(239)神人族の体
~ジョゼフ目線~
セレス君と別れて医務室を出て、廊下を歩く。
…………キキョウ団長は何処だろうか?
そう思いながらしばらく歩いていれば、真剣な表情を浮かべながら話しているキキョウ団長とロルフ副団長を見つけた。
…………ふむ、二人の会話が終わるまで待つか。
そう思いながらも待っていれば、やはり五感が強いからか聞こえてくる二人の会話。
「…………それは本当かい?」
「ああ。本国に残っている騎士たちの話では、来た先は獣人の国らしい」
「なるほどね…………この国に被害が来るというのなら何とか防がないとね」
緊張を纏った二人の会話に、思わず眉間にしわを寄せる。
恐らく、竜人の国で何か事件が起こったのだろう。
そして、その事件が獣人の国でも起こる可能性がある。
…………やっと神隠しの事件も終わったというのに、なぜ犯罪者というのは蛆虫のごとく沸いてくるんだろうね?
「そうだな…………ん?」
そう考えていれば、私がいることに気づいたのかキキョウ団長とロルフ副団長が私の方を見た。
そんな二人に、少しだけ気まずさを感じながらも笑顔を浮かべて二人に近づく。
「やあ、キキョウ団長にロルフ副団長。すまないが、キキョウ団長に聞きたいことがあってね…………今時間は大丈夫かい?」
「おや、ジョゼフ君。かまわないよ」
私の言葉に、フワリと目元を緩ませて笑うキキョウ団長。
ロルフ副団長に一言言った彼と向かったのは、先ほどまでサーヤ君がいた医務室だった。
私は、彼にサーヤ君の身長のことと私自身の見解について話した。
「なるほど…………母のことは父がいろいろと教えてくれたからある程度は知っているよ」
そう言ったキキョウ団長は、いろいろなことを話してくれた。
神人族であった彼の母君は、なんとセレス君と同じぐらいの身長があったらしい。
その身長はこの世界に来た時かららしく、身長が伸びることはなかった。
キキョウ団長の見解としては、彼の母君とサーヤでは少しだけ前提が違うのかもしれないとのこと。
神人族であることは正しいらしいが、もしかしたら私達が気付いていないだけで何か違いがあるのかもしれない。
「…………まあ、もしかしたらこれからいっきに伸びる可能性も考えられるからね。幸い、薬に関しては私達と同じものを服用しても大丈夫だったから、もし彼女が成長痛で苦しむようなら処方してやってくれないかい」
「ああ、大丈夫だよ」
キキョウ団長の言葉に、私は頷いた。
…………それにしても、もしサーヤ君もセレス君と同じぐらいの身長になるとしたら、かなり高くなるね。
次回予告:サーヤ、イアンとデートに行く
 




