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第70話 エリカ襲来

 旧アルマで色々あってから1日が経った。

 ビスカ達は歩きで新ルチェルトラに着いた。

 到着するとすぐに大臣だった男が出迎えてくた。

 彼は魔王候補をトップにして再建を行なっていることを話してくれた。


 今は魔王ビスカとその魔王候補が対面しているところだ。

 仮の屋敷で2人は挨拶を交わす。


「私は魔王シエラ・ビスカだ。よろしく」


「オレはドラゴニュートのリーダーを務めているジエーネ・コルノだ。よろしく!」


 コルノはサッと手を出して握手を求める。

 だが、ビスカはそれに応えなかった。

 魔王は自分から出なければ断ってもいいのだ。

 それに気付いたコルノはサッと手を戻す。

 それからビスカに用件を尋ねる。


「今日はどんな用事で来たのか話していただけるか?」


「魔王ムーミエに山の秘密を聞いた。だから、封印を解かせて欲しい」


「別構わない。だが、代わりにオレを魔王にしてくれないか?」


「心配しなくても平気。どうせすぐになるから」


 ビスカはまたダリアが来ると考えている。

 だから、根拠も無いのにそんなこと言った。

 でも、コルノは納得してくれたらしい。


「ならいいや。山を消し飛ばしても構わない。オレ達にとっての負の遺産をくれてやるよ」


「ありがとう。それじゃ、早速やるから見ておいて」


「あいよ。あの山の最後くらい見てやる」


 2人は席を立って外に向かう。




 そこから飛んですぐに山のふもとに着いた。

 ビスカは早速この山の封印を解くためにエンチャントをかける。

『破壊』『解呪』『封印解除』『消失』の4つを掛けた。

 その手で山に触れる。


「消えろ!」


 触れた瞬間に山の上にあった街が崩れて消えた。

 さらに山が一気に消える。

 霧が晴れるように山が消えると、そこには遺跡が現れた。


「ほう!オレ達の山が偽物だったとはな」


「みたいだね。さて、私は中に入るからそっちを任せるね」


「そっち?」


 コルノが疑問を口にすると、街の方で爆発が起きた。

 そっちを見ると300人のダリア商会メンバーが来ているのが見えた。

 その先頭に立ってるのがホワイス支部長のディレットだ。


 彼は部下を操作して襲わせている。

 その被害がだんだんと広がって、少しずつここに向かってきている。

 コルノはその行いに怒りが湧き上がる。


「それじゃ、自分の国は自分で守りなよ」


「分かった!あいつらはオレが相手する!」


「頑張りな」


 ビスカは手を振って遺跡に向かう。

 コルノは逆の方向に飛んでいく。




 ビスカはゴーレムの魔王の気配を察知した。

 だから、警戒しながら中に入る。

 遺跡の中はさまざまなゴーレムが暮らしている。

 元々はここがゴーレム達の住処(すみか)だったが、それが何者かによって山に偽装されて封印されたのだ。


 その期間をゴーレムはここで生活してたらしい。

 ビスカが入った時にすでに慌てていた。

 封印が解けたことが騒ぎになってるようだ。


 ビスカは彼らを無視して地下に向かう。

 そこから巨大な気配を感じるから。


「どんな奴が居るのか。楽しみだね」


 ビスカは遺跡の壁を気にせずに奥に向かう。

 複雑な構造に惑わされることなく階段を見つける。

 それを降りて地下の最下層に向かう。


 地下10階くらいに到達すると大きな部屋な最後の部屋に入った。

 そこには眠った様子のゴーレムが立っていた。

 そのゴーレムはビスカの魔力に気づくと目覚めて体のサビやホコリを落とす。

 それからビスカに話しかける。


「貴様、封印を解いたのか?」


「解いたよ。私はつい最近魔王になったビスカって言うの」


「貴様がビスカか。神様の声は聞いていた。暇があるなら話を聞いてくれるか?」


 本当は暇なんてない。

 もしもコルノが死んだら面倒が増えてしまう。

 だから、アンデット達より確実に弱い彼を守りたい。

 それでもゴーレムの話が気になる。


「聞いてあげる。デカブツさん」


「そうか。なら、出るとしよう」


 うん?出る?

 どこから出るの?

