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(34)癒し

~アルカード(アル)目線~



 完全に訳あり案件とはいえ、仕事場に小さな幼子がいるというのは癒されるものなのですね。



 私達とサーヤは、改めて自己紹介をしました。


 団長が自己紹介をすれば、サーヤもペコリと礼をしながら名前を言っています。

 ああ、礼儀正しい子ですね。

 たまに見かける悪ガキ共に、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいですね。


 それにしても、ジョゼフはなぜ彼女が頭を下げるとびくりと震えているのでしょう?

 まったく、いい年した大人が何をやっているのでしょうね?


 セレスが服のことを言っているので、それに便乗して勉学に必要なもののことをあげれば団長にセレスと共に怒られてしまいました。

 ですが、サーヤの反応からして興味はあるようですのである程度のものは整えましょうか。


 その後はノーヴァの自己紹介の仕方で、ジョゼフがノーヴァに注意していましたがそこは省きましょうか。


 団長が、この獣人騎士団について説明しています。

 他のメンバーの様子を見れば、セレスはサーヤを観察していますね。

 まあ、ある程度の行動から今までの経験がわかります。

 

 私もセレスと同じようにサーヤを観察していれば、ある程度はわかりました。

 サーヤは、おとなしい幼子でかなり理解力が高いですね。


 保護者についての説明は難しく、基本的に保護されてきた子供たちはだいたいは何度か聞き直してやっと納得します。

 私もセレスもノーヴァも四度ぐらいは聞き直してやっと理解しましたし、後から聞いた話では四度でもかなり早い方だったらしいですし。

 そう考えると、一度で理解するサーヤはかなり特殊です。



 団長の言葉でお昼になったことに気づき、ジョセフが自然の流れでサーヤから今までの食事のことを聞き出す。

 はっきり言って、味方がいたとはいえまともな食事をとっていたかは不明ですからね。

 まあサーヤの言葉を聞いて、部屋の中の気温はジョゼフのせいで低くなりましたけど。


 プルプルと震えながら、ジョゼフの説教を聞くサーヤ。

 うん、かわいらしいですね。


 私のような肉食の獣人は、幼子など弱い存在には守りたいという欲と同時に肉食獣としての壊したいという欲が出ますからね。

 その欲の面から見れば、今の状態のサーヤは私達肉食獣におびえる子ウサギに見えてしまいます。


 まあ、さすがにサーヤに襲い掛かりませんけど。

 こんな幼子に襲い掛かるほど、私はゴミクズではありませんからね。



 さて、食堂にやってくれば、ジョゼフに抱き上げられているサーヤがキラキラと周りを見ています。


 ああ、癒されますねぇ。

 普段、むさくるしい筋肉の塊のようなオスどもを見ているとどうしても小さいものに癒しを求めてしまいますね。

 まあ、そう思っているのは周囲にいる騎士たちもですが。


 この騎士団では基本訳アリの子供を保護して、そのまま騎士団所属になることが多いです。

 ですから、私達の誰かが子供を抱き上げていても特に見られることはありませんね。

 ですがそれでも見られているのは、サーヤほど小さな幼子がいなかったからでしょうね。


 気になっても近づいてこないのは、おおかた虐待などでの精神面の傷を考慮しての事でしょう。

 筋肉の塊のような方が多いですが脳みそまで筋肉で構成されている方はほとんどいませんからねぇ、この獣人騎士団には。

 他の騎士団は知りませんけど。


 サーヤを椅子にのせればテーブルに届かないというハプニングがありましたが、癒されたので特には問題ありませんね。

 とりあえず、勉学に必要なものと服以外に『サーヤ専用の椅子』も用意しなければいけませんね。


 そう思っていれば、セレスがサーヤ用のゾウスイを持ってきましたがそれを見てまた癒されてしまいました。

 ゾウスイが入っている小型の鍋は、サーヤの目の前に置いてしまえば完全に大きく見えてしまいます。


 おかしいですね?

 確か診察している間に、ラーグにゾウスイを頼むときに一番小さな鍋にしてくれと言ったはずなんですが。

 

 …………椅子だけでなく、食器も必要のようですね。

 彼女の種族がどのような生態なのかはわかりませんが、彼女がこれ以上大きくならなかった場合も考えると食器は必要ですね。



 あの後、サーヤから「いただきます」という言葉の意味を教えてもらい団長たちが驚いたりとしましたが、「いただきます」の意味はいいですね。

 この言葉、騎士団の中でも言わせるようにしましょうか。


 そうすれば、少しは食べ物の好き嫌いで嫌いなものを残そうとする者も減るでしょうか?



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