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1-1 魔法学校



熱い、熱い。肌が焼ける。炎で空気すら熱せられ肺も焼けそうだ。

なぜ僕はこんなところにいるんだろう。


死にたくない。まだ死にたくない。

目の前には見知った人影が。



「お前が全部悪いんだ。」



僕は何のことだかさっぱりわからない。



「お前もここで死んでおけ。」



その声の主は冷たく言い放った。



「ま、待ってよ。僕を助けてよ。」



僕の声は届かなかった。暑さと空気の薄さに意識が薄れていく。








ガバッ



「はあはあ、またあの夢か。」



体中がベタベタして気持ち悪い。



「いい加減、この夢とはおさらばしたいな。」



俺は、汗を流すためにシャワーをしに向かう。




シャワーを浴び終わると声が聞こえてくる。



「おい、ロガ。このままだと遅刻するぞ。」



その声に導かれ時計を見やる。



「まっず。何でもっと早く教えてくれなかったんだよ。」



「いやー。それは。オイラもさっき起きたばっかりなんだ。えへへっ。」



声の方向に見やると、毛むくじゃらの物体が空中に浮かび、頭をポリポリ掻いている。



「そっか。そうなんだな。それは仕方ないな。」



俺はそいつに手を伸ばす。ゆっくりゆっくりと力を入れていく。



「そうでしょう。仕方ないよね。・・・って、痛ててててててっ。

や、止めてよー。オイラの可愛い顔がつぶれちゃうよ。」



自分で言うか普通。そんな言葉を意に反さず、力を入れていく。



「な、なんでもっと力を籠めるんだよ。



そ、それより早く行かないと本当に学校送れちゃうよ。」



ああ、そうだった。なんだかイラついて忘れていた。



俺は高速で着替え、荷物を取り玄関に向かう。もちろん手は離さずに。

靴を履き外へと駆け出す。早く学校に向かわないと。最終日に遅れるとか洒落にならない。





ああ、そういえば、自己紹介がまだだったな。

俺はロガ・ヘリオス。歳は15歳。魔法学校に通っている。

普通の夢見る男子学生だ。と俺はそう思っている。

まあ、魔法学校に行くのも今日で終わりなんだけど。



この毛むくじゃらはレクス。コーギーみたいな見た目をしている。

コーギーと違うのは一点。この毛だ。モフモフしていて体に到達するまでに時間がかかる。

暑苦しくて仕方ない。まあ、肌触りはいいんだけど。それにこいつは自分のことを可愛いと言っている。


確かに耳はピンと立ち、目がクリクリしていて、鼻と口もバランスが整っている。

正直俺も可愛いと思ってしまう。だが俺は、こいつが調子に乗ると面倒くさいので

絶対にその一言は言わないようにしている。それにレクスは驚くことに本なのである。

まあ、そのことは後々わかってくると思うから省く。勘弁してね。








そうこうしているうちに魔法学校に着く。

目を見やると一人の教師が立っており、門を閉めようとしていた。



「ああ、ちょっと待ってー。」



俺は、全速力で駆ける。俺が通るか通らないかぐらいのところでスライディングをする。



「おりゃあー。」ザザザザザザ。



砂埃が舞い辺りが見えない。

ただ、何かにあたった感覚はなかったので、学校の敷地内にははいれたのであろう。



「セーフ」



ボカ



この頭を叩く音で確実に敷地内に入ったことがわかる。



「いってー。」



「お前はいつも、いつも時間ギリギリに登校してきやがる。どうにかならんのか。」



「へへへっ。そんな褒められても。」



「褒めてない‼はあ、まあいい。このやり取りも今日限りだ。

説教はこのぐらいにしてやる。早く教室にいけ。」



いつも長い説教が特別な日ということで短くなった。ラッキーである。俺は先生に敬礼をする。



「はっ。先生の有難いお言葉いつも身に染みておりました。

もう聞けなくなると思うと残念で仕方ないです。」



俺がそういうとこの先生はなぜかこめかみの近くに血管が浮いていた。



「ほぉー。そうであったか。それでは仕方ないな。有難い言葉を聞かせてやる。

耳の穴かっぽじってよーく聞け。・・・・っておい待て。」



俺は全速力で駆けた。先生から逃げるように。後ろを振り向かず手を振る。



「ったく。あいつは。あれでこの先やっていけるのか。」




なんだか先生の声が聞こえた気がしたが、俺は聞かなかったことにして教室に向かう。


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― 新着の感想 ―
[良い点] プロローグのおとぎ話に主人公が挑戦していくということですね。わくわくします。 ブックマークさせて頂きました。
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