 ゴーレムの魔王は巨大な機械体の胸を開いた。

 そこには体育座りで操作している人型ゴーレムの姿が見える。

 どうやら魔王の本体は彼女のようだ。

 彼女は降りるとまず名乗る。


「初めまして。私はピアトラ・アイゼンだ。ゴーレムの魔王である」


「そっか。じゃ、話をしてくれる?」


「では、あれを見てくれ」


 アイゼンは自分の後ろにある壁を指差す。

 ビスカはその壁に近づく。

 そこには絵と文字が書かれている。


「これはある儀式を表している。レアな種族を含めた全魔王が揃っているな」


「なるほど。古代文字か」


「読めるのか?」


「読めるよ」


 古代文字を読めるのは神様がサポートしているからだ。

 そのおかげで内容を理解できる。


『全ての魔王が力を捧げる時。全魔王の力を得て1人が神へと昇華する。神シエラはそうして生まれた。我らは神シエラとの契約に従って力を分散した。邪神が生まれぬように』


 そう書かれている。

 それを読み上げてビスカは理解した。

 これがダリア商会の目的だと。


「最悪!これが目的なら危険すぎる!」


「言うことを聞かなければいい。1人に対して全員が力を貸さなければいけないのなら」


「そうかもしれないけど、もしものことを考えないといけないの。魔王アイゼンも何かあったら協力してよ!」


「恩人には全力で力を貸そう。今もその時ではないか?」


 アイゼンはそう言いながら敵の方を向いた。

 それでようやくビスカも気づいた。

 ダリア商会の大ボスであるエリカが来ていることに。

 彼女は真正面からこの最下層まで来たようだ。




 空気が変わった。

 冷たく冷え切った空気はビスカを殺そうと包み込む。

 苦笑いしか出来ない。

 ビスカにとってエリカはこれまでで一番強い敵だ。


「復活おめでとうございます。ビスカさんもこんなことが出来るなんてすごいですね」


 そんなこと思ってない。

 エリカの不気味に歪んで見える笑みがそう言っている。

 ビスカはすぐに逃げようとエンチャントを重ねている最中だ。

 これまでは聖力付与(ホーリーエンチャント)でどうにかなってきたが、エリカにはそれが通用する気がしない。

 ビスカはビビりながら尋ねる。


「これを隠したのはあんたか?」


「そうですよ。何度も転生してるからそんなことが出来ます。実年齢は1152歳です」


「聞いてないことまで言わなくていい。それに、これ以上聞く気は無いから」


 ビスカはバッと人差し指を天井に向ける。

 遺跡を壊すのは申し訳ないが、緊急事態なので仕方なくエンチャントした魔力弾を用意する。

 それを奴が動くより先に放つ。


 ドドドドドーーーン!


 連続的な破壊によって地上までの一本道が出来た。

 ビスカは自分だけでもそこから逃げるために飛ぼうとする。

 その時、エリカが初めてスキルを見せた。


「操れない魔王はいりません。なので、あなただけでも死んでもらいます」


 エリカは強すぎる魔力を使って禍々(まがまが)しい剣を作り出した。

 真っ黒な剣は何でも切れそうな見た目をしている。

 それを30mくらい離れた所から振る。

 それは空間を削るように魔王アイゼンの本体も機械体も真っ二つにしてしまう。

 予感はあったのに、アイゼンは全く動けなかった。

 これが世界最強の力なのだ。


「さようなら。魔王アイゼン」


「ビスカ!逃げて!最後の力を使う!」


 倒れる途中のアイゼンが叫んだ。

 その意味を理解したビスカは瞬天で外を目指す。

 ついでに見かけたゴーレム達に強化エンチャントをしてあげた。

 それが必要だと察したから。


 この数秒後、アイゼンは地下の壁画を惜しみながら自爆を発動した。

 その威力は遺跡を完全に吹き飛ばすレベルだ。

 ものすごい爆音をさせて地下から爆発が噴き出した。

 これで生き残ったゴーレムはたったの100体だ。

 ビスカがそれしか救えなかった。


 だが、これでエリカを倒せたのなら仕方ない犠牲と言える。

 しかし、逆にエリカが無事だったら無駄死にとしか言えなくなる。


「あははは!無駄です!」


 すぐに瓦礫(がれき)を切りながらエリカが現れた。

 ダメだったらしい。

 しかも、無傷だ。


「あれを喰らって無傷とはな。魔族以上に化け物なんじゃないの?」


「あなたに言われたくありません。ですが、あなたはビジネスパートナーとしてなら最高です。なので、ここで討伐するのはやめてあげましょう」


「その時が来たら殺す気か?」


「そうです。それまでは放置してあげます。この先は隠さずに動きますから、ついて来れるなら来てみなさい!」


「必ず悪事の証拠を揃えて世界的な敵に認定してやる」


「その方がやりやすいですからね。そうしなければ私を倒せてもあなた達が処刑されるかもしれません。法的には私が殺されたら犯人を処刑してもいいことになりますから」


「面倒な奴」


「お互い様ですよ。では、失礼」


 目的を達成したエリカは飛ぶための装置を創造してどこかに飛び立った。

 その速度は瞬天を越えている。

 追いかけるのは不可能だ。

 それに、今は生き残ったゴーレム達とコルノが心配だ。

 ビスカはこの場に残ってやるべきことをする。

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