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30話


「真司くん、どうだったっすか?」


どうやら心配してくれていたようで自分の席に座るとすぐに凛が話しかけてきた。


すると莉央や結衣、咲や風花も来てくれた。


「あー、普通に謝って来てくれただけだ、特にこれといったこともなかったぞ?」

「そっすか〜、なら良かったっす」


ホッと胸を撫で下ろしているところを見ると本当に心配してくれていたんだなぁ、と実感する。


「あ、そういえば俺、正式に野球部入ることにしたから」

「え、本当?じゃあ私も入ろうかな、やっと本気の野球が出来そうだし」


莉央がそう言ってきたのだが、そうか......


『やっと本気の』野球ね。


確か、見学に行った時に莉央は何か二つ名みたいなもので呼ばれていたよな。


だけどそんなに言われる人が『やっと』などと言うだろうか?


どうやら俺はまだまだ莉央のことを知らないんだな、ということも理解したし、もっと莉央のことを理解したいなと思った。


みんなもそっかぁ、ということと私も入るという話をしてくれた。


風花も入ると言ってくれているが忙しいだろうし大丈夫なの?

と聞くとマネージャーとして入ると言うことと私にかかれば余裕と言っていた。


どうやら風花はそこまで頻繁に動画を上げているわけではないらしいし、しばらくは俺と一緒にやるDPEXだけを上げるつもりでいたらしいので俺がいないと意味が無いとの事。


どうやら風花は普通のマネージャーと言うよりはメニューや戦術などを響先生と、ん?監督と呼ぶべきか?

響監督と一緒に考えたりするらしい。


もう既に交渉的なのも終わってて、かなり信頼度が高いらしい。


かなりのことは任せられたとのこと。


多分知識量が凄いのだろうなぁ、というのが俺としての所感だ。


あと必要なのは入部届けと親の許可か。


まぁ、多分そんなに反対されることもないだろうし問題ないだろう。


さて、今日も一日気張りますか!




「え?ダメに決まってるじゃない」


へ?


何故か分からないが帰ってきて母さんに言うとそう返ってきた。


「えーと、なんで?」

「だって野球部よ?辛いのよ?女の子の中一人だけ男の子で辛い思いするのは嫌でしょ?というか辛い思いをしている真司くんを見たくないのよ」

「いや、辛い思いをするかもしれないけど俺が野球をしたいんだけど」

「でもねぇ」


どうしよう......これ......


「お兄ちゃーん、どしたのー?」

「あ、美玲」


部屋から出てきて階段をおりてきた美玲に

かくかくしかじかという事だと説明すると、美玲は、へーという顔になる。


「お兄ちゃん運動部に入りたいんだ、貞操が危ないかもね!」


............この子は何を言ってるんだ?


「どこでそんなことを覚えたんだ、忘れなさい」

「痛い痛い痛い!!!お兄ぃ!やめてぇぇぇ!」


こめかみをグリグリしておしおきをする。


「でも真司くん、実際その可能性はありえなく無いじゃない?」

「ほぼないでしょ、だって俺の存在を見ただけでフラフラする人たちだよ?男に慣れて無さすぎるからそんなことできないでしょ」

「確かに............」


うーん、と母さんが悩んでいると美玲も悩んでいるようだ。


一体何に?


「んー、お兄ちゃんはそんなに野球がやりたいの?」

「あー、まぁそうだな」


実際あそこまで首を突っ込んだわけだしなぁ。


「そっか、ねぇ母さん」

「どうしたの?」

「汗をかいて泥にまみれながらも頑張って試合をしてる爽やかなお兄ちゃん見たくない?」

「ッ!!!?」


まるで真理を見たかのような表情を浮かべる母さん。


え、そもそも汗かいて泥まみれだったら爽やかじゃなくない?気のせいかな?


「くっ、でも............」

「公式戦だったら母さん達も応援に来れるよね」

「いいわよ真司くん、やるなら一番になりなさい(キリッ」


変・わ・り・身!!!!


圧倒的速度で入部届けの保護者欄に名前と印鑑を入れて渡してきた。


あー、なんか、その、うちの家族、残念な人多いなぁ......


ハァ、とため息をついて自分の部屋に戻る俺であった。

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