(251)森の中の鬼ごっこ②
~紗彩目線~
森の中を抜けた先についた後は、とても速かった。
グングンとスピードをあげ、人形たちとの距離を離したラーグさんは森を抜ける前に私にとある道具を出しておくように言った。
その道具というのは、キキョウさんの協力の元大量生産した【封印シール】のことだ。
【封印シール】というのは、半径2㎝ぐらいの丸い青い和紙のシールに黒い文字で『封』と書かれたシールで、張り付けた相手の魔法のしようと個有スキルの使用を封じることができる優れ物のシールだ。
なお、異空間に繋がっている【異空間バッグ】の中には他の道具と共に数千枚も量産したシールが入っている。
ちなみにちゃんとバッグのチャックの部分にはパスワードつきで、私の指紋というパスワードで開けれるようにしてあるから盗まれることもない。
ラーグさんからシールを出すように言われた私は、ラーグさんからおろされた後にシールが30枚ほどついた紙を数枚取り出した。
その瞬間、ラーグさんは森の中から飛び出してきた人形を、蠅たたきのごとく鞘に入ったままの鉈で殴りつけた。
そうして一時的に動かなくなった人形に、ペタンペタンと切手を貼る事務作業のごとく貼っていく私。
バシンバシン、ペタンペタンという音がしばらくの間その場に響いていた。
とりあえず、私はその間心を無にしておいた。
だって、ホラーな人形なんて動かなくなった後でも触りたくないもん。
「…………個有スキルを無効化というのは、素晴らしいな」
すべての人形にシールを終えた後、ラーグさんは動かなくなった人形をロープで拘束しながらそう言った。
…………なぜか、拘束の仕方が亀甲縛りだけど。
とりあえず、思った事。
ラーグさん、せめて他の方法で拘束しようよ。
「…………何しているんですか、ラーグさん」
「キッコウシバリ? という奴だ。…………セレスが厄介な相手を縛るのにちょうどいいと言っていた」
「多分、それ違う意味だと思いますよ」
私の言葉に首を傾げながら言うラーグさんに、私は思わずそうツッコミを入れてしまった。
セレスさんの言う厄介な相手って、物理的に厄介な相手って意味じゃないと思う。
絶対に変態とか、そう言う性癖の人のことだと思う。
そう思っていれば、ラーグさんが拘束し終えた人形を私のバッグの中に入れようとして、そんな彼を慌てて止める。
「待ってください、何してるんですか?」
「…………? 持って帰るんだが」
私の言葉に、ラーグさんは首を傾げながらバッグと手に持っている人形を見比べている。
「待ってください、それ本当に持って帰るつもりなんですか?」
「…………売れないか?」
「売れるどころか、保護者から苦情が来ると思いますよ」
売れるどころか、子供達が泣いて保護者から苦情来ると思う。
絶対に。
あと、そんなホラーの塊を入れないで欲しい。
個人的には、今すぐに燃やしたいぐらいなんだから。
次回予告:紗彩が森の中でホラーの塊と鬼ごっこをしている頃の本部での様子




