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(83)友人のペット

~紗彩目線~



「思い出す?」

「はい」



 不思議そうに首をかしげるラーグさんに、私は頷いた。


 私が思い出したのは、幼馴染であり親友でもある『詩織』が飼っていたペットのトカゲのことだった。

 クリッとした黒い瞳の、黄色のトカゲだった。

 ザラザラ・ツルツルとしていて、クリっとした瞳が可愛かった。


 詩織は、動物が大好きだったからいろいろなペットを飼っていたからよく遊びにいってたなぁ。


 …………あれ、でもこれってどうやって説明すればいいのだろうか?

 ペットとしてよく飼われていた犬も、この世界では獣人として暮らしている。

 彼らの目線からすれば、ペットなんて言葉を使うのは普通に失礼だ。


 そうなると、なんて説明すればいのだろうか?


 う~ん…………言わないとか?

 でもすでにトカゲの事は遠回しに言ってしまっているから、なんとかペット的な言葉を使わずに説明しよう。



「その…………友人が触らせてくれたんです」

「…………そうか」



 …………これなら、遠回しだけど伝わったかな?


 …………こんなことになるんなら、もう少し国語の授業をしっかりと受けておけばよかった。

 詩織の言う通り、本だけじゃ国語の勉強にはならないな。


 そう思っていると、最後に見た詩織の顔を思い出した。

 …………元気にしてるかな、詩織。


 彼女に最後に会ったのは、高校二年の時だっけ?

 …………あの時私がしっかり詩織のことを見ていれば、詩織が引きこもることなんてなかったのだろうか?


 別のクラスだったからって、詩織がいじめられていることに全く気が付かなかった。

 様子がおかしかったことに、全く気が付かなかった。

 …………あの時、しっかりと気づいて話を聞いていれば。


 そう思いながら俯いていると、ラーグさんに頭を撫でられた。



「…………触りたくなったら、いつでも触れ。お前が、それで安心するのなら」

「……!?…………ありがとうございます」



 優しいな、と思ってしまった。


 無表情で時々何を考えているのかわからなくなるけど、こんなふうに優しい人なんだ。

次回予告:ラーグ目線のお話です

     短いので二つ投稿します

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