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(22)早急

~シヴァ目線~



 黙々と木刀を振るっていると、少しずつ落ち着いてくる。


 ふと、考える。

 俺は、いったいどうしたいんだ?


 保護者になりたくないとは思っている。

 もし、あいつに酷いことをしてしまったら?

 もし、俺のせいであいつが酷い目にあったら?


 だが、まだ短時間だがあいつと関わっている。

 あいつが、悪い奴ではないことは何となくだが理解している。


 親父と俺のような関係には、ならない。

 あいつは、雌だ。

 親父も俺も雄だったから、結局同じようにはならない。


 もしかしたら、他の方法であいつとしっかりとした関係を築けるかもしれない。

 …………あいつが俺が【ハーフ】であることに目をつむってくれるのであれば、だが。



 そう思いながら、一度休憩するため木刀を下ろす。

 ふと気配を感じて入口の方を見れば、そこを通りかかったのかアルと目が合った。



「団長……」

「…………アル」



 その場に気まずい空気が流れる。


 …………なんて声をかけるべきだろう?

 あんなふうに言った手前、どうすればいいのかわからなくなる。

 こういう時、セレスやジョゼフがいないのが悔やまれる。



「申し訳ありませんでした!!」

「っ!?なんだ、急に……」



 そう思っていると、目の前にいたアルが急に大きな声でそう言い頭を下げてきた。



「団長のお気持ちを考えず、自分の考えだけで先走りました!本当に申し訳ありませんでした!!」



 どうやら、アルはさっきの発言について謝罪しているようだ。



「…………顔をあげてくれ。俺も、お前に酷いことを言った。出生なんて、俺にもおまえにもどうしようもできないのにな」

「団長……」



 俺がハーフなのは、結局のところどうにもできない事実だ。

 それを苛立っていたとはいえ、アルにあたるのは筋違いだ。


 サーヤについても、そうだ。

 あいつの保護者は、あいつ自身が決めるべきだ。


 とはいっても、あいつがちゃんと決めれるかはわからないが。

 なにしろ、あいつが関りがあるのは今のところ俺とアルとジョゼフだけだ。

 セレスとノーヴァは、短時間同じ場所にいたというだけで直接話しているわけではない。


 だが、俺達もお互いの性格などを理解できるほど一緒にいたというわけではない。


 そう考えると、保護者決めは早急すぎたな。

 とはいっても、やはりサーヤの保護者は決めなければいけない。

 最近は、怪しい宗教団体や盗賊団もいる。


 ずっとと言うのは無理だが、できる限りあいつらとサーヤの交流の時間を設けるか。

 

 サーヤに関しても、どれだけの知識があるかわからないからな。

 わからないのがこの大陸の言葉だけなのか、それ以外の知識もなのか。

 ジョゼフとの会話で魔法の存在を知らなかったようだから、もしかしたら知識の偏りもあるのかもしれないしな。




「…………保護者の件については、まあ保留だ。俺達がどうこうよりも、サーヤが決めることだからな」

「そうですね」



 正直言って、過去のことを思い出したから気分は悪いがサーヤの安全につながるのなら頑張るか。



 あいつが同じ立場なのかはわからないが似たような過去を持つ以上、やっぱり放っておけないな。

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