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(42)お風呂パニック

~紗彩目線~



「…………水遊びしたの?」

「馬鹿なの?」



 騎士団の本部に帰った私とセレスさんは、ノーヴァさんに会った。

 ノーヴァさんはずぶ濡れの私達を見てポツリとそう言い、セレスさんはそんなノーヴァさんに目が笑っていない笑顔でそう言った。


 …………水遊びはしていません、ノーヴァさん。


 あと、セレスさん。

 その怖い笑顔を浮かべるのはやめてもらっていいですか?



「ああ、帰っていたか…………何があった?」



 そう思っているとガチャリというドアが開く音がして振り返れば、全身真っ赤に濡れたシヴァさんが立っていた。


 …………どういう状況なの、これ?

 え?

 あの赤いのって、ペンキか何か?

 それとも、トマトジュースを全身にかぶったとか?


 いや、どんなハプニングよそれ。



「川に落ちたのよ。そう言う団長も、全身真っ赤なんだけれど?いったい、何があったのよ?」



 セレスさん、なんでそんなに暢気に言っているんですか?

 そんな呆れた表情を浮かべていないで、もっと慌てた表情を浮かべるべきでは?



「あの後、乱闘騒ぎがあってな。近隣住民の迷惑になるから、ちょっと話合いをしただけだ」



 疲れた表情を浮かべながら頭をガシガシと掻いているシヴァさん。


 …………なるほど。

 乱闘騒ぎがあったから、解決するために話合いを行ったんですね。


 あれ、でもなんで話し合ったのに全身真っ赤になるの?

 そう考えて、私は気付いてしまった。

 それと同時に、その事実に気づきたくなかった。


 話合いって、話合い(会話)じゃなくて話合い(拳を交えての物理)だったんですか。


 ちなみに、セレスさんを見れば苦笑していた。

 多分、反応的によくある事なんだろう。


 こんな物騒なこと、理解したくなかったです。

 …………ということは、あれって返り血か。

 大丈夫なのかな?他人の体液なんて、何の病気持っているかわからないのに。


 そう思っていると、ジョゼフさんもやって来た。

 ジョゼフさんは、シヴァさんの姿を見たあとやれやれと言いたげな表情を浮かべた後、私達の濡れた姿を見てギョッとした。


 とりあえず、何があったのかを説明すれば「それは仕方がないね」と言って撫でられた。



「それにしても、見事に二人とも全身ずぶ濡れだね。そろそろ夕食の時間だけど、その前にお風呂に入ってきたらどうだい?」

「アタシは、別に大丈夫よ?どうせ私服だし、この後着替えるもの」



 苦笑しながら言うジョゼフさんに、セレスさんは首をかしげながら言った。


 セレスさんをしっかりと見て見れば、確かにセレスさんが髪の毛が少し乾いていた。

 不思議なものだと思ったけど、セレスさんに抱きかかえられていてセレスさんの体温が高かったことを思い出し、それで乾いたんだろうと思った。



「なら、俺もどうせ風呂に入る。ついでに、サーヤを入れてくる」

「え?」



 全身真っ赤状態のシヴァさんの言葉に、私は驚いて思わず声をあげてしまった。


 え?

 この人、なんて言った?

 シヴァさんの言い方だと、一緒に入ることを意味している気がするんだけど?


 え?

 聞き間違いだよね?

 さすがに、成人女性がその日に出会った家族でもない男性と入るのはいろいろとマズイ気がする。

 いや、父さんとですら小さいころ以来なんだけど。



「あ、あの私一人でも入れますよ!」

「使い方、わかるのか?」

「それは……」



 恥ずかしさでそう言えば、困った表情を浮かべながら言うシヴァさんの言葉に何も言えなくなってしまった。


 魔法がある時点で、この世界の技術が日本と同じである可能性は低い。

 それに、魔法がない日本からやって来た私は魔法の使い方なんてわからないし、まず使えるかもわからない。

 小説でも魔法がある世界では日常で使うものにも魔法を使う場面があったから、この世界でもそうなのかもしれないし。



「一緒の方がいいよ。何しろ、君の身長ではお湯も出せるかわからないからね。それに出せたとしても、シャンプーに手が届かないだろう?」

「…………」



 ジョゼフさんが苦笑しながら言った言葉に、私は何も言えなくなってしまった。


 確かに、この世界の人の身長はかなり高い。

 その人たちが使っているんだから、私が使える可能性は低い。

 …………でも、だからと言ってシヴァさんと一緒に入るのはちょっと問題があると思うし。



「別に問題ないだろ」



 シヴァさんがそう言うと、悩んでいた私はシヴァさんに抱き上げられた。


 そのまま、私はシヴァさんにとある部屋の前まで連れてこられた。

 その部屋のドアには、シヴァさんの名前が書かれたプレートがあった。

 多分、シヴァさんの私室かもしれない。


 そう暢気に思っていると、シヴァさんは部屋の中に入り、部屋の奥の方にあるドアを開けた。

 そこには、大きなシャワーヘッドがつけられた壁と銭湯にありそうなぐらいの大きな浴槽があった。


 え、まさか__



「いい加減、諦めろ」

「え、ちょ、うにゃああああああ」



 スポンスポンと手際よく服をはぎ取られ、私は奇声を発しながらシヴァさんにワシャワシャと洗われた。


 シヴァさん、そんな変なものを見るような目で見ないでください。

 私は、成人女性なのですから恥ずかしいに決まっているでしょう。



次回予告:精神的に疲れてしまった紗彩

     そんな紗彩に待ち受けるのは__

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― 新着の感想 ―
[一言] シヴァお疲れ様です! 紗夜頑張ってください! 今度は紗夜は誰と出会うのでしょう? 楽しみです! 小説ワンコさん、小説の移動お疲れ様です!小説ワンコさんの作品が一番好きです!今後も応援します…
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