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火山の神殿。その名の如く火山にあり。
暑さに常人近づかず、強靭な者も熱さに逃げ出さん。
奥には炎を纏いし魔物待ち受け、挑戦者を焼き払はん。
勇気なき者挑むなかれ。それでも挑みし愚者、熱さに飛び込み給え。
勇気を示せ、さすれば道は開かれる。
ここは、とある森の中。日が顔を出して間もない時間帯だ。
俺は今火山の神殿に挑もうとしている。ただ、どこにあるのかわからない。
あの物語にヒントになりそうな部分を読んで見るがさっぱりだ。
さて、どうしたものか。
「ねぇ、ロガ。行く先は決まった?」
「火山の神殿に行こうと思う。ただ、何処にあるのかわからないんだよな。
火山っていっても沢山あるしな。この辺りだと思うんだけどな。」
辺りを見回すと山がポツポツ点在している。
「それにもしかしたらもう、山の活動が治まって、
この話みたいな火山じゃないかもしれない。・・・なんだよ。」
レクスが不思議そうな目で俺の顔を見ている。
「いや、そういうことには詳しいんだなって思って。成績は悪いのに。」
「うるせー。一言多いんだよ。」
そりゃそうだろ。俺はこの物語にあるダンジョンに挑もうとしているんだ。
それに関わりそうなことは嫌でも耳に入ってくる。
だから俺の知識は偏っているのかもしれない。
「それよりボクお腹すいちゃった。」
「いやお前はお腹空かないだろう。」グー
辺りになんとも情けない音が鳴り響いた。
レクスは口を押えているが、それも虚しく漏れている。
ボカッ
「いった―。何するんだよ、ロガ。ボク何もしてないじゃないか。」
ああ、何もしていない。ただ、笑っていただけだ。
俺はレクスの言葉を無視して朝食の準備をする。
「さあ、ご飯にするかな。」
レクスが何かブツブツ呟いているが気にしない。気にしたら負けだ。
「んー。ロガのバカ、マヌケ、ノロマ、アンポンタン・・・」
ボカボカボカボカ
「いったー。聞こえてるじゃないか。うう。」
朝食を食べ終わった。
目の前には背の高くなったレクスが、ジャーキーをやけ食いしている。
「ほら、そんなにジャーキー食べてないで行くぞ。」
「ふん。」
不貞腐れてはいるが、ついてくる。
プンスカ、プンスカ言いながらジャーキーを頬張って。
なんて器用な奴なんだ。俺には真似できないだろう。
まあいいか。ついてきてるんだし。
何か言ったら、あの歯が俺に向かってきそうだし、無視をする。
とりあえず拠点にできそうな町を探さないと。
このままだと食べるものが尽きちまう。
辺りを見回すと町らしきものが意外と近くに見える。
「よし、あそこを目指すか。」