4話
さて、出願しに行こうと思って用意はしたんだが自転車がないことを思い出した。
くっ、歩きで行くのか、面倒くさすぎる!
と思ったが、電車でええやん、となったので駅へと向かう。
今は昼時なのだが、やはり高級住宅街の最寄り駅は栄えており人通りが多い、しかも女性のみ。
俺の存在は異質であり遠目で見ても男だと分かるようだ。
だが周りを見て見て思うのだが、なぜスカートがいない?
まぁ、スカートって概念が存在しないかもだな。
それに俺の髪の色は異質だと思っていたが色々な髪の色の人がいるようだ。
あとは女性の隣を通り過ぎると顔を真っ赤にしてその場にへたり込むんだよな......俺何かしたか?
遠くから見てる人達も頬を赤く染めてるし。
マジでこの世界生きづらいな。
電車に乗り4駅隣の駅へと向かう。
電車を下り駅を出ると結構近くに周りより背が高い建物が見えた。
「あそこか......」
駅から歩いて5分ほどでその校門の前に着く。
「ここが......」
ここが千桜高校か......
見た目がキレイだな、きちんと保全がしっかりしてると、ポイントが高いな。
絶対にここに通ってやる!とやる気を新たにし、どうやら中に男性用の志望用の受付があるらしく中へとはいる。
学校の正面の昇降口に向かう道の両脇には桜の木が植えられている。
入学式前とか卒業式とかの時には桜が満開になっているんだろうなぁ、っと想像しながら歩いていくと昇降口前に女性が二人座っていた。
「はぁ、この高校に男子が入ってくるわけないわよねー」
「そーよねー、偏差値がもっと低い高校だったらもしかしたら男の子が来るから男子用受付係は当たりかもだけどここだとただの雑用よねぇ」
「そもそも共学に来る男の子は全然いないしねぇ、普通に女子校じゃない」
「「ハァァ」」
......たぶんこの高校の先生だよな?
「あの」
「「!!!?」」
「志願書出しに来たんですけど」
「夢?とうとう仕事に疲れすぎて絶世の美少年が見えるわ」
「あら、奇遇ね私も見えるわ」
「でも夢でも男の子に話しかけて貰えたのよ、本望ね」
「しかも俺様系でもオドオド系でもなく普通に話しかけて来るなんて」
「あの、志願書受け取って欲しいんですけど」
......なんかトリップし始めたんだけど。
「あら、夢でもしっかり仕事はしないとね」
「志願書を出して貰えますか?」
「はい、これですね、何か受け取らなければならない書類はありますか?」
「そうね、ここのファイルに受験日の日程等の紙が入っているのでこれを持って帰ってください」
なるほどこれか、と
差し出してきたファイルを受け取る時に少し手が当たってしまった。
「温もりを感じる!!?さては現実!!」
「う、嘘!」
嘘じゃないんだよなぁ、男が馬鹿だからバカにされているのか男に免疫がないのかのどっちかだな。
「でも現実の男子がここに来るはずがないわ!男子の中で優秀な子は男子校に行くもの!」
へー、なるほどね、つまり頭がいい男子は男子校に行くのか(行かない、そもそもそこまで優秀な人はいない)
「でもこれは夢じゃないかもしれないわ!」
「夢では無いですよ?なら受験日に俺が現れたら現実でしょ?」
そう、ここは現実だ、今までの感覚だと俺の元いた世界にいるつもりだった。
でも俺は死んじまってここにいる、ここに来させてもらったって言うのが正解か、だから生きていかないといけない、この世界に馴染まないといけない......だから
「「た、確かに」」
「だから......」
1回言葉を切り息を整えて不敵にニヤリとして
「本番に会いましょう、その会場で」
始めよう、この世界での生活を今までの常識は通じない、でも精一杯生きないといけないこの世界での生活を。
自分の気合を入れるための宣言をして立ち去ろうと思ったのだが。
なんかこの人たち顔真っ赤にして固まってるんだけど......
「「死んでもいいわ」」
「死んじゃダメだよ!!?」
なんかこの人たち大丈夫かな......
心配になりながらも自分家に帰る俺だった。
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