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第76話 教会襲撃戦

 シエラ教の教会はこの世界においてかなり重要だ。

 あの神様とコンタクトできる唯一組織だから大切にされている。

 それが失われれば世界は混乱に陥るだろう。


 エリカはそれを狙って残る戦力を投入してきた。

 人間の王達が居ない時、聖騎士が崩壊して時、魔王が動き辛い時、そんなタイミングを狙ってエリカは動いた。

 イニーツィオはそれを読んで残りの魔王候補達を動かした。

 ここで決戦前の前奏が始まる。


 まずは13の魔王候補が教会の正面から入る。

 そこにはロウソクの火に照らされる3人の人間の姿がある。

 彼らは奥に行かせないために本気で戦おうとしている。

 そいつらをアルラウネのポリネ、カマイタチのヴィント、ゴーレムのソルが相手をしようと前に出る。


「ここは私達に任せてよ!」


「どうせまだ居る。ここは俺達が倒すから先に行け」


「先代の意志を継ぐからにはこいつらを生きて返さない。ダリアぶっ殺す!」


 1人が物騒すぎる。

 だが、やる気があるなら放っといても死なないだろう。

 だから、みんなは3人を残して奥を目指す。

 支部長達はそれを止めようとするが、ポリネ達がそれを抑えてみんなを進ませる。




 奥に進むと廊下に出た。

 そこにも支部長が2人もいる。

 それを相手しようと最上位形態の人型魔蟲が前に出る。


「2人なら任せていただきたいのです。アラーニャ様やラビアラ様の期待に応えるです」


 ショタでハエのモスカは、周囲を腐食させながら牽制(けんせい)する。

 今の彼なら負けることはないだろう。

 それに、魔王達の期待に応えられるのなら放置すべきだ。

 てか、巻き込まれたら終わってしまう。


 だから、彼を残してみんなは先に進む。

 今回は支部長を引きつけているので邪魔されなかった。




 しばらく進むと階段にたどり着いた。

 そこで支部長達が司祭達を追い詰めていた。

 それを見つけるなり、ぬいぐるみ族のコトネと猫又のラッテが邪魔をする。

 3人の支部長は攻撃を避けて階段を下に降りる。

 コトネとラッテは彼らの相手を申し出る。


「ここ任せる。そしたら勝ち」


「イニーツィオ様に詰めが甘いってよく言われたんだよね。だから、性格を捻じ曲げてでも強くなった。イニーツィオ様なら先に行けって言うだろう!」


 2人はすでにやる気だ。

 邪魔すれば味方でも倒しそうな雰囲気をしてる。

 だから、みんなは敵の横を通って階段を登る。




 2階に着くと支部長の1人が出迎えてくれた。

 他とは比較にならない魔力を持っている。

 彼はすぐに敵意を向けてきた。

 だから、今回は妖狐のルナールとオークのマヤレが前に出る。

 それからすぐに戦闘を始めて抑え込む。


「ここは任せて進んでください!これで全員じゃないはずです!」


「我々は負けぬ!それに我は盾だ!オークを舐めるなよ!」


 支部長の男は2人を思いっきりぶっ叩いた。

 しかし、マヤレが守ったことで埋まったりしなかった。

 それを見せられた魔王候補達は安心して先に進む。




 今走っている廊下の先に大司教が居る。

 彼を救うのが最優先の任務だ。

 それを阻む敵は何者であろうとぶっ倒さなければならない。

 そいつが化け物でも。


 しばらく走っていると左右に扉が増えてきた。

 それが急に開いてぞろぞろと支部長達が出てくる。

 その人数は50人だ。

 そのくらいならやれると判断した2人が立ち止まる。

 天狗のラプタとゴブリンのムスケルはそれぞれが本気で戦う意思を示す。


「ここは任せよ!数が多いだけなら蹴散らせる!」


「オラは殴り合いが強いのが自慢なんだべ。これくらい止めてやるべさ!」


 どちらもそれなりに強い。

 それはイニーツィオが声をかけたという時点で明らかになっている。

 だから、2人は今日初めて会ったのにもう信頼し合っている。

 彼らが大丈夫と言うなら大丈夫なのだろう。

 残りの候補達は自分の相手を探して奥に進み続ける。




 奥の扉が見えてきた。

 その前には2人の支部長が立ち塞がっている。

 メデューサのピトンと天邪鬼のベーゼは先制攻撃を仕掛ける。

 支部長達はそれを避けて道を開けてしまった。

 ピトンとベーゼはみんなの想いを最後の1人に託す。


「うちらが居なくても止めるんだ!」


「あたしらの時間稼ぎを無駄にするなよ!絶対にダリアを止めるんだ!」


 その言葉を胸に刻んでドワーフは扉を開けて部屋に入る。

 それを見届けた2人は彼を守るために門番になることを選んだ。

 だから、それぞれの敵に向き合って足止めを行なう。




 ドワーフのアルムは大司教の部屋に入るとすぐに扉を閉じた。

 それから今にもキレそうな様子で敵と向き合う。

 支部長は1人だが、大司教の他にも司祭が40人ほど閉じ込められている。

 そのほとんどが拷問されたような怪我を負っている。

 どうやら大司教にそれを見せつけていたようだ。

 相手が外道過ぎてアルムは女らしさを捨てて汚い言葉を吐く。


「クソ外道が!自分のやってることの罪深さもどうせ知らねえだろ?これだから外道は嫌いだ!救いようのない世界のゴミが!お前なんかを傷つけないといけない武器がかわいそうだ!死ねよ!勝手に!」


 その生意気な口に支部長はニヤリと笑った。

 まるで新しいおもちゃを見つけた子供の顔を見せた。

 それに対してアルムは怖い顔で睨む。




 これで対戦カードが出揃った。

 エリカ側はこれで全ての駒を使い切ったことになる。

 ここで全滅させれば残るのはエリカだけになる。

 このチャンスを逃さないために魔王候補達は覚醒に賭けて戦う。

 エリカ戦の前に出来れば魔王になっておきたい。

 戦力はあって損をすることなどない。


 さぁ、決戦前の前奏開始だ。

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