54話
「真司、気をつけて行きなさいね」
日曜日、珍しく家族に小言を言われずに姉さんに見送られ家を出る。
あの日、結衣に遊びに誘われた日毎度の如く母さんに報告したのだが。
「そう、神通家の娘さんね、まぁ友達なんでしょ?行ってらっしゃいな......嫌がっていたけど仕方ないわよね」
あっさりとした感じで許可が降りた、許可した後に頭を振りながら何か言ってはいたが。
特に反対されることも無く送り出されたことが少し謎だが別に小言を言われたい訳では無いのでそれはそれでツイてるって思うことにした。
いつも学校へと向かう道を通りつつ最寄り駅へ向かう。
結衣はわざわざ俺の最寄り駅まで迎えに来てくれるというのでお言葉に甘えたのだが、駅の目の前に誰が見てもわかるような高級車が乗り付ける可能性があるのか、と思うと元の世界ではあまり見なかったなぁ、とは思う。
あれ?でもよく考えれば住んでるところも高級住宅街と言っても過言ではないしウチの最寄り駅に高級車が乗り付ける可能性はあるのか?
とは言っても駅前はそこそこ栄えてる普通の駅前だしなぁ。
などとどうでもいいことをポケーっと考えながら歩いていると気づけば駅に着いていた。
確か10時集合だったっけか?
今の時間は9時45分だからちょうど15分前、少し早かったかもしれないが、まぁ女性を待たせるよりは何倍もいいだろう。
にしても......
「いつ見てもあの子かっこよくない?」
「平日にしか見れないと思ってたのに休みの日に見れるなんて、もしかして今日ツイてる?」
日曜日の朝だからか俺と同じく待ち合わせをしてそうな人達がいっぱい居てすごい注目を浴びている。
最近は注目を浴びることには慣れできたので少しソワソワするくらいでそこまで居心地の悪さは感じない。
まぁ、気にしなくなってきたとも言うが。
強いて言うなら注目を浴びるのは構わないのだがこの俺の周りだけ聖域みたいに人が避けるのやめて欲しいんだけどなぁ。
俺を中心に円を描くように避けて人ひとりとしていないのだ。
これに関してはどうにかして欲しいよなぁ。
ピコン
ん?
そこまで考えているとトークアプリの通知音が鳴る。
『なんでそんな話しかけにくい状況に?』
結衣からの連絡だった。
『むしろ俺も困ってるくらいだわ、というか俺の位置が見えてるのか』
話題として出てくるということは見える位置にいるということだ。
そう思い辺りを見渡してみるとこちらを見てくる女性陣の一角に結衣の姿が見えた。
結衣に向かって手を振ってみると結衣の顔が引きつってしまった、というか周りの女性陣には手を振ってないです、振り返してこなくて大丈夫ですよ。
このままで居ても移動出来ないので結衣の方に向かう。
「おはよう結衣」
「お、おはよう真司」
相も変わらず引きつった顔で結衣は挨拶してきたが結衣が周りをチラチラとみていることに気がついた。
なんだ?と俺も見てみると結衣を射殺さんばかりの目線が飛んでいることに気がついた。
って、これ、やっちゃったか?
良く考えれば普段見かけることが少ない男子が特定の女子に話しかけてたらどうなるかくらい予想できるのに。
「あー、なんだ結衣、その、ごめん」
「い、いやいいんだ、とりあえず移動しないか?」
「そうしようか、すまん」
そそくさと二人して逃げるように人混みを抜け駅へと向かっていった。
駅の改札を抜けて電車の待ち時間にようやく落ち着いてきた。
「ごめん、悪気はなかったんだが」
「いや、分かってるから謝らなくても問題は無い、というより私が真司を待たしてしまったのが問題というか」
結衣は困ったように笑う。
きっと男女の考え方が逆転していることもあって男性を待たせては行けないとかあるのかな、とか思うと少し申し訳ない気がしてしまった俺は話を逸らした。
「そういえば、口調そっちにしたんだ」
「ああ、素の口調がバレてしまったし取り繕うのもなと思ってな」
「なるほどねー、ってことは素というか心の中では俺の事真司って呼んでたんだ」
からかいも込めてニヤリと結衣のことを見ると
「うぇ!?い、いや、その......すまない」
慌ててすぐにシュンっとして謝ってきた。
「ぷっ、くくく、いや、嫌なわけじゃないから構わないぞ」
パッと笑顔に一瞬なったのだがすぐにムスッとした顔を向けてきた。
「そ、そんなに笑わなくてもいいじゃないか」
「いやぁ、すまんすまん、ちょっと面白くてな」
クールな喋り方が素だとしても中身は変わってないってこともよく分かるので俺としても嬉しいんだけどな。
「あー、ところで今日はどこに行くんだ?」
「この駅から5駅先にショッピングモールがあるのは知ってる?」
「あー、最近出来たとか何とか」
「そう、そこに行こうかなと、あそこ結構ウチの店舗が入ってるから見ときたいってのもあって」
「なるほどなー、勉強も兼ねてって事か」
未来の経営者は大変だなぁ、と感心していると結衣は慌てたように手を振って
「いや、別に真司を蔑ろにしてるって訳じゃなくて単純に結構入っていたというか............私の分かるフィールドの方がとか」
「私の?いや、別にそんなに慌てなくてもというか感心してただけだから」
私の、の後はいまいち聞こえなかったが蔑ろにされてると思った訳ではないのでそこは否定しておく。
「そ、そうか、ならいいんだ」
結衣はうんうんと頷いた後にしっかりと今日の予定は立ててきたから楽しみにしててと拳をグッとしてきたのでグッと仕返しといた。
執筆する時間がなぁい困った、とりあえず久しぶりにログインして1話更新するか......とログインしてみると
なんと!この作品5000Pt達成していました!!!
∩(´∀`)∩ワァイ♪ドンドンパフパフ
全然更新できていない現状がとても申し訳ないですが、頑張って投稿していくのでこれからもよろしくお願いします!!
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