38話
「奥様、お嬢様、もうそッ!!?............もうそろそろ会場に向かって頂いて」
メイドさん?いや、格好は執事服だから執事さんなのかな?
執事さんは紫音さんと咲に声をかけた途中で俺と目が合って一瞬声にならない悲鳴を上げたがそのまま耐えて続けた。
すごい、プロの人ってああやって耐えるんだなぁ。
「あら、もうそんな時間なのね」
「え、まだお祖母様との挨拶考えてないのに〜」
「考えときなさいってさっき言ったのに」
「母さんが余計なことしようとしたからでしょ!」
本当にこの二人は仲良いよなぁ。
いや、仲良いよな?喧嘩してるけど。
というか
「お祖母様って、咲の?」
「そうだよ〜」
なん............だと............
全く挨拶とかのことを考えてなかったぞ!
さっきもだが突然でどうすればいいか分からなくなるのだが......
ふぅ、仕方ない冷静に考えればいいだけだ。
って思うんだが紫音さんを含めて貴族なんだよね......
しかも三大貴族の一つだし、お祖母様って言わばトップでしょ?
あれ、粗相とかあったら首が飛ぶんじゃね?
冷静にとか無理なんですけど!!?
「それじゃあ行くわよ〜」
紫音さんは部屋を出て行ってしまった。
「じゃあ行こうか赤城くん」
「お、おう」
ま、まぁ、パーティだし楽しむべきなのだろうし、肩に力入れてもだよな。
多分いつも通りで何とかなるよな?
紫音さんも何も言わなかったし、咲も結衣も凛もなんかもっと立てなさい!みたいなこと言わないし。
しっかりと敬語を意識しよう......うん......
一番先に執事さんが歩いてそれに紫音さんと咲と俺がついていく形になっている。
何やらかなり大きいドアの目の前についた。
すると咲が俺に手を出してきた。
「ん?どうした」
「お手をどうぞ?ジェントルマン」
おおぅ、あれか......お手をどうぞ、レディのやつか。
というかジェントルマンって確か、イギリスとかの方の貴族階級の名称とかじゃなかったっけ?
イマイチ覚えてはいないけど、実際の貴族と、実質的支配?みたいなのをしている地主の人とかの人たちを纏めた言い方みたいな感じだったはずだ。
なんかコレで手をとったら貴族みたいだよね、まぁ、ここで手を取らないと咲の顔に泥を塗ることだろうから取るけどさ。
咲の顔に泥を塗るのは嫌だし。
「ん、ありがとな」
「い、いや、感謝とかいいよ、どちらかというと手を繋げてラッキーというか」
「ん?なんだって?」
最後の方が声が小さくて聞こえなかったな。
「なんでもないよ」
「ちょっと二人とも、イチャついてないで早く入るわよ〜」
その紫音さんの声と共にでかい扉が開かれていく。
すると中に見えてきたのは、豪華な装飾とテーブルの上に置かれた豪華な食事、それと沢山の女性達だ。
おぉー............
すげぇ、これがお金持ちか............
自分名義の口座にはお金がいっぱい入っているのを棚に上げての感想であった。
三人並んで部屋の中に入っていくと
ザワザワザワザワ!!
「あれって主催の那珂家よね??」
「娘さんの隣にいる男の人って?」
「あれ、男の子よね、女性の格好って」
「男の娘来た?男の娘来た?来ちゃった!?」
「すごい、カッコイイんだけど......」
男の娘じゃないです。
というか入ってから気づいたが、ちょこちょこ男性がいるのだ。
............というかこの世界に来て初めて見たかもしれない。
けど、なんか色々とジャラジャラと装飾つけてて髪の毛すごい、なんか、ワックスすげぇなぁ。
すごいヤンキーみたいだな。
女の人の隣にいて女の人凄い話しかけてるのに鬱陶しそうに反応してるな。
あ、そうか、ああいうのがお金払って来て貰ってるって言ってた男なのかな?
凄いなぁ、と周りを見渡しながら部屋の真ん中?みたいな所を真っ直ぐ行くと見た目の歳が60くらいの女性がいた。
「お久しぶりです、お母様」
「お久しぶりです、お祖母様」
あ、この人が例の人か......俺も挨拶しないとな。
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