(246)怪物の襲撃➂
~紗彩目線~
「肉とか鱗とかよりももっと柔らかい…………例えば服や綿を切り裂くような感触だ」
「…………まさか」
イアンさんの言葉に、私はあることに気づいた。
襲撃事件の現場に落ちていた、持ち主不明のぬいぐるみや人形。
あれがもし、元々襲撃してきた怪物だったら?
そう考えたことが、無意識のうちにポロッと出てしまった。
「まさか、事件現場に落ちていたぬいぐるみや人形って…………」
「なるほどな。確かに、怪物の正体があれらなら斬った時の感触にも納得がいく」
私の言葉に、イアンさんが頷いた。
それと同時に、怪物は私達に向かって攻撃を仕掛けてきた。
慌ててお互いから距離を置く私達に向かって、一気に距離を詰めてくる怪物。
「くっ、とにかく今はこの怪物をなんとかする方が優先だ!! 個有スキルが原因なら、それを無効化しなければ…………うわっ」
叫ぶイアンさんに向かって、鋭い爪のついた大きな足を振り下ろす怪物。
そんなイアンさんを助けようと道具を使おうとすれば、今度は尻尾であるヘビの方が私に向かって炎を吐きかけてくる。
正直、二人ともなんとか怪物の攻撃を避けるのがやっとの状態だ。
…………セレスさんたちはまだなの?
そう思っていれば、セレスさんたちが向かって行った方向から大きな破壊音が聞こえてくる。
…………まさか、怪物は一体だけじゃないの!?
そう思っていたのが、一瞬の隙になってしまった。
「サーヤ!!!!」
「…………あ」
目のまえには、蛇の大きく開かれた口が迫っていた。
次回予告:意外な助太刀によって助けられる二人
だが、そこで意外な再会を果たす




