然にもその頃、とある声優さんが薬剤師免許を持っていると知り、その方が演じていたキャラクターが印象的だったのでインスパイアを受けました。
おかげで薬局王の設定は一瞬で終わりました。
ちなみに投稿時は「薬局長」としていたのを、完結後に「薬局王」と変更してします。全て修正を終えてから「変えなければ良かったかな」と後悔が頭を過りました。
しかし「ハーレム化」することによって、最終的に「結婚相手に選ばれるヒロイン」と「選ばれないヒロイン」が必ず出てくることが課題でした。
そんな折に「全員が幸せになるように」とコメントを頂き、悩んだ挙句に登場したのが薬剤師の石動くんと看護師の佐倉さんです。
石動くんは新卒ゆえの大人になりきれない幼さが薬局長の積極的な性格に合うと思いました。
問題は光希さんでした。
彼女は完璧すぎて、どんな男性をも拒否してしまう……そんな彼女が幸せになるにはどうすれば良いのか……。
足りない頭を悩ませていた時、あるカクヨム作家さんの作品を拝読しました。そちらがとても面白く同性愛的な内容に刺激と感銘を受け、その結果で生まれたのが佐倉さんです。
そんな彼女達には共通の課題もありました。【父親】という存在です。
事務長の翔介をはじめ、綾部さん以外は皆【父親】が絡んでいました。
決して「優しい」とはいえない【父親】たち。登場した彼ら全員が【経営者】だったので、仕事に対する熱量が大きく、悪い印象だったかもしれません。
また、胸に秘めた想いにも常に【父親】と【経営者】の二面性が孕んでいました。
一方では「子供の成長と幸福」を、もう一方では「事業の繁栄」を願うばかりに、大きすぎる思いが摩擦と違和感を生み出し、翔介を始めヒロイン達の障害や目標となっていました。
特に事務長の翔介は【結婚】という人生の大きな節目――子供から大人へ切り替わる一つのターニングポイントを目指していました。
だからこそ【父親】を越え、同時に【父親】の心を理解していく。そんな通過儀礼を描きたかったような、そうでもないような。
私(火野陽登)は学生の時にはもう父が居なかったので、彼らのどこかに記憶の中の【父親】を投影していたかもしれません。
長くなりましたが、兎にも角にも本編は今回(前回)で最終回となります。
ですが、今後もスピンオフや番外編なども書ければ良いなー、と考えたり考えなかったり。
特に薬局王の薬局経営に関する話は深堀りしていきたいです。
しかし未熟な拙作ゆえに、続編を書いて良いものか迷っている次第です。
もしも続編や番外編、スピンオフなど御希望くださっいる読者様が居られれば、☆評価などを頂けると幸いです。
とりあえず、この御話は一旦幕を下ろします。
長い間〈つがみ小児科〉を見守ってくださり、そして共に彼らを育てて頂き、本当にありがとうございました。
また皆様にお会い出来る日を、診療所および薬局のメンバー一同心より願っております。
※なお小説投稿サイト『カクヨム』にて、この物語のスピンオフなども投稿しております。宜しければお越しいただけると幸いです。
火野陽登
この物語の最終回と同時に新作小説を【カクヨム】にて公開いたしました。
今作は医療現場を中心としたコメディタッチのラブコメ(?)でしたが、新作の『イロハネ』は『恋愛×SF×ファンタジー』と少し毛色を変えた学園モノとなっています。
『イロハネ』という面白みの欠片もないタイトルですが、これは私にとっての半生のようなものです。
もし宜しければ、こちらの作品も読んで頂けると嬉しいです。ヒロインも中盤まで登場せず、最初は少々とっつきにくい内容かもしれませんが……。
若輩で未熟者な私では御座いますが、御覧くださる皆様に少しでも楽しい一時を過ごして頂けますよう、今後とも精進してまいります。
いつも拙作を読んで下さり、本当にありがとうございます。
『イロハネ』 ➡https://kakuyomu.jp/works/16817139557658159424
火野陽登