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(258)出来る事と出来ない事

~目線なし~



 紗彩は返事をして、ベッドから起き上がりドアを開ければオズワルドが立っていた。



「そういえば久しぶりだな、サーヤ」

「はい、お久しぶりですオズワルドさん」

「ああ…………レオン様が無茶ぶりを言ってないか?」



 紗彩がオズワルドを部屋の中に入れれば、彼はそう聞きながら部屋の中に入る。

 紗彩とオズワルドは、そのまま紗彩のベッドの上に座った。


 何故ベッドの上なのかといえば、単純な話紗彩とオズワルドでは身長差がかなりあるため、部屋の中にある椅子などが使えないのだ。

 幸い、ベッドは紗彩の身長が高くなっても使えるようにと、少し大きめに作られていたが。


 そんなベッドの上で、オズワルドは紗彩に質問する。


 オズワルドとしては、紗彩の立場の複雑さを前もって聞かされていたため、ただでさえ精神的にきついであろう彼女に余計な心労をかけていないか心配していた。


 また彼女が成人していることも知らされたため、レオンからの命令で彼女の話を聞くことになったのだ。


 レオンはそもそも王子という立場上では彼女と対等に離せるかといえば難しく、シヴァ達もまた常日頃から彼女と関りが持てるため彼女が本音を話せるかといえば話しにくい可能性もある。


 その点、オズワルドは基本レオンと共に騎士団に来る以外では、紗彩とはあまり関りがないためまだマシだという判断だった。

 また、オズワルド本人も尋問を得意としているため、うまく紗彩から悩みなどを引き出せるだろうと言う理由もあるが。



「…………どうした?」

「…………いえ、なんだか迷惑しかかけていないなって思ってしまって」

「お前は悪くないだろ」



 困ったように笑う紗彩に、オズワルドは眉を顰めながら言った。


 レオンから聞いた話が本当ならば、紗彩が責任を感じる部分などなかったはずだ。

 それどころか、彼女は被害者側のはずだ。


 オズワルドはそう考えながらも、紗彩の性格を思い出し否定するだけでは意味がないと判断する。



「…………なにも、すべてお前がやれとは言わない。そもそも、お前はなんでもかんでも自分でやろうとする悪癖を直した方がいいぞ」



 オズワルドの言葉に、紗彩は目を見開いて驚きの表情を見せた。


 だが、彼女は思い出した。

 自分が、この騎士団の中では幼女だと勘違いされていたことを。


 そのことを思い出すと同時に、苦い気持ちを抱いた。



「悪癖ですか? …………あの、私は」

「知ってる。成人しているんだろ。だが、お前のそれは悪癖だ。それに、シヴァやレオン様だって出来ない事はある。本人たちも細かいことを気にしていないから、お前もできないことをいちいち気にしない方がいいぞ」



 紗彩の言葉を遮り、オズワルドは自分の考えを彼女に伝える。

 紗彩が成人していることは、シヴァからの報告で知っていた。


 彼女が神人族であれば自分たちと同じ成人年齢とは限らないため、特に驚きはしなかった。

 そもそも、今までの態度からして子供らしさなどかけらもなかったため、成人していると言われても「だからか」と納得できる部分が多かったという面もあったが。


 そう思いながら言ったオズワルドの言葉に、紗彩はどこか納得していない表情を浮かべた。



「…………そういうものでしょうか?」

「そういうもんだ。騎士団長として怖いものなしと思われがちなシヴァだって、ホラー小説を読んで以来夜の廊下が怖いって言ってるんだぞ?」

「え?」

次回予告:オズワルドの口から話される、レオンとシヴァの黒歴史

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